アートが身近にあるのって
すごくうれしいことですよ
アイドルグループ「Aぇ! group」の一員として多ジャンルで活躍する一方、俳優としても着実に評価を高めている正門良規。新感覚の美術鑑賞体験ができる「イマーシブミュージアム」シリーズでは、2年連続でアンバサダーに就任した。音楽や演技だけでなく、美術や街歩きにも鋭いアンテナを張る正門は、この先どこに向かっていくのだろう?
名作の細かい部分も分かる
映像のすごさが見どころ
編集部(以下・編) 正門さんが今回のイマーシブミュージアム「印象派と浮世絵」で一番好きだという、『菊花に虻(※作品名は諸説あり)』(葛飾北斎)と『ひまわり』(V・ゴッホ)がリンクするシーンを、写真のバックにしました。これを選んだ理由は?
正門(以下・正) 北斎の線の細かさと、ゴッホの筆の大胆さ、そのリンクの塩梅が絶妙なんです。「線がこんなに入ってるんや!」「こんな筆遣いなんや!」という気付きは、このサイズだからこそ感じられるんじゃないかと。イマーシブミュージアムは、陰影とかも元の作品と変わらないぐらい映像で再現されていて、作品へのリスペクトを感じられるのが大好きです。
編 美術はもともとお好きでしたか?
正 うちのオカンが割と美術が好きなので、小さい時にゴッホの絵を観に行ったりしてました。アンバサダーになってからは、美術館に通う回数が多くなったり、グッズを身に着けるようになりました。やっぱりアートが身近にあるって、うれしいですから。あとは街なかのギャラリーとかで、骨とう品があると見ちゃうようになりましたね。買いはしないんですけど(笑)
編 「印象派は日本の浮世絵の影響を受けた」とはよく聞きますが、大画面で絵を動かしながら作品を重ねていくことで、それを改めて実感することができました。
正 オマージュというか、近さを感じられますよね。絵が動くうちに、リンクしている部分の点と点がつながっていくのは、観ていて気持ちが良いです。バックの音楽も和のテイストが入っているから、二つの文化の交わりを耳でも感じられると思います。
編 今までAぇ! groupのメンバーで、誰か観に来た人はいますか?
正 こじけん(小島健)とは一緒に観ました。彼は普段おしゃべりだけど、僕の音声ガイドをイヤホンで聞いてじっと観ていて「ええリアクションしてるやん」って思いました。佐野(晶哉)ちゃんには、去年「目標来場者数を達成できなかったら、来年は(アンバサダーは)僕ですね」と言われましたけど、続投できてよかったです(笑)。
妄想ができるというのは
成長ができたということ
編 Aぇ! groupの露出が増えるのと比例して、ソロ活動も増えていますが、「グループがあって良かったなあ」と思うケースも出ているのではないかと。
正 お仕事でご一緒した役者さんには「グループはいいね。終わった後に帰る場所があるから」と、よく言われます。役者さんはだいたい個人でやっていて、現場が終わったら次はいつみんなに会えるか分からないから、結構孤独だよ……って。我々はプライベートではあまり会わないし(笑)、そんなにお互い依存してる感じはないけど、それでも今のこの環境はありがたいことなんだろうなぁ、と思いますね。
編 アンバサダーに番組MCと、活躍の場がどんどん広がっていますが、今後力を入れたいことはありますか?
正 自分のことだけで言うとお芝居。グループのためなら、音楽面のレベルアップです。お芝居は最近、台本を読みながら「ああかな、こうかな」と妄想する時間を楽しめるようになりました。昔はせりふを覚えて、現場に行くという作業が区切られた感じやったけど、今回のドラマ(『ムサシノ輪舞曲』)ぐらいから、それが全部つながってきたので、成長したのかなと思います。音楽は、ギターを触る時間がどんどん増えています。
編 とある記事で見た、好きなギタリストのラインアップとその知識量に驚きました。
正 最近はスタジオミュージシャンでも、演奏をネットに上げている方が多いから、時間があったら探しています。良いフレーズがいろんな所に転がっているから、時間を忘れて練習しちゃう。ギターは沼やなあって、改めて感じています。
編 また、散歩好きで有名な正門さんですが、関西でお薦めの散歩スポットはありますか?
正 「京都国際マンガミュージアム」も近い、烏丸丸太町の辺りがすごく面白いです。昔からある器屋さんとか、古い家がそのままカフェになってるとか、いろんなものが京都の景観を守った上で、ばーっと詰まってるから、歩いていて楽しい。重要文化財が、街に平然とあったりしますしね。
編 最後にアンバサダーとして、本誌の読者にとって、イマーシブミュージアムはここが楽しいよ! というポイントを教えてください。
正 アートって難しい、どう観たら良いか分からないという印象を持ってる人もいると思うんですけど、これは絵の方から「ここを観て!」という感じで迫って来てくれます。初心者の人でも、絵をよく知ってる人でも、それぞれが楽しめるはず。あとは撮影が自由だから、ここでしか撮れないような写真も撮れるので、思い出作りにもピッタリ。お仕事終わりでも間に合う時間までやっていますので、ぜひぜひカジュアルな気持ちで観に来てほしいです。
Profile
正門良規(Aぇ! group)
YOSHINORI MASAKADO
2019年2月結成「Aぇ! group」のメンバー。NHK連続テレビ小説『スカーレット』(2019年)をはじめ、森 新太郎が演出を手掛けた舞台『ヴィンセント・イン・ブリクストン』(2022年)などに出演。俳優業以外にも『サタデープラス』(MBSテレビ)レギュラー出演など、幅広く活動を行っている。Aぇ! groupとして2024年5月15日「《A》BEGINNING」で、CDデビューを果たす。2025年4月期ドラマ『ムサシノ輪舞曲』(テレ朝系)では連続ドラマ初の主演を務める。
INFORMATION
『Immersive Museum OSAKA 2025
印象派と浮世絵~ゴッホと北斎、モネと広重~』
開催中〜9月5日(金)
「鑑賞する絵画から、体感する絵画へ」をテーマに、最新の映像技術を使って、有名絵画の世界の中に入り込める、新感覚のアート展。今回は日本の浮世絵に影響を受けた印象派の作品と、浮世絵の世界をミックス。ゴッホや北斎などの名作絵画がリンクしながら、現実の風景のように動いていく姿は圧巻の一言!
会場/堂島リバーフォーラム
時間/10:00〜20:00※19:00最終入場
料金/当日券2,500円(土・日・祝、8/12〜8/22は2,700円)
問い合わせ/0570-200-888(キョードーインフォメーション)
公式HP/immersive-museum-osaka.jp
写真/中島真美 取材・文/吉永美和子
※この記事は2025年8月号からの転載です。記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。最新情報をご確認の上お出かけください。