今月のブックショップスタッフ
[余波舎/NAGOROBOOK]涌上昌輝さん
京都・今出川[余波舎/NAGOROBOOK]
2024年に町家の2階にオープンした、古本と新刊を扱う書店。文芸書やレシピ本、リトルプレスなどがジャンルレスに並ぶ本棚は、意外な出合いも楽しめる。不定期で開催するアート展示やポップアップイベントも要チェック。
『ロンボク島通信』
著/篠原幸宏
1,000円
読み終えるのが惜しくなる
“読む”喜びに満ちた紀行小説
長野在住の著者によるリトルプレス。インドネシアのロンボク島に、何もしない時間を過ごすために滞在した日々と、そこで見たものや起こったことから連想/回想される小さな記憶とエピソードの数々。島の空気の緩やかさがそのまま文体となって現れ、何でもないこと(例えばそれは[ロイヤルホスト]のパンケーキ)を思い出すことこそが時を重ねること、今ここにいること、本を読むことの豊かさだと知る、終わりなきおしゃべりのような紀行小説です。
『カニは凄く速い』
著/熊野達彦
こじか社 1,210円
小さな習慣や思いつきを重ね
とじることで生まれる世界
京都のワインショップ[仔鹿]の出版部門[こじか社]よりリリースの漫画集。2コマから5コマほどで表現される“あるわけない”と、“あるかもしれない”の間を行ったり来たり漂うような、動物たちのシュールでナンセンスな会話と所作と想念。一編ずつだとあり得ないことでも続けて読めば、世界の未だ見ぬ摂理への扉が徐々に開いていくような気もする、脱力系ならぬ“脱臼系”数コマ漫画集。何より、たくさんの種類で描かれる動物たちがかわい過ぎます。
店舗情報
余波舎/NAGOROBOOK
- 電話番号なし
- 住所京都市上京区前之町443 2F
- 営業時間12:00~19:00
- 定休日月・火
- アクセス市バス「堀川寺之内」バス停から徒歩5分
※この記事は2025年4号からの転載です。記事に掲載の情報は掲載時のもので、記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。最新情報をご確認ください。