結成15周年を記念して、ダンスライブ『踊ピポ』をはじめとするさまざまなプロジェクトが進行中の s**t kingz(シットキングス)にバイタリティあふれる活動の秘訣について聞きました。
「どうやったらダンスで楽しめるか」を突き詰めて
三浦大知や木村拓哉、AAA、BLACKPINK、EXOなど名だたるアーティストの振り付けのほか、ライブや舞台の演出、俳優、イラストレーター、YouTuberとしての活動など、多岐にわたって活躍する世界的ダンスグループ・s**t kingz(シットキングス、通称シッキン)。結成15周年を記念して、ダンスライブ『踊ピポ』をはじめとするさまざまなプロジェクトが進行中! バイタリティあふれる活動の秘訣について聞きました。
ありのままの姿で、新風を吹かせる
編集部(以下、編) 今や日本を代表するダンスグループのs**t kingzですが、結成当初はどの方向を見て活動されてましたか?
shoji(以下、s) どこも見てなかった(笑)。
kazuki(以下、k) YouTubeでやっと海外のダンスが見られるようになったくらいの時期に、shojiくんからShaun Evaristoっていうアメリカのダンサーのショーを見せてもらって。「こういうの日本でもやりたい!」と思って真っ先に声をかけたのが、今のメンバーです。最初はただただ新ネタを作ってクラブで踊るくらいだったんですけど、途中からBoAちゃんとか三浦大知とか、ちょっとずつメジャーなアーティストとs**t kingzでコラボをするようになったり、自分たちで舞台を始めたり。徐々にただのダンスグループじゃなくなっていったっていう感じですかね。
編 クラブで踊るダンサーから、芸能界わいでお仕事もするようになると、世界が全く違うと思うんですが、切り替えなど大変ではなかったですか?
Oguri(以下、O) 逆に「新しい風吹かせてやろう」みたいな。その世界のやり方に完全に従うんじゃなくて、シッキンにしかできないものをここで通用させてやるというか、「ぎゃふんと言わせてやる!」みたいな。
k 結成当時はs**t kingzのスタイル自体が新しかったんで、そもそも俺らのスタイルを求めて声をかけてくださる方が多くて。俺らは俺らのままで、楽曲とかがいろんなタイプのものに替わりながら振り付けしてたかもしれないですね。
他人のための振り付け、自分たちのための振り付け
編 ほかのアーティストへ振りを提供するときと、自分たちの作品を作るときとで、意識する点は変わりますか?
NOPPO(以下、N) アーティストに振り付けるときは「向こうがほしいもの」、「自分がやりたいもの」、あとは向こうにとって「やりがいはあるけど、無理しない」っていうのを意識してます。ダンスがどんなにかっこよくても、歌やパフォーマンスに支障が出ちゃったら、ぎこちなくなってしまうので。
O 俺は、アーティストの振り付けのときは、材料も全部切って、あと炒めるだけ、みたいな状態にして渡します。シッキンでやるときは、もう「野菜ボン! 」(笑)。「一緒にどういう料理になるかを見ていきましょう」というか。説明が要らなくて、振り付けを一緒に育てる前提でいるから、作り込みすぎずに渡せちゃう。アーティストに対しては、細かい味付けまで完成したものを渡して、ある程度「こう育っていってほしい」っていうガイドラインを決めていく。
s 最後にパセリだけ振ってもらうみたいな感じだね(笑)。
O そうそう。最後のトッピングはお任せするんで、みたいな。だから、s**t kingzで作ってるときの方が、どうなっていくか分からないわくわく感と、不安と(笑)。
k たまに俺、アーティスト側の制作の人に「背中を地面に付いたりするのってありですか? 」って聞いたりするんですよ。その質問で、どこまでを求めてるかがわかるというか(笑)。「あ、歌っていないメンバーだったら(ありです)」っていうパターンと、「あ〜それはちょっと」っていうパターンと。そういう確認をすると、「うわ、ここ寝っ転がったらめっちゃかっこいいのにな」って思ってたのに、「でもだめだ……どうやってその雰囲気出そう」ってなってくるんです。でもシッキンはいくらでも寝っ転がれるし(笑)。やりたいと思ったことを全部OKできるっていう意味では、シッキンの方が楽です(笑)。
ダンスでどれだけ人を楽しませられるか
編 アーティストへの振り付け提供もグループの作品への振り付けも、とにかく信頼関係あってこそ、という感じですね。s**t kingzにとってダンスライブはどんな位置付けですか?
s ストーリー性のある舞台のときと、今回のダンスライブのときとで毎回作り方が全然違うんですけど、舞台の作り方を掘り下げていっていろんなことを悩み始めたときに、「シンプルにもっとダンスを見せる場所を作ってもいいんじゃない? 」となって、ダンスライブをやるようになったんですよね。ダンスライブはとにかく、ダンスにどっぷりじゃない人たちも含めて、ダンスでどれだけ人を楽しませられるかっていうチャレンジをする場所になってきていると思います。で、今回『踊ピポ』ではダンスへのハードルを下げるためにあえてテーマを設けました! 宇宙光線「オドレナクナール」が地球上に降り注いでいて、地球のみんなが踊れない状態なんですよ。そこにs**t kingzが登場するんです。みんなライブが終わって気付いたら「あれ……? 踊れなかったのに、もしかして踊ってた!? 」となって帰れるようにしようと。
k 今回は来てくれたみんなに「こういう風に踊ろうよ!」というだけじゃなくて、もう思わず踊りたくなっちゃうような演出も作っていこうかなって。みんなをもっと巻き込むような内容にしたいなっていうのは、このライブが決まったときからのテーマだったので。
編 既にリリースされている「衝動DO feat.在日ファンク」みたいな、思わず踊ってしまう仕掛けをライブにも盛り込むんですね。
s まさしく!
編 では最後に、ダンスを初めて観るサヴィ読者に向けて、メッセージを!
s s**t kingzを組んで15年、ずーっとダンスが好きで、ダンスに導かれて、ダンスのおかげでいろんな人たちと出会って。ダンスの魅力にほれ込みまくってる男4人が、そのダンスの楽しさをみんなと共有したいなと思って、近い距離で最高の音で楽しめるというのをコンセプトに、ライブハウスで生バンドと一緒にダンスライブをやります。あまりハードルを上げすぎず、ふらっと観に来てくれたらきっと「ダンスって楽しいんだな〜♩」って思いながら帰れる、そんな新しい出会いになると思うので、気楽に楽しみに来てほしいなと。
O 読者の皆さんは、おいしいごはんはいっぱい食べてると思うので、「おいしいダンス」もぜひ食べに来てください!(笑)
お互いの発言に茶々やツッコミを入れながら、終始和やかな雰囲気で進んだ取材。個々での活動がグループへ還元され、メンバー同士の信頼関係と安心感をさらに強くさせているようでした。そんな4人に身を委ねて踊るダンスライブ『踊ピポ』、ぜひ。
Profile
s**t kingz シットキングス
左から、NOPPO、shoji、Oguri、kazukiの4人から成るダンスグループ。全米最大のダンスコンテスト「BODY ROCK」での2年連続優勝や、著名アーティストへの振り付け、 “見るダンス映像アルバム” の制作など、業界の常識を塗り替える偉業を多数達成。結成15周年を迎える今年10月には、ダンサー史上初の日本武道館公演を控える。
On Stage
s**t kingz Dance Live Tour 2023『踊ピポ』
9月29日(金)・30日(土)@Zepp Namba ※終了しています
メンバー4人が演出・振付・出演全てを担う結成15周年ダンスライブ、「踊れピーポー! 」略して『踊ピポ』。「踊れない人でも楽しめるダンスライブ」をキーワードに、気付けばみんなノリノリになるはず!? さらに翌日にはダンスのワークショップも開催する。「入門クラスは、初めてダンスをやる人たちに向けてやるので、いろんなダンスの楽しさに触れてもらえたらうれしい」(shoji)
本誌にはのせきれなかった4人の和気あいあいとした
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写真/岡本佳樹 取材・文/吉田暁音(SAVVY)
※この記事は、2023年11月号からの転載です。