水面と目線が同じ高さに!

[界 津軽]で津軽文化と大間マグロを楽しむ。

青森県の市街地・弘前から電車で10分ほど、古くから湯治場として知られる大鰐(おおわに)温泉にたたずむ宿。
こぎん刺しや津軽三味線、弘前地域では“ねぷた”と呼ぶ祭飾りなど、宿のしつらえや食事、もてなしにご当地の魅力がたっぷり。
宿に滞在しているだけで、津軽地方に息づく文化と四季を堪能できます。

写真・動画/大西悠生 取材・文/天野準子 モデル/島野ソラ
衣装協力/ne Quittez pas

初めて出合う雪国の文化と食……、津軽旅を満喫できる温泉宿

本州最北端の青森県。県の西部である津軽地方は、弘前ねぷたや日本有数のリンゴの産地、津軽三味線発祥の地としても知られる。[界 津軽]は、800年の歴史を持つ大鰐温泉にあり、宿のエントランスからアプローチを抜けると視界がぱっと広がり、ゆったりとしたロビーラウンジの向こうに「津軽四季の水庭」が借景のように広がる仕掛けに。水面には、季節に合わせて津軽金山焼の明かりや津軽びいどろのライトアップあんどんを浮かべ、水辺にせり出したテラスでは津軽の文化と四季を感じながらくつろぐことができる。水庭はフロントのある棟から宿泊&温泉棟にまで続いていて、露天風呂に漬かれば水庭と一体になる感覚も味わえる。そのほか、館内にはねぷた祭りを想起させる装飾やこぎん刺しのモチーフが随所にあしらわれており、津軽三味線の演奏、大間のまぐろづくし会席などと合わせ、厳しい気候と豊かな自然に育まれた津軽カルチャーに魅了されっぱなしの温泉宿だ。

「ご当地楽」「ご当地部屋」など地域の伝統文化を取り入れたサービスと共に、伝統的な湯治をヒントに考案されたさまざまなステイプランを楽しめる、星野リゾートの温泉旅館ブランド。国内の温泉地に23施設を展開し、温泉大国の恵みを新しい形で提案する。

日本各地の界も要チェックです!

界 津軽に憧れる 5つの理由 かまくら風呂とりんご風呂、二つの初めましてがお待ちかね

大鰐温泉は、江戸時代の全国温泉番付(温泉ランキング)で、“別格”として紹介されたほど歴史ある名湯。とろりと軟らかな湯ざわりが特徴で、入浴後はつるすべ肌を実感。さらに浴場自体もご当地感満載。内湯は青森ヒバの湯殿にリンゴを浮かべて、露天風呂には白いアーチ型の屋根を付け、かまくらの中で温泉を楽しんでいる気分に。あんどんが浮かぶ水庭越しに、桜や紅葉、雪景色など、四季を愛でることもでき、心が安らぐ。

夜はとっても幻想的
朝と夜、二度楽しめます

アーチ型の屋根が付いたかまくら露天風呂。昼は水庭越しに自然が広がり、開放感たっぷり。夜は、水庭に浮かぶこぎん刺しモチーフのあんどんがともり、幻想的な雰囲気。寒い地域のため、湯船が深く、浴槽内の段差に座れば、すっぽり肩まで湯に漬かれるように。

リンゴの香りに包まれて
リンゴ風呂はまるで絵本の世界!

9月初旬から5月初旬までは生のリンゴを浮かべて。規格外品を農園から分けてもらっているため、日によって品種も違い、真っ赤だったり、黄色味を帯びていたり。トロリとした湯からは爽やかな香りが立ちこめる。ほかの時期はヒバの木で作ったリンゴのオブジェが浮かび、それも一興。

水庭で湯上がりリラックスを

「津軽四季の水庭」と名付けられた池を望むテラスは、湯上がり処として利用できる。季節で表情を変え、秋は水面に映る紅葉が美しい。冬には池の水を抜き、なんとかまくらが出現。

リンゴをもぎ取るポーズ!
朝風呂と体操でリフレッシュ!

毎朝、水庭ではオリジナルの津軽たいそうを開催。春は弘前さくらまつり、夏はねぷた祭り、秋はリンゴ狩り、冬は雪かき、と津軽の四季の風物詩を取り入れた動きが楽しい。

意外と上手いかも!
難しいけど、意外とハマります!

[界]スタッフもプロの奏者と一緒に演奏を行い、演奏終了後は、宿泊客に簡単なレクチャーも実施。練習曲「さくらさくら」を5分ほどでマスター!

界 津軽に憧れる 5つの理由 左巻の三味線ショータイムと、実際にちょっとだけ体験も!

[界]では、それぞれの地域の魅力を伝えるおもてなし「ご当地楽」を用意。[界 津軽]では毎晩、ロビーラウンジで津軽三味線の生演奏を実施。津軽三味線は、バチで太鼓の皮をたたくように音を奏でるため、さおも太く、演奏が力強い。難易度の高い津軽じょんから節は、指さばきやバチさばきもかっこよく、エレキギターさながらの演奏は大迫力!

界 津軽に憧れる 5つの理由 最初から最後までマグロ尽くし!?大間マグロを思う存分堪能。

黒潮、対馬海流、千島海流の三つの海流が流れ込む津軽海峡で水揚げされる大間町のマグロは、身が引き締まり、それでいて脂がのったとろけるおいしさが人気。地元では黒いダイヤと呼ばれ全国的にも珍重されるブランドマグロを堪能できる特別会席「大間のまぐろづくし会席」は、刺し身、にぎりずし、鍋、とさまざまな調理法や料理でマグロが味わえる。米にも水にも恵まれ、酒造りに適した寒冷地である青森が誇る地酒とのペアリングも口福。

刺し身もにぎりも!
大きな大鰐もやし
リンゴ風呂はまるで絵本の世界!

中トロと赤身を食べ比べできる刺し身とにぎりずしの盛り合わせ。大鰐温泉の温泉熱と温泉水で育てた大鰐温泉もやし入りのねぎま鍋、先付けの鮪と雲丹のあられ和え 黒にんにく風味など、マグロをさまざまな調理法で提供。シメには土鍋ご飯の上にたっぷりのマグロの刺し身をのせ、温泉卵やトロロなど自分好みの味が楽しめる漬けまぐろ丼も登場。

お好みでアレンジしてみて
グツグツ、ホタテの良い香り
郷土料理の貝焼きみそも

朝食にも地元の食材や郷土料理をふんだんに使用。下北半島の漁師たちから始まった、ホタテの殻を鍋代わりに、魚介をみそとだしで煮込んだ貝焼きみそも登場。目の前でぐつぐつホタテが煮立ったら卵を加え、卵とじに。この日は、青森の米「はれわたり」の白ご飯が登場。

お庭を眺めながら朝ごはん

界 津軽に憧れる 5つの理由 こぎん刺しの廊下の先で待つ、ご当地部屋にほっこり。

[界]の客室は、その土地の文化や伝統工芸を随所に取り入れたご当地部屋を提供。ここ[界 津軽]では、ご当地部屋の客室内だけでなく、フロアの廊下にも津軽こぎん刺しを各所に取り入れている。青森出身のkoginアーティスト、山端家昌氏が、こぎん刺しの象徴であるシンメトリーのモドコ(模様)をデザインとして捉え、モダンかつ大胆に表現。レトロかわいいだけではない、こぎん刺しの新たな魅力に出合えるはず。

天井からの光がこぎん刺し模様を通し、壁や床に美しい影を映す廊下「木漏れ日kogin」。米インテリア・デザイン雑誌「Architectural Digest」で「世界のホテルの美しい廊下10選」に選ばれたことも。

時間帯で影が変化してる!
こぎん刺しモチーフのお部屋

全40室あるご当地部屋「津軽こぎんの間」では、一部屋ごとに違ったモドコを使用。写真のリビング付き和室は障子にもあしらわれている“花つなぎ”のモドコをテーマに。青森の木工メーカーBUNAKOの照明や津軽金山焼の器など、青森の工芸に触れることができる。

初めてでも楽しい!
チクチク・・・・・・・、と時間を忘れそう

本格的にこぎん刺しに挑戦したい方には「こぎん刺し 刺し放題キット」の貸し出しも。必要な道具が入った小箱を持って、客室やロビーなど、好きな場所でこぎん刺しをチクチク。ミニフレームも付いていて、完成したこぎん刺しは持ち帰って飾って楽しめる。1セット1,500円

界 津軽に憧れる 5つの理由 自分でも挑戦できちゃう、初めてのこぎん刺し体験!

江戸時代、麻の着物しか着ることが許されなかった津軽の農民たちが保温と補強のために、麻布に木綿の糸で刺し子を施すようになったのがこぎん刺しの始まり。モドコと呼ばれる幾何学模様デザインがかわいく、今や全国的に知られるように。時間を掛けて刺したこぎん刺しが完成した時は感動もひとしお! お土産にすれば旅の良き思い出に。

しおり作りも楽しい!

自由に本が読める館内のトラベルライブラリーでは糸や紙製しおり、裁縫箱を用意。絵柄や糸の色を選び、セルフで模様を刺し、しおりを作ることができる。一番人気は真っ赤なリンゴ模様!

大阪出身、島野ソラさん。[界 津軽]はどうでした?

関西人にはなじみの薄い、こぎん刺しや津軽三味線は、どちらもただ眺めるだけでなく実際に体験できたのが楽しかったです。温泉はリンゴがかわいくって、入浴後は肌がつるつるに。夕食のマグロ尽くしももちろん大満足。食べ方もいろいろで飽きることなく、マグロを堪能できました!

かい 津軽 [青森・南津軽]

050-3134-8092(界予約センター)

青森県南津軽郡大鰐町大鰐字上牡丹森36-1


IN●15:00/OUT●12:00

40

31,000円〜(1室2名利用時1名あたり、2食付き、サ・入湯税込み)

JR大鰐温泉駅から車で約5分

伝統に触れる界
2025.08 RENEWAL OPEN

界 箱根[神奈川・箱根]

050-3134-8092(界予約センター)

箱根湯本温泉に位置する全室リバービューの温泉旅館。「東海道の歴史に浸る、箱根ごこちの湯宿」をテーマに掲げ、全室ご当地部屋へリニューアル。ご当地部屋には、日差しや雨雪から身を守る「三度笠」といった旅人の道具をあしらい、宿場町の息吹を感じることも。

神奈川県足柄下郡箱根町湯本茶屋230

IN●15:00/OUT●12:00

34

38,000円〜(1室2名利用時1名あたり、2食付き、サ・入湯税込み)

小田急箱根鉄道箱根湯本駅から車で10分

界 長門[山口・長門]

050-3134-8092(界予約センター)

江戸時代に歴代の藩主が湯治に訪れていた長門湯本温泉の音信川のほとりにたたずむ[界 長門]。 「藩主の御茶屋屋敷」をコンセプトに、山口県の武家文化を生かしたご当地部屋「長門五彩の間」やロビーの床の間飾りなど、往時をほうふつとさせる勇壮なしつらいが特徴。

山口県長門市深川湯本2229-1

IN●15:00/OUT●12:00

40

32,000円〜(1室2名利用時1名あたり、2食付き、サ・入湯税込み)

JR長門湯本温泉駅から徒歩15分