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現在進行形の和菓子、
ネオ和菓子を知りたい!

洋の素材を合わせたり、新食感を加えたり、体に優しいものを追求したり……。
伝統を生かしつつも、既視感のない滋味。それがネオ和菓子。
SAVVY3月号『おやつ図鑑』からご紹介します。

○兵庫・芦屋[上]

14周年を迎えた和菓子屋の集大成
百薬を目指した和菓子とは

美しい地層が作り出す洗練された厳かな空間

岸和田に本店を構える[餅匠しづく]が「お菓子で百薬の長を目指す」をコンセプトに掲げる新店を2022年11月芦屋にオープン。

店内でひときわ存在感を放つのは「思考のショーケース」と位置づけられる地層のようなビジュアルの巨大なテーブル。「版築」と呼ばれる古来の技法により13トンの土とにがりだけで作られ、多孔質で毒性がなくきれいな空気を作り出すそう。これも体に優しいお菓子を届けたいという思いから。

味や見た目に派手さはなくとも体が喜ぶ和菓子を

 「派手さはないけどもほっこりさせてくれるお菓子を」と、店主・石田嘉宏さんが作るのは、和菓子に欠かせない餅米やアズキ、米粉、砂糖などの素材に、自然農法や無農薬栽培のものを使ったけれん味のない和菓子。

岩手県で草のみを食べて育った牛の牛乳からできた生クリームを、北海道産小豆で作るこしあんで優しく包む。その上から、香りがとびきり濃厚な愛媛県産の栗をきんとんのようにまぶしつけた和栗モンブラン。691円

左から、雫 432円、フラワーオブライフ 540円、静神丸 540円、土 540円、丹波黒豆餅 324円、花 389円

例えば、天から降り、地上で溜まりを作る水滴を表現した「雫」、釈迦が苦行を積んだ際、命をつなぐために食した発芽はと麦、練り黒ゴマなどで作る「静神丸」は[上]限定の上生菓子で石田さんが[上]のために考案した品々。

和紙でキャンディ包みされたチョコレート和三盆。口に含むとチョコレートのすっきりした苦みと香りがふんわり漂い、和三盆の穏やかな甘みが広がる。ホワイトデー(3月中旬頃)までの限定販売。486円

パリッと香ばしいもなか種に、甘さを控えたみずみずしいを食べる直前に挟む最中セットの詰め合わせ(6個入り)1,858円~。夏柑の皮や黒豆の砂糖漬けなど、日持ちのするお菓子も販売されていて手土産にも喜ばれる。

また、食用珪藻土や滋養強壮作用を持つヤマトイモを使用した「土」は「餅匠しづく」でも販売。「味より体への配慮を優先した和菓子店があってもいいのではないか」、石田さんが行き着いたという思いは、若き日に体調を崩した自らの経験からつながっている。

写真/岡本佳樹 取材・文/小林明子

店舗情報
兵庫・芦屋
しょう
  • 電話番号
    0797-38-3781
  • 住所
    芦屋市茶屋之町10-9
  • 営業時間
    11:00〜18:00
  • 定休
  • アクセス
    阪神芦屋駅から徒歩4分

※この記事は2023年3月号からの転載です。記事に掲載されている店舗情報 (価格、営業時間、定休日など) は掲載時のもので、記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。最新情報をご確認の上お出かけください。

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SAVVY5月号『北摂2024』
発売日 2024年3月23日(土)定 価 900円(税込)