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今月のイチオシ作品を、20年以上関西の演劇シーンを見つめ続けるフリーライター・吉永美和子が5作品をピックアップ!

文/吉永美和子
20年以上関西の演劇シーンを見つめ続けているフリーライター。地元の小劇団から伝統芸能まで、ジャンルを問わずに観劇している。趣味は旅行といろんなお茶をたしなむこと。

※チケットの販売状況、当日券については各HPやSNS等で最新の情報をご確認ください。

<今月の“超”劇推し!>
☑COCOON PRODUCTION 2026『クワイエットルームにようこそ The Musical』

メンタル問題を扱った小説を、
作家本人がミュージカル化

 人間の悪意や社会的にタブーと思われる題材を、大胆なコメディーへと変えてきた劇作家・演出家・小説家の松尾スズキ。2005年に出版された長編小説『クワイエットルームにようこそ』は、その年の芥川賞候補に選ばれ、2007年には自らの監督で映画化している。そんな松尾の代表作であり、もっとも縁が深いと思われるこの作品が、ミュージカルに生まれ変わった!主人公は、バツイチのフリーライター・明日香。大量の睡眠薬を飲んで意識不明となった彼女は、目覚めたら「クワイエットルーム」と呼ばれる精神病院の閉鎖病棟にいた。自殺志願者と思われてしまった明日香は、14日間の治療を受けることになるが、さまざまな問題を抱えた女性たちと交流するうちに、自分を見つめ直し始める。
 メンタルヘルスの問題を赤裸々に描きつつも、いろいろなことが一周回って笑えてきちゃうような原作の世界観。それを歌と踊りに変換することで、「深刻な問題を楽しく笑いながら知る」という面がより強調されることになるだろう。元宝塚歌劇団雪組トップ娘役の咲妃みゆが少しやさぐれた明日香役を、ヒーロー的な役が多い松下優也がどうも頼りない明日香の彼氏を演じるなど、変化球がすごいキャスティングにも期待大!

COCOON PRODUCTION 2026『クワイエットルームにようこそ The Musical』
日程/2月7日(土)~11日(水)
場所/ロームシアター京都 メインホール
作・演出/松尾スズキ 
音楽/宮川彬良 
出演/咲妃みゆ、松下優也、昆 夏美、りょう、秋山菜津子 ほか
料金/S席12,800円(全席指定) ほか 発売中
チケット情報/kyodo-osaka.co.jp
問い合わせ/0570-200-888(キョードーインフォメーション)

☑ミュージカル『ISSA in Paris』

小林一茶がパリにいた?
和の心にあふれた巨匠の新作

原作映画も名高い『ナイン』を始め、数々の名作ミュージカルを生み出してきた巨匠、モーリー・イェストン。実は日本文学に造詣が深い彼が、「やせ蛙まけるな一茶これにあり」などの俳句で有名な俳人・小林一茶を題材にした新作を発表。一茶には記録に残っていない“空白の10年”があり、実は日本を抜け出してフランス革命時のパリを訪れていたという諸説が。現代で活動するシンガーソングライター・ISSAは、そんな彼の足跡を探すためにパリに赴き、やがて二つの時代が交錯する……。奇想天外な発想ながら、一茶の俳句が古今東西の人々の心を打つ、その理由を実感できるような世界が見られそう。海宝直人と岡宮来夢という、二人の“ISSA”の絡みも楽しみだ。

ミュージカル『ISSA in Paris』
日程/2月7日(土)~15日(日)
会場/梅田芸術劇場メインホール
原案・作詞・作曲/モーリー・イェストン
演出/藤田俊太郎 出演/海宝直人、岡宮来夢、潤花、豊原江理佳 ほか
料金/S席15,000円 ほか ※土・日・祝はS・A席+1,000円、B席+500円 発売中
チケット情報/www.umegei.com 
問い合わせ/0570-077-039(梅田芸術劇場)

☑神戸文化ホール 開館50周年記念事業『流々転々 KOBE 1942-1946』

鈴木浩介らが見せる、
戦中の神戸の秘められた風景

2023年に開館50周年を迎えた、神戸の公立劇場・神戸文化ホールのプロデュースで、俳人・西東三鬼の短編集『神戸・続神戸』が原作の舞台を上演。戦時中に東京を離れ、神戸の海と山を結ぶ坂道・トアロード付近にあるホテルに身を寄せた「私」の視点から、その時分でも異文化交流が残り独自の空気感を保っていた、北野かいわいの様子を描いていく。「私」を鈴木浩介、彼に近づく複数の女「たち」を元宝塚歌劇団の美弥るりかが演じる。演出は、鈴木が「ずっとご一緒したいと思っていた」と言う小野寺修二が担当。パントマイムやダンスを用いた、独特の身体表現によって作り上げられる神戸の風景は、むしろ神戸に住む人の方が発見が多いかも?

神戸文化ホール 開館50周年記念事業『流々転々 KOBE 1942-1946』
日程/2月14日(土)・15日(日)
会場/神戸文化ホール 中ホール
原作/西東三鬼『神戸・続神戸』(新潮文庫刊) 
演出/小野寺修二 
上演台本/山口 茜 
出演/鈴木浩介、美弥るりか、大西彩瑛、小倉 笑、高阪勝之 ほか
料金/一般5,500円(全席指定) ほか 発売中 
チケット情報/kobe-bunka.jp
問い合わせ/078-351-3349(神戸文化ホールプレイガイド)

☑た組『景色のよい観光地』

毒を通じて人間を暴く、
気鋭のクリエーターの会話劇

「第67回岸田國士戯曲賞」など数々の演劇賞を受賞し、その活動が『情熱大陸』で紹介されるなど、今最も注目の若手クリエーターと言っても過言ではない、加藤拓也が主宰する劇団・た組の新作公演。人間が隠そうとする闇の部分を、日常風景の中からじわじわと浮き上がらせる会話劇が特徴だ。今回は、山中の観光地にあるモダンな茶屋が舞台。「毒」と言われる素材を料理することに魅せられた人々の、おかしくもスリリングな人間模様を描いていく。食においても人間関係においても、なぜ人はあえて毒を取り込もうとしてしまうのか?そのさまざまな理由や心理に触れることで、自分なりの解毒の方法を見つけられるかもしれない。

た組『景色のよい観光地』
日程/2月21日(土)・22日(日)
場所/ABCホール
作・演出/加藤拓也
出演/平原テツ、田村健太郎、安達祐実、宮﨑秋人、吳静依(Jing Wu) ほか
料金/7,200円(全席指定) 発売中 
チケット情報/takumitheater.jp
問い合わせ/0570-200-888(キョードーインフォメーション)

<今月の劇レア!>
☑『いのこりぐみ』

三谷幸喜脚本『鎌倉殿の13人』夫婦が、
学校で激突!

最新ドラマ『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』(フジテレビ)で、演劇への強い愛情を描ききった人気作家・三谷幸喜が、放課後の教室で巻き起こるモンスターペアレントをテーマにした四人芝居を上演。しかも三谷が脚本を務めた2022年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で、主役の北条義時を演じた小栗 旬と、義時の命を狙う後妻を演じた菊地凛子が、次は舞台上で火花を散らす。アカデミー賞助演女優賞にノミネートされるなど、映像で比類なき存在感を発揮してきた菊地は、意外にもこれが初舞台。小栗いわく「笑いを封印した社会派作品をやると仰っていたけど、台本を読んだらしっかりコメディー」という、三谷流社会派芝居は要チェックだ。

完売注意につき前売券を要CHECK!!
『いのこりぐみ』
日程/3月27日(金)~29日(日)
場所/SkyシアターMBS
作・演出/三谷幸喜 
出演/小栗 旬、菊地凛子、平岩 紙、相島一之 ほか 
料金/一般12,000円(全席指定)1月31日(土) 発売 
チケット情報/delight-ent.com
問い合わせ/0570-200-888(キョードーインフォメーション)

※チケットの販売状況、当日券については各HPやSNS等で最新の情報をご確認ください。

※この記事は2026年3月号からの転載です。記事に掲載されている店舗情報 (価格、営業時間、定休日など) は掲載時のもので、記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。最新情報をご確認の上お出かけください。

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SAVVY3月号「関西の美術館とアート」
発売日:2026年1月23日(金)定 価:900円(税込)