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きれいなものを探しに行く

見て、体験して、思いを深めたくなる3冊

 コロナ禍からリモートワークが進み、オンラインでの打ち合わせやトーク、ライブ鑑賞などもすっかり日常になってきたという邑本さん。「私だけじゃないとは思うんですけど、わざわざ行かなくてもいい、ということで生まれた時間や精神的な余裕ってけっこう大きいですよね」。そんな中で選んだ3冊は、自分の内側でも冒険できるけど、外にも足を踏み出してみたくなるような本。

 1冊目はトーチwebで7年間連載された、ちょっぴり不思議なショートショートをまとめたコミックス。「二人の女の子が主人公で、彼女たちが自由気ままに空想の世界にトリップする短編がいっぱい。いわゆるストーリーらしいストーリーはないんですが、あるときは忍者になったり、レストランサービスになったり、俳優になったり、異世界にも行くし、不思議な生き物にも出会う。マルチバースっぽいといったらいいんでしょうか」。シンプルかつ多彩な漫画表現が楽しく、読んでいる自分自身も思いっきり想像の羽を伸ばしてみたくなるそう。

『飛行文学』 (著)しゃんおずん リイド社 1,430円

 2冊目はエジプト、中国、ペルーそれぞれを研究分野とする考古学研究者による、発掘現場での体験記。「ミイラや人骨との遭遇から、現地での病気、食事情・トイレの話まで、いろいろな“怖い”が詰まっていて、でもご本人たちは楽しそうで、こういうフィールドワークって最高だなあと思いました。どんな仕事でも面白がれるかどうかって大切ですよね」

『考古学者が発掘調査をしていたら、怖い目にあった話』 (著)大城道則、芝田幸一郎、角道亮介 ポプラ社 1,760円

 3冊目は、庭師であり、美学の研究者でもある著者による“作庭の記録”。「実際のお寺での庭造りを基に、庭の石がどう置かれたのか、植物がなぜこの場所か……など説いていく内容です。庭ってこんなにも作り手の意図が見えるものなんだ!と驚きました。お寺や造園の知識がない自分でもそうだから、絵を描く人や物作りをする人はさらに面白く思えるのでは。美しさというものを理論的にとらえるために、お庭に行ってみたくなりました」

『庭のかたちが生まれるとき 庭園の詩学と庭師の知恵』 (著)山内朋樹 フィルムアート社 2,860円


今月、スパイされた人
邑本 あさみさん ASAMI MURAMOTO
関西でメーカーに勤める多趣味な会社員。「読書は雑食派。常に何かしていたいタイプで、ゲームなども同時並行でいろいろやってます」

気になる本は、ぜひチェックしてみてくださいね。

※この記事は2024年1月号からの転載です。記事に掲載されている情報は掲載時のもので、記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。最新情報をご確認下さい。

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SAVVY1月号『よしもと漫才劇場となんば』
発売日 2024年11月22日(金)定 価 900円(税込)