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今月のイチオシ作品を、20年以上関西の演劇シーンを見つめ続けるフリーライター・吉永美和子が5作品をピックアップ!

文/吉永美和子
20年以上関西の演劇シーンを見つめ続けているフリーライター。地元の小劇団から伝統芸能まで、ジャンルを問わずに観劇している。趣味は旅行といろんなお茶をたしなむこと。

※チケットの販売状況、当日券については各公式サイトをご確認ください。

☑Bunkamura Production 2025『おどる夫婦』

長澤まさみ×森山未來、伝説のコンビを舞台で

2004年に『世界の中心で、愛をさけぶ』にて、2011年には『モテキ』でと、2本の大ヒット映画でタッグを組んできた長澤まさみ&森山未來。この二人が、『モテキ』での共演以来14年ぶりに、しかも舞台では初めてのW主演を果たす。
 本作の作・演出を務めるのは、骨太な群像会話劇を得意とし、岸田國士戯曲賞をはじめとする多くの賞を獲得している蓬莱竜太。「まだ言葉が見つかっていないような男女の関係を自分なりに描きたい」(公式サイトより)というのを目標に、一組の夫婦とその周辺の人々の、10年間の軌跡を描いていくという。お互いに現代社会に生きづらさを感じ、そのまま夫婦となった男女。理解し合っているようだけどズレている、信頼があるみたいだけどこの関係性がつかめない……などの葛藤に翻弄され、踊らされていく二人が行き着く先は?
 『モテキ』以降は数々の演劇作品に挑戦し、圧倒的な舞台度胸と存在感で着実に評価を高めてきた長澤に、世界レベルの身体能力を武器に、10代の頃からさまざまなジャンルの舞台で活躍してきた森山。まさに「満を持して」という感じで共演する二人が紡ぐ物語から、夫婦とは何か?愛とは何か?という大きなクエスチョンへの、自分なりの答えが見つけられるかもしれない。

Bunkamura Production 2025『おどる夫婦』
日程/5月10日(土)~19日(月)
場所/森ノ宮ピロティホール
作・演出/蓬莱竜太 出演/長澤まさみ、森山未來、松島 聡、皆川猿時、小野花梨、伊藤 蘭 ほか 
料金/S席13,500円(全席指定) ほか
公式HP/www.bunkamura.co.jp
問い合わせ/0570-200-888(キョードーインフォメーション)

☑muro式.『トイ』

ムロツヨシのライフワークとしている舞台

数多くのドラマやテレビに登場する人気俳優のムロツヨシが、自分のやりたい表現を実現+自己アピールをする場として継続するプロデュース舞台「muro式」。今年下半期の朝ドラ『ばけばけ』の脚本を務めるふじきみつ彦協力の下、大河ドラマ『光る君へ』の百舌彦役で注目されたmuro式常連の本多 力、ムロが以前から舞台での共演を熱望していた大西礼芳と上演する。タイトル通り、いろんな「問い」が詰まったオムニバスになるそう。「とにかく笑ってもらいたい。全力でふざけたバカらしい男を見てほしい」と語るムロ。近年はシリアスな演技も光るが、笑いに振り切った時のムロのすごさも、ぜひライブで目撃して!

muro式.『トイ』
日程/5月25日(日)~6月1日(日)
場所/森ノ宮ピロティホール
メインテーマ曲/東京スカパラダイスオーケストラ 
出演/大西礼芳、本多 力、ムロツヨシ
料金/一般9,000円(全席指定) ほか ※追加公演(5月26日(月)14:00) 発売中
公式HP/kyodo-osaka.co.jp 
問い合わせ/570-200-888(キョードーインフォメーション)

☑大阪・関西万博開催記念『薫風歌舞伎特別公演』

万博意識の新作歌舞伎も! 人気の歌舞伎俳優の共演

「EXPO 2025 大阪・関西万博」開催を記念し、上方の歌舞伎俳優たちを中心とした特別公演を実施。第一部は「歌舞伎」の変遷を描く新作舞踊劇『今昔歌舞伎草紙』と、『西遊記』の世界を桃山時代の上方に移した『夢窓西遊記』。第二部は『アラジンと魔法のランプ』の原作を基にした『千夜一夜譚』。第三部は片岡愛之助の一人十一役(!)と、本物の水を使った立ち回りも見どころの『鯉つかみ』を上演。万博意識の新作もある第一部、おなじみの童話と歌舞伎の融合を楽しむ第二部、歌舞伎のダイナミックさを味わえる第三部。いずれもお薦めだけど、個人的には老若男女を早替わりで演じる愛之助に驚かされる第三部が必見!

大阪・関西万博開催記念『薫風歌舞伎特別公演』
日程/5月11日(日)~25日(日)
場所/大阪松竹座
出演/中村鴈治郎、片岡愛之助、中村壱太郎、中村橋之助、中村虎之介、市川中車、中村扇雀
料金/一等席13,000円(全席指定) ほか 発売中
公式HP/www.kabuki-bito.jp
問い合わせ/06-6214-2211(大阪松竹座)

完売注意なので前売り券を要CHECK!
☑ミュージカル『ジェイミー』

僕の夢はドラァグクイーン! 実話ベースの名作

イギリスの放送局・BBCのドキュメンタリー番組を基に、全ての「自分らしさ」を求める人への応援歌となったミュージカルが帰ってきた! 16歳の高校生・ジェイミーの夢はドラァグクイーンになることで、高校のプロムも自分の好きな格好で行きたいと願っている。母親は彼に理解を示す一方、父親や学校関係者たちはそれを止めようとする……ジェイミー役は、初演でも同役を演じたWATWINGの髙橋颯と、『レ・ミゼラブル』のマリウス役に史上最年少で抜てきされた三浦宏規のWキャスト。差別や偏見を、文字通り歌って踊りながら乗り越えていくジェイミーのポジティブな姿に、前向きな気持ちを呼び起こされるはず!

ミュージカル『ジェイミー』
日程/8月1日(金)~3日(日)
場所/新歌舞伎座
作/トム・マックレー 日本版演出・振付/ジェフリー・ペイジ 
出演/三浦宏規・髙橋颯(Wキャスト)、安蘭けい、唯月ふうか・遥海(Wキャスト) ほか
料金/S席14,000円(全席指定) ほか ※5月21日(水)発売 
公式HP/www.shinkabukiza.co.jp
問い合わせ/06-7730-2222(新歌舞伎座テレホン予約センター)

☑ミュージカル『フランケンシュタイン』

歌にのせて「人間」を考えるゴシックミュージカル

誰もがその名を知る、禁断の人造人間が登場するゴシックホラーの傑作小説を、大胆な解釈を加えてミュージカル化した舞台の再演。科学者のビクター・フランケンシュタインは、無実の罪で絶命した親友をよみがえらせるため、人造人間の実験をおこなう。しかし彼は「怪物」と化し、ビクターへの復讐を誓うようになる……。人間の暗部に迫るシリアスなストーリーと、メインキャスト全員が二役を演じる趣向が見どころ。初演から出演する中川&加藤に、初めて本作に挑戦する小林&島と、どの組み合わせを選ぶかも開演前からの楽しみ。俳優たちの歌唱と演じ分けに圧倒されつつ、人間や友情の本質について考えさせられるだろう。

ミュージカル『フランケンシュタイン』
日程/5月17日(土)~21日(水)
場所/神戸国際会館こくさいホール
音楽/ブランドン・リー 脚本・歌詞/ワン・ヨンボム 潤色・演出/板垣恭一 出演/中川晃教・小林亮太(Wキャスト)、加藤和樹・島 太星(Wキャスト) ほか
料金/S席15,000円(全席指定) ほか ※土・日はS・A席+1,000円、B席+500円 発売中
公式HP/www.tohostage.com/frankenstein/
問い合わせ/06-6377-3800(梅田芸術劇場)

※チケットの販売状況、当日券については各公式サイトをご確認ください。

※この記事は2025年6月号からの転載です。記事に掲載されている情報は掲載時のもので、記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。最新情報をご確認の上お出かけください。

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