夏の夜空の“パフェ”ものがたり #1
作り手の世界観を小さなグラスに閉じ込めることができるデザート、パフェ。
夏の夜空の風物詩をテーマに、パフェですてきな物語を描く二軒を訪ねました。
一軒目は大阪・昭和町[℃ sesshi] 、再会の物語を込めた一対のパフェをご紹介します。
大阪・昭和町[℃ sesshi] 桃の季節に再会の約束をした織姫と彦星のシルエット
再会の物語を一対のパフェに込めて
パティシエールの金子由貴さんがキッチン、母の坂本晴美さんがギャラリーを担当するギャラリーカフェ[℃ sesshi]。なかでも開店当初から季節ごとにリリースするパフェには根強いファンが多い。春の定番であるイチゴパフェも、2月は「ダイスキイチゴパフェ」、3月は「ワタシモダイスキイチゴパフェ」……と、タイトルに合わせて内容を変えながらドラマチックに展開している。
実はこのパフェメニュー、タイトルやコンセプトを晴美さん、具体的なレシピを由貴さんが担当する「共作」スタイルを取っている。今年は春先の甘酸っぱい初恋のようなイチゴパフェから初夏のチェリーパフェを経て、盛夏は「織姫と彦星をイメージした2種の桃のパフェを出すことにしました」。陰暦7月には「愛逢月(めであいづき)」という雅びやかな異名がある。「彦星と織姫の再会になぞらえて『互いの無事を確かめるために手紙や贈り物をして気持ちを確かめあう月』という意味もあり、実はロマンチックな季節なんです」と晴美さん。桃という果実から春先より成熟した愛の物語をイメージし、「愛逢月のパフェ」として二つのパフェを提供することにした。
テーマが決まれば、あとは由貴さんの仕事だ。織姫=「ベガ」ではディルで風味付けしたヨーグルトクリームを合わせて果実味を引きたて、彦星=「アルタイル」ではジャスミンのパンナコッタやラベンダーのジュレで涼しげな印象を加えるなど、ハーブの香気で本来香りの少ない桃に豊かな表情を描いていく。仕上げにフレッシュの桃を襲(かさね)のように盛り付け、トップには織姫の双髷(そうかん)のようなラズベリーチュイル、彦星の冠のようなラングドシャを飾ってシルエットが完成。二つのパフェが登場するのは七夕のある7月から8月中旬まで。グラスの中に広がる再会のドラマを見守ろう。
愛逢月のパフェ「ベガ」
愛逢月のパフェ「アルタイル」
大阪・昭和町[℃ sesshi]
2018年、文の里商店街に開店。パフェのほかメレンゲ菓子、季節の果物のケーキなどオリジナリティあふれるデザートがいただける。ギャラリースペースでは絵画や写真展のほか手仕事の展示販売なども開催する。
- 電話番号090-1585-1043
- 住所大阪市阿倍野区昭和町1-17-27
- 営業時間13:00〜18:00LO
- 定休日木&不定
- アクセス大阪メトロ昭和駅から徒歩2分