人を繋げるハーベストで、
ワイン作りの情熱に触れた。
SAVVY本誌で連載中の『FUJIMARU SIDEWAYS』で、一緒に全国のワイナリーを訪問している藤丸さん。そんな藤丸さんのブドウ畑が収穫時期を迎えたという話を聞き、取材チームで収穫ボランティアに参加した。夏の暑さもピークの8月初旬、朝8時半の近鉄大阪線の安堂駅が集合場所。気さくなスタッフと合流し、車で先導されながらブドウ畑のある山を車で登っていく。畑がある柏原市は大阪府内でも雨量が少なく、古くからブドウ栽培が盛んに行われてきた地域。急勾配の斜面に張り付くように手入れされたブドウ畑が見える。標高はおよそ200メートル。大阪市内からほんのわずかに離れただけで、こんなにも自然豊かな里山が残っていることに驚いた。車で30分ほど山道を駆け上がり、さらにブドウ畑へと続く山道を歩いて進んでいく。「前日に雨が降ったので、いつもより多少は涼しい」と、藤丸さん。それでも着てきたTシャツはすでにじんわりと汗ばみ、蝉の声が辺りを包んでいる。畑に到着すると数えきれないほどのブドウが実っていた。
標高200メートルほどの場所にある自社畑からの景色。下に見えるのは大阪の街並み。
同じ畑でも場所によって成熟度が異なる。色づきが甘いブドウは収穫せずに成熟させる。
この日の収穫参加者はボランティアを含めて10人ほど。実の取り方や頃合いに熟したブドウの見分け方などの説明を聞き、ブドウ用のハサミが手渡されたあとは、畑に散り散りになって収穫がスタート。この日収穫するのは巨峰とデラウェアの2品種。成熟したブドウは潰れやすいので、優しく触れるのがコツ。収穫したブドウはコンテナに入れ、満杯になったコンテナはスタッフが運搬車に運ぶ、という流れ。15キロほどもあるコンテナを軽々と運ぶスタッフが頼もしい。ブドウの葉が屋根のようになっていて、畑のなかは日陰なのがありがたい(それでもすぐに汗をかくのだが)。ブドウが実る高さは地面からおよそ170センチ。腰を反らせながらの作業は決して楽とは言えない姿勢のため、小休憩を挟みながら自分のペースで収穫を続けた。ぶどう畑で流す汗は新鮮でとても気持ちが良く、参加者同士の会話も自然と生まれてくる。
収穫作業は2時間ほどで終了し、コンテナを車に積み込み島之内にある醸造所へ。ここで行うのは「選果」と呼ばれる作業で、収穫したブドウから劣化した実や不要な葉などを一房ずつチェックして取り除く。表には出ない地道な作業の積み重ねが、美味しいワインを作り出している。作業の後は東心斎橋の[ワインショップ&ダイナーFUJIMARU]へ行き、お待ちかねのまかないの時間。前菜盛り合わせやパスタと共に、今日収穫したデラウェアや巨峰を使ったワインもいただきながら、共に作業したボランティアやスタッフとの会話が弾む。
良いワインは、現場の情熱があってこそを感じた。ワイン作りは想像よりも手作業が多く、作り手の情熱に心動かされ、収穫時期には多くの人が手伝いに集まる。テーブルに置かれる遥か前から、ワインは人と人を繋ぐ存在なのだと、あらためて感じられた1日だった。今日収穫したブドウはどんなワインに仕上がるのだろうか。今から出来上がるのを心から楽しみに過ごしている。
今日収穫した畑のデラウェアを使って醸されるオレンジワイン。キュベパピーユ デラウェア甕仕込み
デラウェアを使った、キュベパピーユ。デラウェアと巨峰のキュベパピーユ ロゼ
- 電話番号06-4704-6666
- 住所大阪市中央区島之内1-1-14 1F
- 営業時間12:00〜23:00
- 定休日火・水
- カード使用可
- アクセス大阪メトロ長堀鶴見緑地線松屋町駅から徒歩2分
- Instagram@shimanouchi_fujimaru
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写真/西島 渚 取材・文/関戸ナオヒロ
協力/パピーユ www.papilles.net