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郊外の憧憬に浸る43分

☑『suburbs』/speedometer.


*asanoya books/felicity 発売中 2,300円

大阪の音楽家、高山 純のソロユニットによる“郊外”をテーマとした新作。1995年にテクノDJ・田中フミヤのレーベルからデビューし、ソロと平行し、小籔千豊らのバンド、ビッグポルノにも関わるなど、ブレイクビーツと電子音を軸に稀有な道を歩んできた氏。今作はビートとその間、音響を味わう43分。ニュージャズの風合いも。記憶の憧憬(しょうけい)のような音風景にじっくり浸れる全8曲なり。漂うストレンジャー感は氏ならでは。藤井寺[アサノヤブックス]からリリース。

これが好きなあなたには……
☑『AUTORA』(2010年)/AUTORA

関西のテクノ黎明期から活動する高山純と山本アキヲによるエレクトロ・ユニット。固有のジャンルにあてはまらない、アブないエキゾな電子のファンクミュージックは今でも唯一無二。砂十島NANIと森雄大がサポート参加している。

文/中村悠介
編集者。京都市在住。9/1(日)、京都・北白川のライブハウス[外]のバザーに出店します。山本精一さん、佐々木敦さん、空間現代さんも。

心のざわつきを俯瞰する静かな炎

☑『My Method Actor』/Nilüfer Yanya


*Beat Records / Ninja Tune 9月13日(金)発売 2,640円

ロンドンのシンガーソングライター、Nilüfer Yanya(ニルファー・ヤンヤ)による3rdアルバム。あらゆるジャンルを調合した特異なサウンドには、Nilüferにしか表現し得ない唯一無二の魅力がある。軽快なリズムに、かげりのあるコード。そこに渦巻くフィードバックギターは、心のざわつきを助長していく。そんなふうに展開していくシリアスな世界の中で、得体の知れない不安を俯瞰するような彼女のソフトな歌声。静かに燃える炎のようでもあり、情熱的で美しい。

これが好きなあなたには……
☑『Doolittle』(1989年)/pixies

Nilüferが影響を受けたというバンド、pixiesの名盤。聴いた当初は衝撃と戸惑いだったことを今でも覚えている。冷静に聴くと変態なおじさんが叫んでいてギターもごう音で怖いのに、ポップに仕上がっているのはもう、天才としか言いようがない。

文/Tokiyo Ooto
大阪を拠点に活動するシンガーソングライター/ギタリスト。8/24(土)に、ドローン奏者orhythmoとのアルバムが発売されます!

グルーヴ満点! フロアフレンドリーな一枚

☑『Why Lawd?』/NxWorries


*Stones Throw/BBQ 発売中 3,080円

アメリカ西海岸発、Anderson .PaakとKnxwledge(ノレッジ)によるユニット、NxWorries(ノーウォーリーズ)から、待望の2ndアルバムが到着! 実に8年ぶりとなる本作、親日家としても知られるKnxwledgeのローファイでスモーキーなトラック、Bruno Marsとのユニット・Silk Sonicでマス人気を確立したPaakの柔軟で遊び心のある歌はいずれも健在で、地肩の強さに感じ入ることひとしお。Snoop DoggやH.E.R.など豪華な客演陣にもご注目を!

これが好きなあなたには……
☑『Malibu』(2016年)/Anderson .Paak

Anderson.Paakの名を知らしめたクラシック。ソウル〜R&B〜ヒップホップなど、あらゆるブラックミュージックの奥行きを感じさせ、自然と体が動いてしまうサウンドは見事。自らドラムを演奏しながらシャウトする姿はアイコニックだった。

文/吉田暁音
SAVVYの編集部員。札幌生まれヒップホップ育ち。『Malibu』は、リリース当時の大学生の頃、クラブのフロアをジャックしていた思い出の盤です。

※この記事は2024年10月号からの転載です。記事に掲載の情報は掲載時のもので、記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。最新情報をご確認の上お出かけください。
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SAVVY1月号『よしもと漫才劇場となんば』
発売日 2024年11月22日(金)定 価 900円(税込)