IMG_0078HE

東山は二寧坂の近くに、幕末専門のミュージアムがあるのを知っていますか?今の日本につながる近代の歴史のスタート地点を確認するも良し。新選組の中から“推し”を見つけるも良し。約170年前の幕末の世界が見えてくるはず!

坂本龍馬や新選組などの貴重な史料が一堂に!

志士の思いを想像、幕末維新専門ミュージアム
 京都を深く知るには、今につながる近世の歴史は見逃せない。というわけで、お薦めしたいのが[幕末維新ミュージアム 霊山歴史館]。坂本龍馬など倒幕派の志士や新選組、幕府関連の史料を中心に収集、展示する博物館だ。もちろん展示品の多くは複製ではなく本物。幕末の勉強を、というより、リアルな遺品や書の筆跡などを眺めているだけで、京都で奮起した志士たちの思いや状況をおのずと想像することになるはず。
 「まずはここで幕末の興味深い歴史や奥深さを知ってもらうきっかけになれば」と学芸課長の木村武仁さん。祇園散策の途中に、幕末へタイムトリップしてみるのはいかが?


歴史館の入り口横には木戸孝允の別邸にあったという、明治期に特注された灯籠が。

館内2階からは京都市街が一望できる。 京都タワーや八坂の塔、 御所までも。

学芸課長 木村 武仁さんに教えていただきました。

Q1 龍馬を斬ったとされる刀があるんですよね? 本物?
A1はい。こちらが桂 早之助が使用した脇差しです。

1867年に京都見廻組隊士の桂 早之助が龍馬殺害の際に使用した刀を展示。 「よく見るとさびていますよね。というのも、桂 早之助はそのすぐ後の鳥羽・伏見の戦い(1868年)で亡くなったため、手入れする時間がなかったのだと思われます」。また、短い刀である脇差しを使用したのは、「龍馬が潜伏していた土佐藩御用達のしょう油商、近江屋の部屋の天井が低く、大刀を振れば天井に引っかかるためだと考えられています。展示でも確認してみてくださいね」。


1階に展示されている刀。 桂 早之助は小太刀の名人だったそう。

こんな展示も……

2階には龍馬が殺害された近江屋の再現模型も。実際の場所は河原町蛸薬師下ルあたり。

Q2 等身大の龍馬像、背がかなり高いですよね?
A2 身長は172cm。リアリティにこだわり再現されています。

「龍馬の蝋人形は数多く作られていますが、こちらは造形作家の相蘇敬介によるシリコンゴム製。医療やハリウッドの特殊メイクにも使われている素材で、人の肌に近い作り。血管が浮き出て、体毛もあり、顔には日焼けも」。幕末当時、成人男子の平均身長は約155cmだったが龍馬はその紋服のサイズから推測するに172cm、80kgほどの「大男」だったそう。ちなみに龍馬は近眼だったため、このしかめっ面の表情になったとも。


げたではなく、当時最先端だったブーツを履いているのも特徴。

Q3 鎖で編まれたこの服はいったい?
A3 新選組の局長、近藤 勇が着ていたとされる防具です。

館内でもひときわオーラを放つ、重厚なカーディガンのような服はいったい? 新選組の局長である近藤 勇が着ていたとされる鎖帷子(くさりかたびら)。敵から身を守るため、羽織の下に着用する防具で、小さな鎖を編んで作られている。「近藤 勇が上洛する前に、道場で着用していたとされるどくろ刺しゅうの稽古着に付いていたボタンと同じものであることから、近藤が着用していたものだと推測されています」。重さは約6kg!


新選組袖章。模様は忠臣蔵の芝居の人気にあやかったとされる。

Q4 達筆な書ですが、どなたが書いたものでしょう?
A4 徳川慶喜、10歳の書です。非凡さがうかがえますね。

2階の常設展示のコーナーに華麗な書が。こちらは? 「江戸幕府第15代将軍・徳川慶喜、11歳の書です。 当時は数え歳なので、実際は10歳。水戸徳川家の出身である慶喜が、養子に入る一橋徳川家をこれから盛り立てていきたい、そんな心境を詠んだ書です。今考えると、 小学生の年齢にしてこの考え、 この達筆ぶりから、いかに慶喜が非凡な才能の持ち主であったのかがうかがい知れますね。興山とは慶喜の雅号で、詩や歌などで用いる別名です」。

明治期、慶喜が還暦の祝いに渋沢栄一へ贈ったとされる色紙も。

これもチェック! ①撮影コーナー

坂本龍馬と嵐山、土方歳三と隊旗など4種類の背景から選んで撮影ができるコーナー(無料)。



撮影時には新選組の羽織をレンタルすることも可能。子どもサイズもあり。

これもチェック!②体感コーナー

新選組が修めた天然理心流の稽古で使用したとされる重量級の木刀などに触れることができる。


火縄銃や幕末期のオランダ製ゲベール銃も。ずっしりとした重さを体感。

これもチェック!③ミュージアムショップ

1階にあるショップでは蒔絵シールなど志士や新選組のグッズを販売。オリジナルアイテムも。


誠丸メモ880円、ナレッジシート440円、幕末クロノロジー1,100円

企画展もチェックしょう!

「日米和親条約170年 ペリーと吉田松陰」
〜5月12日(日)まで

日本の開国を目的に1853年、加えて翌年にも来航したアメリカのペリー艦隊。4回にわたる会談ののち、日米和親条約が締結された。吉田松陰は、西洋の事情を学ぶため海外密航を決意するも、ペリー提督の承諾を得られず失敗。自首し投獄されることに。本展は締結から170年を記念した企画展。約35点の史料でペリー来航と松陰の実像に迫る。

春には桜が。すぐ近くには龍馬の墓も。

写真/原 祥子 取材・文/中村悠介

店舗情報
京都・東山
幕末維新ミュージアム 霊山歴史館りょうぜんれきしかん
  • 電話番号
    075-531-3773
  • 住所
    京都市東山区清閑寺霊山町1
  • 営業時間
    10:00~17:30(最終入館時間は〜17:00)
  • 定休日
    月(祝の場合は営業、翌日休)
  • 料金
    入館料900円(大人)
  • カード使用
    不可
  • アクセス
    市バス「東山安井」バス停から徒歩7分

※この記事は2024年4月号からの転載です。記事に掲載されている店舗情報 (価格、営業時間、定休日など) は掲載時のもので、記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。最新情報をご確認の上お出かけください。

Share
  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
SAVVY11月号『神戸』
発売日 2024年9月21日(土)定 価 900円(税込)