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作り手だけでなく、風土の個性が表れるのもワイン作りの面白さ。日本全国のワイナリーを訪問している藤丸さんに同行して、土地とワインの魅力を探る旅へ出発! 旅の脇道にあったすてきな出合いも味わいとして紹介します。

藤丸智史さん/大学卒業後、ソムリエを経て海外でワイン作りを学び、大阪で[ワインショップFUJIMARU]を開業。現在はブドウ作りからレストランまでを展開する株式会社パピーユの代表取締役。 Instagram @winefujimaru

vol.01 
富山・氷見[SAYS FARM]


[SAYS FARM(セイズファーム)]
江戸時代から続く魚問屋が母体となりワイン造りをスタートした、全国的にも珍しいワイナリー。100%自社原料のブドウを使用し、氷見ならではの個性があふれる「北陸が生む美しいワイン造り」を目指している。

海と山、氷見の恵みを
丸ごとマリアージュする!


 今回、藤丸さんと訪れた氷見市は能登半島の付け根に位置し、“氷見の寒ブリ”でも有名な日本海側有数の漁港の街。美しい富山湾を背に、漁港から車を走らせること15分。注意しないと見落としてしまうほど小さな看板を目印に山道を進んでいくと、ヤギと看板犬の出迎えと共に、旅の目的地[SAYS FARM]が見えてきた。雨が多く日照量が少ないため果樹産地には適さず、長らく“ワイン不毛の地”だったこの場所で、耕作放棄地を屈強な海の男たちがゼロから開墾。段々畑に実りを待つブドウの木が整然と並び、晴れの日には雄大な立山連峰が一望できる景色を作り上げた。丘のてっぺんにあるワインショップには、地元の新鮮な食材が楽しめるレストランと一棟貸しのゲストハウスが併設。[SAYS FARM]は氷見の自然の豊かさ、土地の恵みを人々に伝え、町の未来も作っている。

  • 広大なブドウ畑と立山連峰はここだけの景色。
  • 「ここはブドウの木を低めに仕立ててあります」と藤丸さん。
  • 来年に向け、大樽のなかで静かに眠るワインを少しだけ試飲させていただく。
  • 巨大な倉庫の中は、一定の温度に保たれていてひんやり。
  • ブドウ栽培と醸造の責任者の田向 俊さん。
  • 厳かな雰囲気さえ感じるワインボトルの入ったかご。
  • 仕込み中のロゼを試飲する藤丸さん。
  • オーベルジュは木々に囲まれた丘の上に。
  • 木漏れ日の優しい光が差し込むゲストルーム。
  • 食堂にはキッチンと大きなテーブルが。宿泊者ならではのお楽しみ。
  • 氷見の真ダラをおき火で。創作性あふれるひと皿。
  • 「氷見ならではの素材を使い切るようにしています」とシェフ。
  • 窓から海まで見渡せる。天気が良ければ、立山連峰がどーん、と。
  • ワインショップにはギャラリーも併設。
  • ワインのほかに、シードルなども並ぶ。


犬を飼っているワイナリーが多いそう。その名も、ワイナリー犬。


〜今月のワイン〜

ROSE CS 2022


手摘みで収穫したカベルネ・ソーヴィニヨンを使った、淡いサーモンピンクに輝く辛口ロゼワイン。樽発酵&貯蔵で仕上げた上品な樽香と柔らかく滑らかな口当たり。3,700円(750㎖)

氷見だけの味わいを目指す
ワイナリーとオーベルジュ

2011年にオープンした100%自社原料のみのブドウで生産するワイナリー。シャルドネや注目のアルバリーニョなど、現在の取り扱いは7品種。風土を生かして醸されるワインは常に品薄の人気で、農園内には地元食材にこだわったオーベルジュやギャラリーが併設。氷見の自然に溶け込むような体験ができる。HPから事前予約すればワイナリー見学も可能。

店舗情報
富山・氷見
SAYS FARMセイズファーム
  • 住所
    富山県氷見市余川字北山238
  • 営業時間
    10:00〜17:00(ショップ&ギャラリー)、11:00〜14:30(ランチ)、15:30〜16:30(カフェ)、17:30〜21:00(ディナー)全てLO
  • 定休日
    不定
  • カード使用
  • アクセス
    JR氷見駅から車で20分

 ワイナリーへの訪問を終え、藤丸さんにとって旅の癒やしには欠かせない温泉へ。すてきなオーシャンビューの露天風呂を満喫したあと、湯上がりの火照った体に心地良い海風を浴びながら、すぐ近くの[ひみ岸壁市場]へ足を運ぶ。「不思議なことに、その土地の食材には、その土地のワインが合う」と、藤丸さん。今朝この場所で水揚げされたばかりの海の幸とともに、[SAYS FARM]のワインを味わえば、今日訪れた氷見の街を丸ごと愛おしく感じて、先ほど見た指先ほど小さいブドウの新芽の姿を思い出す。今から秋の訪れが待ち遠しい。

SPOT TO STOP ①
[氷見温泉郷 総湯]

オーシャンビューの良質な温泉
薄濁りの黄土色の温泉は良質な泉質の証。地下1,250mから汲み上げる源泉は塩化物強塩泉で、血液循環の促進のほか、痛みを和らげる鎮静効果も。富山湾と(タイミングが良ければ)立山連峰を眺望できる絶景の露天風呂とサウナで汗を流したら、海風を感じる外気浴が心地いい。館内にある[ほっこり食堂]は、メニューが充実!

店舗情報
富山・氷見
氷見温泉郷 総湯
  • 電話番号
    0766-74-2611
  • 住所
    富山県氷見市北大町26-78
  • 営業時間
    10:00~22:00(土・日・祝7:00〜)最終受付、11:00〜20:00LO(ほっこり食堂)
  • 定休日
    なし
  • 入浴料
    700円
  • カード使用
  • アクセス
    JR氷見駅から車で5分
  • 公式HP
    https://himi-banya.jp/onsen/

SPOT TO STOP ②
[ひみ岸壁市場・岸壁食堂]

地元民にも愛される、市場&食堂
目の前の氷見漁港からその日水揚げの海産物が届く、老舗の魚問屋[釣屋]が経営する市場では、「安く仕入れたらその分安く」と、破格な値段で新鮮な魚介を販売し食堂も営む。[SAYS FARM]のワインも取り扱うため、氷見の海の幸と一緒に味わうのも良し、お土産を買いに行くも良し。氷見ちらし定食はアジのつみれ汁付き1,580円

店舗情報
富山・氷見
ひみ岸壁市場・岸壁食堂
  • 電話番号
    0766-78-3321
  • 住所
    富山県氷見市中央町7−1 漁業文化交流センター内
  • 営業時間
    9:00〜16:00(売り切れ次第終了)
  • 定休日
    水(祝の場合は営業、翌休)
  • アクセス
    JR氷見駅から車で5分
  • Instagram
    @ganpeki.ichiba

【大阪からのアクセス】
大阪→氷見/電車 JR大阪駅→特急サンダーバード・敦賀駅→北陸新幹線・新高岡駅→城端線・高岡駅→氷見線・氷見駅。大阪から約4時間、片道料金10,090円〜
※新高岡駅からレンタカーが便利

写真/西島 渚 取材・文/関戸ナオヒロ
協力/パピーユ

※この記事は2024年7月号からの転載です。記事に掲載されている店舗情報 (価格、営業時間、定休日など) は掲載時のもので、記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。最新情報をご確認の上お出かけください。

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