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2024年3月17日、大阪・上本町にて37年続いた名店[なかたに亭]は閉店した。そのニュースはテレビ番組にも取り上げられ、最終日には300人以上が長蛇の列をなすほどだった。あれから1年……[なかたに亭]オーナーパティシエ中谷哲哉さんを訪ねた。新章がスタートした中谷さんに、これまでの軌跡とこれからの展望を、出身者や、現在も関わる[YARD]のスタッフと共に語ってもらった。SAVVY.jpでは全4回でお届け。

写真/わたなべよしこ 濱田志野(Komorebi)
編集・文/長瀬 緑

vol.3 フランスから届いた、シェフへの手紙。

フランス菓子のパティスリーとして知られる[なかたに亭]。出身者の中には、現地で働くパティシエもいます。今回は [Komorebi]という人気店をパリで営む三丸諒子さんからシェフへの手紙を預ってきました。

「シェフのポジティブな姿勢は、
    モチベーションを上げてくれました」

パリ9区で[Komorebi]を営む三丸諒子さんが[なかたに亭]に勤めていたのは、2000年代初め。当時、男社会のキッチンにおいて鍛え上げられた一人と中谷さんも一目を置く。「失敗があった時も誰かを責めることはしない。手抜きに怒っても、失敗には怒らないんです。パティシエとしてはもちろん、人として尊敬しています。渡仏の際に、フレデリック・ボウ氏(ショコラブランド・ヴァローナのエグゼクティブシェフ)を紹介してくれたのもシェフでした」と語る三丸さんから、中谷さんへ手紙が届いた。

シェフお久しぶりです。 Ça va? その後いかがお過ごしでしょうか?
卒業生のお店を訪ねられたり、旅行されたりしていると小耳に挟みましたよ。
来年はフランス旅行ですか??(笑) フランスチーム一同楽しみにしています!
慰労会でシェフが「なかたに亭を閉店するにあたってうれしかったことの一つが
“なかたに亭が誰かの人生と重なり合っていたこと”、
お客さんの多くが人生と重ねてくれていたと知ることができたことだ」
と仰っていたのがとても印象的でした。
37年間も続けてきたからこそ、人を大切にするシェフだからこその言葉だなと感じました。
私のパティシエとしての原点はなかたに亭です。
本当にたくさんの事を学び、出会えた仲間は人生の財産です。
これからもなかたに亭のエスプリを受け継いでおいしいもので人を笑顔にしていきたい。
誰かの思い出の1コマにKomorebiのケーキも一緒に思い浮かべてもらえるような、
そんなお店を目指し続けたいと思っているので今後とも見守っていてくださいね。
シェフ大好きです♡

Komorebi 三丸諒子

中谷哲哉さんからの言葉

[Komorebi]はパリの人々の心を掴み、
生活に溶け込んだすてきな店だと思います。
これからもお菓子や料理のおいしさはもちろん、
さんちゃんの愛のあるおもてなしで、
お客さまに愛される店でいてください。
また遊びに行きま〜す!

中谷哲哉より

[Komorebi(コモレビ)]
数々の名店での修業を経て、2021年に共同経営者パウロ・レイバさんと共にオープンした、パティスリーカフェ。正統派焼き菓子と共にビーガンやグルテンフリーのお菓子、野菜尽くしのランチボックス・ベジタリアンobentoなどが並ぶ。

店舗情報
Komorebi コモレビ 
  • 住所
    56 Rue Catherine de la Rochefoucauld, 75009 Paris,

「中谷哲哉さんと辿る[なかたに亭]の足跡 vol.4 YARD Coffee & Craft Chocolateのこれから」は、2/14(金)15:00更新予定です!お楽しみに。

※この記事は2025年3月号からの転載です。記事に掲載されている店舗情報 (価格、営業時間、定休日など) は掲載時のもので、記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。最新情報をご確認の上お出かけください。

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SAVVY4月号『京都さんぽ』
発売日:2025年2月21日(金)定 価:900円(税込)