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今月のイチオシ作品を、20年以上関西の演劇シーンを見つめ続けるフリーライター・吉永美和子が5作品をピックアップ!

文/吉永美和子
20年以上関西の演劇シーンを見つめ続けているフリーライター。地元の小劇団から伝統芸能まで、割とジャンルを問わずに観劇している。趣味は旅行といろんなお茶を嗜むこと。

※チケットの販売状況、当日券については各公式サイトをご確認ください。

☑ミュージカル『昭和元禄落語心中』

©雲田はるこ/講談社

名作落語家漫画を山崎育三郎らがミュージカルに

戦前から現代を舞台に、日本の落語界の状況と、二人の天才落語家の因縁話を同時に描き出した、雲田はるこの人気漫画『昭和元禄落語心中』。2018年のドラマ版で、登場人物の一人・助六を演じたミュージカル俳優・山崎育三郎が、長年望んでいた日本オリジナルミュージカルの題材として、この作品に白羽の矢を立てた!
「昭和最後の大名人」と称される落語家・有楽亭八雲の下に、刑務所帰りの与太郎が押しかけ、弟子入りする。与太郎は自分の落語を探す過程で、八雲のライバルだった早世の天才落語家・有楽亭助六の存在に行き着くが、八雲と助六の間には落語家として、男として、あまりにも壮絶な過去があった……。山崎は、ドラマで舞台ファン以外にもその名を知られるきっかけとなった当たり役・助六を続投。八雲は、達観したようなトーンが原作の八雲と重なる古川雄大。この二人と深い関係となり、現代パートにも大きな影響を与える芸者・みよ吉は、明日海りおが務める。人間ドラマと古典落語を交錯させつつ、落語の世界のリアルも浮き彫りにしていく原作を、どちらかというと西洋的&少女漫画風の舞台を得意とする小池修一郎が、どのように演出するかに期待だ。

ミュージカル『昭和元禄落語心中』
日程/3月29日(土)~4月7日(月)
場所/フェスティバルホール
原作/雲田はるこ『昭和元禄落語心中』(講談社『BE•LOVE』) 脚本・演出/小池修一郎 出演/山崎育三郎、明日海りお、古川雄大、黒羽麻璃央、中村梅雀 ほか 
料金/S席16,500円(全席指定) ほか※土・日、4月7日(月)は+1,000円 発売中
公式HP/rakugoshinju-musical.jp
問い合わせ/06-6377-3800(梅田芸術劇場)

☑ミュージカル『イリュージョニスト』

イリュージョンと音楽で魅了する待望の舞台が実現

激動かつロマンチシズムにあふれた、世紀末ウィーンで展開される禁断の愛の物語を、イリュージョン(マジック)とミュージカルを融合させて描き出した大作。日本ではコンサートでしか上演されていなかった作品の、フルバージョン公演がついに実現する。世界的なイリュージョニストと、オーストリア皇太子の婚約者を巡る予測不可能な物語を、クラシカルな音楽に加えて、実際にイリュージョンを披露しながら見せていく。子役時代から数々の名作舞台で存在感を発揮してきた海宝直人、元宝塚歌劇団月組トップ娘役の愛希れいかなどの豪華キャスト陣が、見どころも聞かせどころも満載の舞台を作ってくれるはず!

ミュージカル『イリュージョニスト』
日程/4月8日(火)~20日(日)
場所/梅田芸術劇場メインホール
演出/トム・サザーランド 出演/海宝直人、成 河、愛希れいか、栗原英雄、濱田めぐみ ほか 
料金/S席15,000円(全席指定) ほか※土・日は+1,000円 発売中
公式HP/illusionist-musical.jp
問い合わせ/06-6377-3800(梅田芸術劇場)

☑イッセー尾形の右往沙翁劇場 番外編『銀河鉄道に乗って』

写真/浅田政志

宮沢賢治の世界を、一人芝居の名手がどう描く?

卓越した演技力で、数多くのテレビ・映画に出演している名優、イッセー尾形。50年近く一人芝居をライフワークとし、ここ最近は毎年、大阪の[近鉄アート館]で新作を初披露している。今年も大阪公演が開催されるが、今回はイッセーが宮沢賢治から着想を得た短編をまとめた『人情列車』(スイッチ・パブリッシング)の刊行を記念して、賢治を題材にしたオムニバスを上演。誰もが知る彼の童話をそのまま演じるのではなく、特定の脇役にスポットを当てて、彼(彼女)の立場からその世界を見つめ直してみるのが、イッセーの特徴。笑いとペーソスたっぷりに描かれた未知の賢治ワールドと、老若男女を見事に演じ分ける名人芸を楽しんで。

イッセー尾形の右往沙翁劇場 番外編『銀河鉄道に乗って』
日程/4月9日(水)~13日(日)
場所/近鉄アート館
作・演出・出演/イッセー尾形
料金/5,800円(全席指定) 発売中
公式HP/kintetsuartkan.jp
問い合わせ/06-6622-8802(近鉄アート館)

☑『マスタークラス』

望海風斗が挑む、マリア・カラスの魂の「授業」

元宝塚歌劇団雪組トップスターで、退団後は高い歌唱力を生かして、ミュージカルを中心に活躍している望海風斗。「20世紀最大の歌姫」と言われるオペラ歌手、マリア・カラスを演じる舞台で主演を務めるが、彼女自身の歌唱シーンはない。マリアが実際におこなったマスタークラス(公開授業)を通して、彼女の音楽や芸術に対する情熱と、激動の人生を浮かび上がらせるストレートプレイだ。「いろいろなことを戦い抜いた人。戦い続けるからこそ前に進めるという姿に、とても憧れる」とマリアを評する望海。芸術とは? 音楽とは? ということだけでなく、自分を貫く術も教えてくれる。そんなマリア像を体現するだろう。

『マスタークラス』
日程/4月12日(土)~20日(日)
場所/サンケイホールブリーゼ
作/テレンス・マクナリー 演出/森 新太郎 出演/望海風斗、谷本喜基 ほか
料金/一般11,000円(全席指定) ほか 発売中 
公式HP/masterclass.westage.jp
問い合わせ/0570-200-888(キョードーインフォメーション)

完売注意なので前売り券を要CHECK!
☑2025年劇団☆新感線45周年興行・初夏公演 いのうえ歌舞伎【譚】Retrospective『紅鬼物語』

悲しき鬼の物語で、柚香 光が劇団☆新感線に登場

華やかな容姿と高いダンスの技術で人気を集めた、元宝塚歌劇団花組トップスターの柚香 光が、退団後初の舞台として、日本屈指のエンタメ劇団・劇団☆新感線に主演! 鬼とおぼしき者に妻子をさらわれた男が、二人の行方を探していく中で、悲しき因果が浮かび上がってくる……という、「酒呑童子」の伝説をベースにした、おとぎ話の要素の強い物語だ。とはいえ、柚香の魅力を生かしたダンスや殺陣などが満載の、ショーアップした舞台になることは確実。新感線には7年ぶりの登場となる舞台俳優・鈴木拡樹や、ゴールデンボンバーの喜矢武豊などの、個性も実力も十分な共演者たちとの絡みにも注目したい。

2025年劇団☆新感線45周年興行・初夏公演 いのうえ歌舞伎【譚】Retrospective『紅鬼物語』
日程/5月13日(火)~6月1日(日)
場所/SkyシアターMBS
作/青木 豪 演出/いのうえひでのり 出演/柚香 光、早乙女友貴、喜矢武 豊、一ノ瀬 颯、樋口日奈、粟根まこと、千葉哲也、鈴木拡樹 ほか
料金/一般15,800円(全席指定) ほか 4月13日(日)発売開始
公式HP/www.vi-shinkansen.co.jp/akaoni/
問い合わせ/0570-200-888(キョードーインフォメーション)

※チケットの販売状況、当日券については各公式サイトをご確認ください。

※この記事は2025年5月号からの転載です。記事に掲載されている情報は掲載時のもので、記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。最新情報をご確認の上お出かけください。

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SAVVY5月号『北浜・中之島』
発売日:2025年3月22日(土)定 価:900円(税込)