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ニューヨークから縁もゆかりもない京都に引っ越した
“よそさん”ライターが見つける、京都の発見あれこれ。

vol.46 体の悩み別、京都の神さま

 京都に住めば、お参りし放題、厄払いしまくりですね。あるとき人にそう言われ、たしかに!となった。寺社がごまんとあって、冬の節分祭り、夏の茅の輪くぐりと厄除け行事もひっきりなし。心身ともに健やかでいられるのは、京都暮らしのおかげかも。なんて思うのだった。

 そんな私も、カフェ&グローサリーを開店することになり、その準備に追われ、さすがにへとへと。体のあちこちに痛みが……。というわけで、健康のご利益のある寺社を巡って、祈願することにした。

 まずは、頭痛封じで知られる今熊野観音寺へ。平安時代、信仰のあつかった後白河上皇の夢枕に観音様が現れ、たちまちに持病の頭痛が癒えた伝承から、〝頭の観音様〟として知られるそう。本堂には、上皇の背後に立つ観音様から、びゃーっと光明が降り注ぐ画が飾られ、片頭痛持ちの私は熱視線。どうか我にも光明を〜。と願いつつ、頭痛封じの枕カバーを購入。さっそく今夜、この枕カバーで寝てみよう……。

弘法大師が神のお告げを受けて開いた寺。境内には、大師が杖で地面を打ったところ湧き出たという霊水「五智水」も。ボトルにくんで持ち帰り、ありがたくいただきました!

 次に向かったのは新熊野(いまくまの)神社。平安時代に創建の際、後白河上皇が手植えしたという樟木(くすのき)が境内に鎮座。なんと樹齢900年(!)のその木は神の化身とされ、後白河上皇のお腹の病が平癒した言い伝えから、〝お腹の神様〟として信仰されてきた神社の方いわく、樟木にお参りする際には、樟木片が入ったお守り(社務所で購入可)を樟木に押し当て、もう片方の手で樟木に触れ、声に出してお願いをすること。本来備わっている自然治癒力が発動し、ご利益にも恵まれるのだとか。へぇ!(それにしても後白河上皇、よほどの激務だったのだろうか……。頭痛にお腹の病とはお気の毒。治ったから良かったけれど)

樟木にお参りする際は、参拝料(300円)を社務所にて必ず支払うこと。または参拝料が含まれているお守り(1,000円)を購入するのでもOK。樹齢900年の木は神々しく、とてつもない包容力。

 樟木パワーを注入したら、続いて〝足腰神社〟と呼ばれる護王神社へ。ご祭神である和気清麻呂公は、その昔、都から九州へ向かう道中、どこからともなく現れた三百頭ものイノシシに守られたという伝説の持ち主。不思議なことに患っていた足のけがも癒えたといい、足腰の健康を司る神様と敬われている。「皆さん本殿向かって右側にある足形の石の上に乗り、手を合わせ祈願されます」と宮司さん。ほぉ! さっそく実践。慣れない立ち仕事で腰が崩壊しませんように〝腰のお守り〟も忘れず入手。

足腰の守護神ということで、スポーツ選手も参拝に訪れるとか。

 最後は八坂神社内の美御前社(うつくしごぜんしゃ)へ。容姿端麗であったご祭神は、美容の神として信仰があつく、社の前には〝美容水〟と命名されたご神水が湧き出ている。肌につければご利益アリとのことで、吹き出物の気配むんむんな額や、ストレスで皮膚が荒れがちな首にピタピタと塗布。ひんやり涼を感じながら、心地よい美肌祈願〜。

古事記や日本書紀に登場する3人の女神が祭られている社。「肌も心もきれいになる」との言い伝えから、芸妓・舞妓さんもお参りするそう。美容水は肌に数滴つけるのみ。飲用はできないので注意。

 そうして半日にわたる寺社詣でを終えたら、まるで人間ドック後のような達成感と安心感。また明日から元気に走り出すことができそうだ。

〈頭痛封じ〉

今熊野観音寺(いまくまのかんのんじ)





電話番号:075-561-5511
住所:京都市東山区泉涌寺山内町32
時間:8:00~17:00 
公式HP:www.kannon.jp 
アクセス:市バス「泉涌寺道」バス停から徒歩10分




弘法大師が神のお告げを受けて開いた寺。境内には、大師が杖で地面を打ったところ湧き出たという霊水「五智水」も。



枕宝布(枕カバー)1,000円

〈おなかの神様〉

新熊野神社(いまくまのじんじゃ)





電話番号:075-561-4892
住所:京都市東山区今熊野椥ノ森町42
時間:9:00〜17:00 
公式HP:imakumanojinja.or.jp 
アクセス:市バス「今熊野」バス停から徒歩すぐ





樟木にお参りする際は、参拝料(300円)を社務所にて必ず支払うこと。





または参拝料が含まれているお守り(1,000円)を購入するのでもOK。

〈足腰の神様〉

護王神社(ごおうじんじゃ)





電話番号:075-441-5458
住所:京都市上京区烏丸通下長者町下ル桜鶴円町385
時間:6:00~21:00
公式HP:www.gooujinja.or.jp 
アクセス:地下鉄丸太町駅から徒歩7分





狛犬ではなく、丸っとしてかわいいイノシシが出迎えてくれる、別名「いのしし神社」。足腰の守護神ということで、スポーツ選手も参拝に訪れるとか。





私と夫に腰のお守りを2つ。各800円

〈美肌の神様〉

八坂神社 美御前社(やさかじんじゃ うつくしごぜんしゃ)





電話番号:75-561-6155
住所:京都市東山区祇園町北側625
時間:拝観自由
公式HP:www.yasaka-jinja.or.jp 
アクセス:京阪祇園四条駅から徒歩5分





古事記や日本書紀に登場する3人の女神が祭られている社。

著者

Nihei Aya

エッセイスト。9年のニューヨーク滞在を経て、2021年に京都へ。著書に『ニューヨークおいしいものだけ』(筑摩書房)、『ニューヨークでしたい100のこと』(自由国民社)、『ニューヨーク、雨でも傘をさすのは私の自由』(だいわ文庫)、京都のエッセイ&ガイド本『京都はこわくない』(大和書房)など。8月にカフェ&グローサリー[ROBYN]を京都にオープン。

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    @nipeko55
この記事は2025年11月号からの転載です。記事に掲載されている店舗情報 (価格、営業時間、定休日など) は掲載時のもので、記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。最新情報をご確認の上お出かけください。
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