大通りの喧噪から少し離れた路地裏に、川沿いに……。
ちょっとミステリアスで、とびきり幸せな空間が広がっていました。
京都へ小さな旅にでかけませんか?
豊かな余白が引き立てる
音楽と料理とお酒
「音楽があれば、いろいろある日常からいったん自由になれる気がするんです。だから、自分でお店をするなら音楽を軸にしたかった」と多田摩耶彦さん。「おいしいものとお酒のある時間が幸せ」という妻の晶子さんと二人でお店を立ち上げることを決めたとき、料理とお酒、そして音楽をテーマにすることに迷いはなかった。その場所に選んだのは、間借り営業していた丹波口[Hygge(ヒュッゲ)]と同じく築100余年の町家。二人で壁を抜いたり、新たに設けたカウンターの木を暗めのトーンで染めて周りとなじませたりと、ゆったり過ごせる空間をコツコツと作り上げたそう。

目を奪われる、吹き抜けの陰影。
引き戸の型板ガラスが懐かしい。
南米風BBQソースのひと皿には、ボリューム感ある赤ワインを、アンチョビとオリーブのポテトサラダ500円には深い旨みに、爽やかなエキスを感じる白ワインがしっくり。共に定番の一品。
パセリのグリーンでおめかしした仔羊。
オープンキッチンからいい匂い。
ここを訪れた人は、まず「広すぎるぐらい広い!」と驚くかもしれない。だけど、高い吹き抜けにのびのびと響くレコードの音楽や、土間から庭を見通したときの情景など、ここにしかない心地良さがちりばめられている。「訪れた人の想像を膨らませる、遊びの部分も大切にしたくて」と笑う二人。木の引き戸をそっと開けて、やさしい〝余白〟に浸ってみたい。
光で変わる床の表情にハッとする瞬間。
二人の世界観を、この場所に。
写真/エレファント・タカ 取材・文/本庄 彩
※この記事は2022年4月号からの転載です。記事に掲載されている店舗情報 (価格、営業時間、定休日など) は掲載時のもので、記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。最新情報をご確認の上お出かけください。
店舗情報
お皿とスプーン
- 電話番号なし(予約はInstagramのDMにて受付)
- 住所京都市下京区銭屋町249
- 営業時間15:00〜21:00(ドリンク〜21:30)共にLO
- 定休日水&不定
- アクセス京都市バス「烏丸五条」バス停から徒歩4分