中川大志_HE-100

エンタメの魅力を集約して
自分が驚くような舞台に

 作品を発表するたびに大きな話題を集める、俳優の岸谷五朗と寺脇康文による演劇ユニット「地球ゴージャス」。ユニットの結成30周年記念というメモリアルな舞台『儚き光のラプソディ』に出演する中川大志さん。「高校生のときに(地球ゴージャスの)舞台を観劇して心をわしづかみにされた!」と語るほど、憧れだったその舞台。どんな思いで臨むのでしょうか。

席を立ちたくないほど
魅了された舞台

編集部(以下、編)今回、『儚き光のラプソディ』へ出演が決まったとき、いかがでしたか?
中川大志(以下、中)びっくりしました! 寺脇さんとは子役のときに共演させていただいたんですけど、岸谷さんとは面識が全くなかったので。まさか自分が地球ゴージャスの舞台に出演するなんて、頭の片隅にもなかったです。
編  岸谷さんとは今作で初めての共演になるんですね。
中  そうですね。一昨年の『歌妖曲』を岸谷さんが観てくださったということを後から聞いて。自分の作品を観て、今回お声掛けいただけたことは、役者としてとてもうれしい気持ちです。
編  中川さんが初めて地球ゴージャスの作品を観たのはいつ頃でしょうか?
中  高校生のときに『The Love Bugs』を観劇したのが最初です。当時のブログに「いつかこの舞台に立ちたい」と書くほどすごく感激したのを覚えています。
編  今回の出演は中川さんにとって、まさに憧れの舞台になりますね。
中  まだ自分が役者になる前の子どものときから舞台観劇が好きで、下北沢の小さな劇場からミュージカルまで、いろんなジャンルの舞台をたくさん観に行きました。そのなかでも、地球ゴージャスは少し特別というか、“ショー„なんですよね。
編  当時、どんなところに感動したか覚えていますか?
中  ダンス、アクション、お芝居、美術と、全てがきらびやかで壮大なスケールで、もちろん演出やストーリーもすごくて。でも、一番心に残っていることは、「人のエネルギーってこんなにすごいんだ!」ということです。
編  舞台上の役者さんたちがそれだけ魅力的だったんですね。
中  もう、観ているお客さん側が嫉妬しちゃうくらいエネルギーにあふれてて。まさに生のエンタメの魅力というか、とにかくみんな楽しそうで、キラキラ輝いて見えました。それくらいカンパニー(公演チーム)の皆さんの空気感や結束を感じて、舞台が終わっても帰りたくないと思うような魅力がありましたね。

舞台を作り上げる日々は、
青春を過ごしている感覚

編  実際に稽古に入られてみてどうでしょうか?
中  10代の(鈴木)福くんから上は50代まで、メンバーの世代も幅広く、いろんなカラーを持った多彩な方々がそろっていて。そんな方たちと少しずつ舞台を作り上げていく感覚で、毎日とても充実してます。自分はまだ気付けてないような作品の魅力がまだまだ秘められていると思うので、仕上がっていくのが今からすごく楽しみです。
編  何か稽古中のエピソードはありますか?
中  岸谷さんと寺脇さんが本当に仲が良くて。ムードメーカー的な存在のお二人を筆頭にして、稽古場の雰囲気はすごくいいですね。もう今すぐにでも稽古場に戻りたいくらい、とにかく楽しんで稽古していて。青春って言葉が今の状況にすごくハマります(笑)。
編  青春……、すてきですね。
中  千穐楽までの限られた時間を一生懸命に稽古して、スタッフを含めたみんなで作品を作っていく感覚っていうのは、すごく青春を過ごしているなあって思うんですよね。

今も昔も変わらずに、
自分自身を驚かせたい

編  今作は地球ゴージャス初の会話劇とのことですが、中川さんはどんな姿勢で取り組んでいきたいですか?
中  会話劇ということに意識はあんまりしていませんね。ダンスや歌など、これから仕上げなきゃいけないチャレンジがたくさんあるので、そっちの方がドキドキしています(笑)。
編  それだけ見どころがたくさんある作品になるということですね。
中  間違いなくすごいものが出来上がると思います。誰でも立てる舞台ではないので、いろんなスキルを日々鍛えていけたらいいなと思っています。
編  地球ゴージャスの大阪公演は4年ぶりということもあって期待も高まりますね! 中川さんは関西での仕事の際の楽しみはありますか?
中  一昨年の『歌妖曲』では新歌舞伎座での公演があったり、昨年は映画の撮影で1カ月くらい京都に滞在していたのかな。仕事の合間にサウナに行くのが楽しみでした。
編  いわゆる、街の銭湯とかにも行かれるんですか?
中  古い建物をリノベーションした新しいサウナから、昔ながらのサウナまで行きますね。最近ようやく京都のマップが頭のなかに入ってきた感じで。好きなサウナとラーメン屋に行くのがリフレッシュになっています。
編  最後に、もしも高校生の中川さんが今回の舞台を見たら、ブログにどんなことを書くと思いますか?
中  まだ出来上がってないのでなんとも言えないのですが(笑)。そうですね……地球ゴージャスの舞台に立っているってだけで驚きだと思うんですけど、「こんなことができるなんて、本当に俺か!?」と思っているでしょうね。初めて挑戦することは怖いんですけど、それでも努力して続けていればできるようになる。自分自身に驚けたらうれしいことですし、すごくやりがいを感じながら、今も昔も変わらずお芝居に向き合ってます。

Profile
中川大志
NAKAGAWA TAISHI
1998年生まれ、東京都出身。2009年俳優デビュー。2019年に日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。2022年に音楽劇『歌妖曲〜中川大志之丞変化〜』にて、本格的舞台初出演ながら初主演。同年にはNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に出演と、幅広いジャンルで注目作への出演を続けている。

Daiwa House Special 地球ゴージャス三十周年記念公演
『儚き光のラプソディ』

5月31日(金)~6月9日(日)※【追加公演】6月4日(火)13:00

「逃げたい」という強い思いを持つ人々が、時空を超えてさまざまな場所から“謎の白い部屋”に集まる——。なぜこの人と、なぜこの部屋で、なぜこの時に私たちは出会ったのか。俳優の岸谷五朗と寺脇康文による演劇ユニット「地球ゴージャス」の結成30周年記念作品。

作・演出/岸谷五朗 
出演/中川大志、風間俊介、鈴木 福、三浦涼介、佐奈宏紀、
保坂知寿/岸谷五朗、寺脇康文 ほか
料金/13,500円(全席指定)
会場/SkyシアターMBS
公式HP/https://www.chikyu-gorgeous.jp/30th/
問い合わせ/☎︎0570-200-888(キョードーインフォメーション)

写真/エレファント・タカ 取材・文/関戸ナオヒロ

※この記事は、2024年7月号からの転載です。

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