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[ワインショップFUJIMARU]の藤丸さんと共に全国のワイナリーを旅しながら、その土地とワインの魅力を紹介します。今回は、個性多彩なワイナリーが点在する山梨県の甲州市にある[甲斐ワイナリー]を訪れました。

藤丸智史さん/大学卒業後、ソムリエを経て海外でワイン作りを学び、大阪で[ワインショップFUJIMARU]を開業。現在はブドウ作りからレストランまで展開する株式会社パピーユの代表取締役。 Instagram@winefujimaru

Vol.06
[山梨・甲州]甲斐ワイナリーへ

江戸時代から酒造業を営んできた歴史ある蔵屋敷で、創業からの伝統と技術を守りながらも、毎年新たなワインを生み出す。日本人の繊細な味覚と食文化に合う、上質なワイン作りを目指して、年間およそ30,000本を生産。

ブドウ畑が広がる街で、
ワインの出会いは夜更けまで

 夏真っ盛り、まだまだ暑い中、藤丸さんと向かったのは山梨県甲州市。盆地ならではの吹き下ろしの風がブドウ栽培に適した昼夜の寒暖差を生むとされ、古くからブドウ栽培が盛んな土地だ。町中を車で走ると、何軒ものブドウの直売所が軒を連ね、次々とワイナリーが現れる。山に囲まれた盆地の一帯が、巨大なブドウ畑のようにも思えてきた。

 目的の[甲斐ワイナリー]に到着し、案内をしてくれたのは、ワイナリーの三代目・風間聡一郎さん。酒蔵を利用した風格のある瓦屋根のワイナリーはひんやりと涼しい。敷地横にあるブドウ畑へ行くと、「造り酒屋からワイナリーに変わって最初に植えた」という樹齢50年以上の「甲州」の木にほんのりと色づいたブドウが実り、太陽の光に照らされて輝いている。今年の収穫も、いよいよこれからだ。

  • ワイナリーは国登録有形文化財にも指定されている。
  • 自社畑の甲州ブドウは、全て接木したもの。
  • 今年の本格稼働を静かに待つ醸造場。
  • ワインショップでは試飲(有料)も楽しめる。
  • 自社畑で栽培したメルローを使った赤ワイン。
  • ワインを飲みながら、ワイン談義に花が咲く二人。
  • ショップにはワインがずらりと並ぶ。
  • 併設のカフェ[古壺]は、土蔵を改装した空間。
  • 江戸時代から続く日本酒の蔵元がワイナリーに。日本酒をつくっていた名残がそこここに。
  • フルーツ王国・山梨。出していただいたモモ。この辺りでは、「硬いモモを食べる文化がアル」とのこと。


〜今月のワイン〜

かざま甲州 SurLie 2023


オリの上で数カ月貯蔵して、うま味を抽出するシュール・リー製法を用いた白ワイン。柔らかな口当たりのなかにある、クリアなキレとうま味の余韻が心地良い。2,530円(750㎖)

歴史と伝統を引き継ぐ、ワイン職人の蔵屋敷
山梨の固有品種「甲州」を中心に、現在は3品種のブドウを生産。歴史と伝統を引き継いだ基本に忠実なワイン作りで、クリーンで飲みやすく滑らかな飲み心地のワインを生産。土蔵を改装した併設のカフェ[古壺]では、カジュアルなランチセットも。9月と10月の繁忙期を除き、一人1,000円でテイスティングもできるワイナリーツアーを実施。前日までに電話かHPから要予約。

店舗情報
山梨・甲州
甲斐ワイナリー
  • 電話番号
    0553-32-2032
  • 住所
    山梨県甲州市塩山下於曽910
  • 営業時間
    9:00~18:00
  • 定休日
  • カード使用
  • アクセス
    JR塩山駅から徒歩12分

 ワイナリーを見学したあと、訪れたのは[ぶどうの丘 天空の湯]。標高は高くて目線は雲とほぼ同じ。露天風呂からは、ブドウ畑のグリーンがじゅうたんのように広がっていた。とっぷりと日が暮れたころ、藤丸さんが「山梨に来たときは必ず訪れる」というイタリアンバル[OASIS]へ足を運ぶ。すると、先ほどワイナリーを案内してくれた風間さんがワイン仲間と共にやってきた。テーブルはあっという間に宴会になり、地元の食材を使った料理と共に「これ、おいしいよね」と一本、また一本とボトルが空いていく。ワインの話は尽きることなく、そのまま夜は更けていった。

立ち寄りスポット①
山梨・甲府[OASIS(オアシス)]

旬な地元野菜とワインを味わうワイン酒場
およそ20軒の飲食店が集う[甲府ぐるめ横丁]にある隠れ家的ワイン酒場。イタリアンレストランなどで修業した店主・小池さんが手掛けるイタリアンをベースにした創作アテは、契約農家による朝取れの旬な野菜が主役。山梨県産のワインを中心に、グラスワインは15種類ほどスタンバイし、レアなボトルの数々に、ワイン通も思わずうなる。

  • 県産とうもろこしのアンチョビバターソテー700円
  • 葉生姜の信玄豚巻き1本200円。
  • [甲斐ワイナリー]の風間さんや、山梨大学でワインの醸造を学んでいる大学院生なども合流!
  • キュウリの天ぷら。キワモノ!? ではなく、塩味がしっかり利いていておいしい。
  • ワインにあう料理がたくさん! 地元食材を使ったメニューも多く、何を頼むか迷います。
  • 「このワインは……」と、話が盛り上がる。ワインの栓はどんどん開いていく夜。
店舗情報
山梨・甲府
OASISオアシス
  • 電話番号
    070-2800-7119
  • 住所
    山梨県甲府市中央1-6-4 甲府ぐるめ横丁内
  • 営業時間
    18:00~翌2:00
  • 定休日
    日&不定
  • カード使用
    不可
  • 席数
    13
  • アクセス
    JR甲府駅から徒歩12分

立ち寄りスポット②
山梨・甲州[ぶどうの丘 天空の湯]

甲府の盆地を一望できる絶景。まわり、ぐるりと山に囲まれているのがよくわかる。

甲州盆地を見渡せる、天空の露天風呂
甲州市勝沼町のある丘の頂上に位置する日帰り温泉。美肌の湯と評判の高アルカリ天然温泉の露天風呂からは、甲州市のブドウ畑が一面に見渡せる絶好のビューポイント。敷地にはレストランやBBQガーデン、ホテルも完備しているほか、市内のワイナリーで醸造された約180種のワインをサーバーや、ワインカーブで、試飲(有料)も。

  • 中には、休憩室とレストランも。「こういうところで食べるの好きなんです」と藤丸さん。
  • 開放感のある露天の大浴場からは、眼下に広がる広大な甲州盆地と、遠くには南アルプスの山々の絶景が広がる。
店舗情報
山梨・甲州
ぶどうの丘 天空の湯ぶどうのおか てんくうのゆ
  • 電話番号
    0553-44-2111
  • 住所
    山梨県甲州市勝沼町菱山5093
  • 営業時間
    8:00~21:00最終入館
  • 定休日
    不定 
  • カード使用
    不可
  • アクセス
    JR勝沼ぶどう郷駅から徒歩15分

【大阪からのアクセス】
大阪→甲府/電車●JR新大阪駅→JR東海道新幹線・静岡駅→JR東海道本線・特急ふじかわ・甲府駅 大阪から約4時間20分、片道料金14,400円〜 ※山梨県内の移動はレンタカーが便利

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写真/西島 渚 取材・文/関戸ナオヒロ
協力/パピーユ www.papilles.net

※この記事は2024年12月号の転載です。記事に掲載されている店舗情報 (価格、営業時間、定休日など) は掲載時のもので、記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。最新情報をご確認の上お出かけください。
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発売日 2024年10月23日(水)定 価 900円(税込)