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本誌でもおなじみのファッションモデル、花梨さん。近年はコラージュアーティストとしても活躍中。さらに俳優としても! 映画初出演作となる『大阪古着日和』のお話と共に、アーティスティックな花梨ワールドの秘密を聞きました。

スチールから映画の世界へ
モデル・花梨の新たな挑戦

無理に演じなくても
自然にナナでいられた

編集(以下、編)   『大阪古着日和』に出演された経緯を教えてください。
花梨 知り合いのスタイリストさんが推薦してくださったんです。前身となったYouTubeドラマ『東京古着日和』にモデルさんが出ていた感じと同じかなと思ってたら、想像以上に台詞が多くて。不安はありましたが、昔から映画は好きで憧れていたので挑戦してみようと思いました。
編 今回演じたナナは、東京出身でコラージュアーティストを目指している女の子。限りなく花梨さんに近いですよね。
花梨 そうなんです。監督もこのままでいいよと言ってくださったので、もっと自分のまま映ってるかなと思っていたんですが、完成した作品を見たら、ちゃんとナナになってたので驚きました。台詞も最初は「ナナの言葉」って感じだったのに、いつのまにか自分の言葉になっていて、面白かったですね。それはたぶん、主演の森田さん(芸人・さらば青春の光の森田哲也)や光石(研)さんが、私をナナとして接してくださったのが大きくて、無理に演じなくても、自然にナナとしてそこにいられたんです。
編 確かに、森田さんも限りなくご本人に近い役ですし、カットが掛かってるのが想像できないぐらい、みなさん自然でした。
花梨 森田さんにはもっとぐいぐいくるイメージを持ってたんですが、すごく柔らかくて優しい方で。撮影の4日間、ずっと台詞合わせをしてくれて「え、ここはこうやろ?」ってツッコミつつアドバイスをくださいました。
編 そんな初めての映画の現場はいかがでしたか?
花梨 みんなで一緒に一つのものを作っていって、そこに一つのパッションがあるのがいいなと思いました。自分が映画を見ているときは、役者さんだけが表に出てくると思っていたんです。でも、実際は表も裏もない。音楽が付くだけでまったく違うものになるし、演じていても最終的にどうなるのかまったくわからない。役者は監督の作る世界の一つになるってことなんだなと実感しました。

古着欲も食欲も満たされた
幸せすぎる大阪ロケ!

編 『大阪古着日和』は古着愛にあふれた映画ですが、花梨さん自身、古着は好きですか?
花梨 大好きです。でも、どちらかといえばクラシカルなものが好きで、アメカジは通ってなかったので、洋服のタグがどうとかも詳しくは知らなくて。森田さんたちの会話を通して、新しい扉が開かれました。今回はナナがバイトをする[SALON BONKURA]の他に、アメ村や中崎町の古着屋さんで撮影をしたんですが、個人的にも撮影の合間に古着屋さんを回って、10着ぐらいお買い物しちゃいました(笑)。
編 大阪で特に印象に残ったことはありますか? 
花梨 森田さんと一緒に古着屋さんを回った時、最後にスエットをプレゼントしてもらったんです。映画とシンクロしてすごくいい思い出になりました。あと、大阪は食べ物がおいしかった! 森田さんの実家のおそば屋さんとか、森田さんと光石(研)さんが語り合った居酒屋さんとか、劇中で食べたものは全部おいしかったです。古着欲も食欲も満たされた幸せな撮影でした。

コラージュは風景を
自分好みに変換させる遊び

編 花梨さんは、コラージュアーティストとしても活躍されていますよね。
花梨 昔から切り貼りするのが好きで、雑誌の切り抜きとか旅行の思い出のものとか写真を切り貼りしてました。私にとってコラージュは日常の風景を自分好みに変換させる感覚。普段から街を歩いていて「あのビルに翼が生えてたらなー」みたいな空想をするのが好きで、言葉遊びみたいに概念を変換していくことがコラージュにつながってるのかなと思います。
編 花梨さんのコラージュ然り、ファッションやライフスタイル然り。かわいらしくてファンタジックな独特の世界観があります。そのルーツはどこにあるのでしょう?
花梨 もともとリンドグレーンとかエルサ・ベスコフとか、絵本や児童文学が好きで、その影響はあるかな? 家庭環境も父と母がデザイナーで、家に画集や写真集がたくさんあって、美術館にもよく行ってましたね。あと、おじいちゃまが美術品を集めるのが好きだったので、家にそういうものが置いてあったり。自然に吸収していたんだと思います。わりとこれは好き、これは嫌いというのがはっきりあって、洋服でもインテリアでも、この色はちょっと違うなとか、この配置は違うとか、こだわりは強いかも(笑)。
編 今後、挑戦してみたいことはありますか?
花梨 肩書きみたいなものは限定したくないので、機会があればなんでもやりたいですね。個展もやりたいし、映像コラージュもやってみたい。海外にも行ってみたいし、お芝居の世界ももっと見てみたいです!

Profile
花梨
1997年、東京生まれ。17歳でモデル活動を開始。ファッションからライフスタイルまで、雑誌や広告を中心に幅広く活躍する。現在はコラージュアーティストとしてさまざまな場で活躍を広げている。

Roadshow
『大阪古着日和』公開中
堺出身のお笑い芸人、哲矢は単独ライブのために大阪を訪れる。仕事の合間に偶然立ち寄った店は、古着好き・アメカジ好きにとって夢のような場所だった。一着の古着とひとりの女の子との運命の出会い。大阪の片隅で恋と仕事の狭間で揺れ動く男をコメディタッチで描いた、ほろ苦い3日間の物語。

監督・脚本/谷山武士 脚本/廣川祐樹 
出演/森田哲矢(さらば青春の光) 光石 研 花梨ほか 
劇場/シネ・リーブル梅田 アップリンク京都ほか
『大阪古着日和』公式HP:https://osakavintagediary.com/

写真/サカイデジュン 取材・文/井口啓子 
スタイリスト/オクトシヒロ ヘアメイク/大島千穂 

※この記事は、2023年6月号からの転載です。

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SAVVY6月号『花とグリーン』
発売日 2024年4月23日(火)定 価 900円(税込)