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[ワインショップFUJIMARU]の藤丸さんと一緒に、全国のワイナリーを訪問する企画。前回に引き続き舞台は長野県の東御市。「千曲川ワインバレー」のワイナリー[Rue de Vin(リュードヴァン)]で、町の未来になるワイン作りを感じました。

藤丸智史さん/大学卒業後、ソムリエを経て海外でワイン作りを学び、大阪で[ワインショップFUJIMARU]を開業。現在はブドウ作りからレストランまで展開する株式会社パピーユの代表取締役。 Instagram@winefujimaru

vol.05
長野・東御
[Rue de Vin]へ

山梨・安曇野のワイナリーで醸造技術者として活躍した小山英明さんが2010年に開業した、東御市のワイン特区第1号ワイナリー。暮らしのなかにあるワイン文化を目指し、事業として効率化したワイン作りを行う。

ワイナリーで最大区画のソーヴィニヨン・ブランの畑。収穫に向けスタッフが剪定作業中。

一本の「ワイン通り」から、
ワインを産業、そして文化に

千曲川から山へと車を走らせると、目当てのワイナリー[Rue de Vin]に到着。夏の空に溶けるような鮮やかなブルーの看板と古いルノーが目印だ。うだるような暑さの大阪とは比べ物にならないほど過ごしやすいのは、標高と木々の緑に囲まれた場所だからだろうか。かつてはリンゴ農園が一面に広がっていたが、放置され荒廃した雑木林になっていた土地を毎年開墾し続け、昨年には御堂エリアに新しい区画が誕生した。豊富な日射量と大きな寒暖差というブドウ栽培に適した自然の恵みを受けながら、風土にふさわしいブドウを探るため、12品種ものブドウ栽培にトライ。さらにコロナ禍には宿泊施設のオープンや、農作業の効率化を進めるなど攻め続けている。

  • 仕込み中のワインを試飲する代表の小山さん
  • なだらかな斜面に作られたブドウの段々畑。
  • 新ワイナリーの[カーヴ・ド・ミドウ]。
  • 今後の展望など、ワイン談義に熱が入る。
  • ブドウの品種、育て方などについて話が止まらない2人。
  • かつては奥に見える雑木林が、一面に広がっていたそう。

[Rue de Vin]とは、フランス語で『ワイン通り』という意味。僕らはこの村に当たり前にワインがある日常を目指しているんです」と、代表の小山さんは教えてくれた。この一本の「ワイン通り」が起点となり、レストランや新たなワイナリーなどが誕生。それぞれが関わり合ってつながる「ワイン通り」はどんどん広がっていく。その帰り道、ワイナリーからすぐ近くのロードサイドにあるそば屋へ立ち寄った。自家栽培で地物の食材を使った旅情を感じる味わいは、ワイン作りにも通じるのかもしれない。同じくチーズ工房も、地元の牛乳を使っている。バックミラー越しに徐々に小さくなる山を見ながら、暮らしの真ん中にワインがある、そんな町の未来を感じた。

敷地内のレストランで一杯。畑を目の前にしながら飲めば、ワインはさらに味わい深い。
  • 看板はワイナリーのイメージカラーの青。
  • 日替わりランチ(2,800円~)のメイン料理。この日は鹿肉ロースト。
  • レストランにはワインボトルがずらり。有料で試飲もできる
  • ワイナリー併設のシャンブルドット(民泊)の玄関。
  • 宿泊者を招くサロンルーム。
  • もとは植木屋さんの住居を改装して、宿泊できるように。


〜今月のワイン〜

シャルドネコリーヌドール


通常はステンレスタンクで行う発酵を、フレンチオークの小さい樽で行い、ゆっくりと熟成を重ねたシャルドネ。柔らかな酸味や深みと共に、樽香のエッセンス感も。
5,500円(750㎖)

地元の人の日常になるワイナリーを目指して
地元の食材と共に地元のワインが飲まれる「地産地消のワイン文化」を根付かせるため、機械による効率化やコストダウンを積極的に行い、事業としてのワイン作りの存続を目指す。週末限定で宿泊も行っており、夜はコース料理に合わせたワインペアリング、朝食はフレンチスタイルでワイナリーを満喫できる。レストランは2日前までに要予約。

店舗情報
長野・東御
Rue de Vinリュードヴァン
  • 電話番号
    0268-71-5973 
  • 住所
    長野県東御市祢津405
  • 営業時間
    10:00~17:00(平日のみランチ11:00~14:00LO) 
  • 定休日
    火 
  • カード使用
  • 席数
    14
  • アクセス
    しなの鉄道 田中駅から車で10分

立ち寄りスポット①
[Atelier de Fromage 東御本店]

チーズはもちろん、スイーツからピザなどの総菜まで充実。

世界で高く評価される、チーズ工房&カフェ
本場のフランスでチーズ作りを学び、日本で初めて生チーズの製造を始めたパイオニア。国際大会でも最高金賞を受賞したブルーチーズなど、約20種類のチーズを製造&販売する工房兼ショップには、併設するカフェで特製のチーズメニューが楽しめる。

  • ブルーチーズは100gで1,620円~。
  • 緑に映えるかわいい建物。庭にはヤギもいます。
  • チーズ5種と前菜の盛り合わせ2,530円。
店舗情報
長野・東御
Atelier de Fromage 東御本店アトリエ ド フロマージュ とうみほんてん
  • 電話番号
    0268-64-2767 
  • 住所
    長野県東御市新張504-6
  • 営業時間
    10:00~17:30(カフェ~17:00LO) 
  • 定休日
  • カード使用
    可 
  • アクセス
    しなの鉄道・滋野駅から車で10分

立ち寄りスポット②
[カフェ 凱 Toki]

このあたりでは定番のくるみだれでいただく、くるみそば1,400円

自然の恵みを、独創的なアレンジそばで
店主の楢原弘照さんが夫妻で営むそば屋はキムチ、豆乳、トマトなど鍋のシメから着想したつけ汁を使ったアレンジそばが名物。そばの実をはじめ、野菜や米まで自家農園のものを使用する。晴れた日にはテラス席で雄大な山景と共に、四季折々の地元食材が楽しめる。

  • そばはもちろん手打ち。みずみずしいのどこしがおいしい。
  • お花が咲き誇るガーデンがすてき。店内もゆったりしたつくり。
店舗情報
長野・東御
カフェ 凱 Toki
  • 電話番号
    0267-31-0927 
  • 住所
    長野県小諸市滋野甲591-1 
  • 営業時間
    11:30~14:30LO※売り切れ次第終了 
  • 定休日
    月&最終火
  • カード使用
  • アクセス
    しなの鉄道滋野駅から車で10分

【大阪からのアクセス】
大阪→長野/電車 JR大阪駅→特急サンダーバード・敦賀駅→北陸新幹線・長野駅→しなの鉄道・田中駅。大阪から約5時間、片道料金17,000円~ ※長野県内の移動はレンタカーが便利

合わせて読みたい!

FUJIMARU SIDEWAYS 藤丸さんと “おいしい”ワイナリー巡り vol.4
長野・東御[VILLA D’EST GARDENFARM AND WINERY]

FUJIMARU SIDEWAYS 藤丸さんと “おいしい”ワイナリー巡り vol.3
宮崎・都農[都農ワイン]

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宮崎・綾町[香月ワインズ]

FUJIMARU SIDEWAYS 藤丸さんと “おいしい”ワイナリー巡り vol.1
富山・氷見[SAYS FARM]

写真/西島 渚 取材・文/関戸ナオヒロ
協力/パピーユ www.papilles.net

※この記事は2024年11月号からの転載です。記事に掲載されている店舗情報 (価格、営業時間、定休日など) は掲載時のもので、記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。最新情報をご確認の上お出かけください。
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発売日 2024年9月21日(土)定 価 900円(税込)