わたしの“カフェ”の話。
店主たちの“好き”を知れば、カフェがもっと好きになれる。
いま、一番行きたいお店の店主たちに、深くお話を聞いてみました。
『すてきなカフェを作ってくれてありがとう!』、そう言いたくなります。
chapter.03
[ha ra]と原こころさん
「愛されたお店のDNAも大切に受け継ぎたい」
あの場所で出合った作り手たちに支えられて
京都を代表する名カフェとして20年に渡って親しまれ、一昨年惜しまれつつ閉店した[efish]。その最後の店長を務めたのが原こころさんだ。「カッコいいけど温かい、そんな店でした。あの場所と同じことをするのはむずかしくても、心地良さを継承できたら」と話す。当初は考えていなかった大通り沿いの物件。だけど元電気屋だった店舗は間口が広く、奥には窓があり、その向こうには小さな庭が。鴨川も京都御所も近く、いい気が流れていると感じた。
原さんが[efish]から直接引き取ったのは金魚鉢など"モノ"だけではない。大きな財産となっているのが、かつて一緒に働いた元スタッフたちだ。入り口のガラスにのびのびと描かれた絵は、イラストレーター土谷 翠さん作。コーヒーカップとプレートは陶芸家に、そして週2回たっぷりと焼き菓子を届けてくれる[HORNO](P29)も元同僚。才能あふれる作り手たちが、店作りを支えている。
心身をやさしく満たす、丁寧なメニュー
メニューの中で唯一[efish]譲りを公称するのがライムジュース。ライムの薄皮を丁寧に除き、氷とシロップ、炭酸水のみを加え一杯ずつ作られるそれは、目が覚めるように爽やかで清々しい。オーツミルクで仕上げた冷たいポタージュ、鉄板で焼き上げるツナメルトサンドイッチなど、食べ心地の良いフードメニューも好評だ。
覚えやすく言いやすい[ha ra]という店名は、「おなか(ハラ)もこころも満たす」という、原さんの名前とダブルミーニングのコンセプトをあらわしている。よく見るとhaとraの間に小さなスペースが。「これは、ロゴをデザインしてくれた友人のアイデア。肩の力を抜いたイメージですね」。原さんの好きなブロカントがざっくりと配された空間は、日常をリセットしてくれるようなやさしいパワーに満ちている。まさに「カッコいいけど温かい」。鴨川沿いで伝説になったカフェの系譜は、ここで確かに息づいている。
- 電話番号075-285-4821
- 住所京都市上京区梶井町448-62
- 営業時間10:00〜18:30LO
- 定休日火&不定
- アクセス各線出町柳駅から徒歩5分