秋の夜長にいろりを囲んで地酒を

界 アルプスで信濃のおもてなしを楽しむ。

信州・北アルプスの玄関口である長野・大町温泉郷に位置する宿。
アルプスの山々を望む露天風呂や雪国らしい雪よけの歩廊「雁木(がんぎ)」、いろりでのもてなしなど、信州ならではの自然や文化を満喫。
素朴だけど、どこかほっこり心が安らぐそんな非日常な田舎体験に身も心もリフレッシュを。

写真・動画/大西悠生 取材・文/天野準子 モデル/島野ソラ
衣装協力/ne Quittez pas

雄大な北アルプスに抱かれ、ぜいたくな田舎体験がお待ちかね

北アルプスの山々に囲まれた自然美あふれる大町温泉郷。関西の山とは異なり、山々が幾重にも重なる奥行きに「さすがアルプス山脈!」とそのスケールに感動。温泉宿の門をくぐると、真正面に鎮座する[泉嶽寺]に向かってまっすぐに道が続き、その両脇には雪国の伝統建築でアーケードの役割を果たす「雁木」に沿って木造のフロント棟や客室棟が配され、宿場町のような雰囲気が漂っている。フロント棟には、雪国では古くから生活の中心であったいろりの間を設け、一日を通して宿泊客みんなの憩いの場に。温泉で癒やされ、名物料理に満たされ、いろりでほっこり……、そんな田舎風情が郷愁を誘う。また、宿にいながらにしてぜいたくな田舎体験を満喫できる上、立山黒部アルペンルートでの山岳観光やトレッキング、これからの季節は白馬エリアでスキーを楽しむことも。おこもり滞在派だけでなく、アクティブ派にも、昔話の世界のような懐かしさで包み込んでくれる癒やしの温泉宿だ。

「ご当地楽」「ご当地部屋」など地域の伝統文化を取り入れたサービスと共に、伝統的な湯治をヒントに考案されたステイプランを楽しめる、星野リゾートの温泉旅館ブランド。国内の温泉地に23施設を展開し、温泉大国の恵みを新しい形で提案する。

日本各地の界も要チェックです!

界 アルプスに憧れる 5つの理由 ウェルカムおやきから始まる。朝も夜もいろりの文化も堪能!

[界]では、宿ごとにそれぞれの地域の特徴的な魅力をゲストに楽しんでもらうおもてなし「ご当地楽」を用意。[界 アルプス]では、いろりを設えた土間で、信州の田舎体験を楽しめる。雪深いこの地域では、いろりは部屋を暖め、炊事するだけでなく、人々が自然と集う家庭の中心に。主人からおやきや熱かんの振る舞いを受け、みんなで火を囲む団らんのひと時に、心も体も温まる。

到着したらまずはおやきの振る舞い!
焼きたてアツアツ、今日の具は野沢菜でした

おやきは、生地で具材を包んで調理した長野の郷土料理。こちらでは、かまどで蒸した後にいろりにつるされた鉄板で片面焼きに。かまどから立ち上る湯気やいろりの揺らめく炎、おやきが焼ける香りなど、五感がくすぐられる。いろりの主人(左上)と会話をしながら、目の前でもてなしてくれるのも楽しい。

夜は熱かんとお漬物でほっこり

夜は、地酒と長野県小谷村の伝統的な漬物、小谷漬の振る舞いも。主人がいろりにかけた大鍋で温めてくれた日本酒をちろりで提供。普段飲むかん酒より一層おいしく感じられるはず。

朝はお目覚めのおかゆも!

寝起きの体をしっかり温め、目覚めさせてくれる朝かゆを早朝から提供。ねり梅や塩も用意されていて、するする食べられる。朝の体操や温泉後に立ち寄るゲストも多いそう。

優しく体が目覚めていく
ふ〜。雁木の軒下でひと休み♡

界 アルプスに憧れる 5つの理由 信州の大自然の中にたたずむ雁木のある宿でおこもりも。

「雁木」とは、雪よけのために歩道に沿って張り出したひさしのことで、それぞれの家や店の雁木同士が連なり、アーケードのようになっている。[界 アルプス]も雁木に沿って木造の棟が建ち並ぶ雪国風情あふれるたたずまい。雁木の下を通って、いろりの土間や温泉、中庭を巡ったり、宿の中で町歩きをしているような楽しさ。目線を上げるとそこには常に北アルプスが広がっていて、雄大な山々と暮らしてきた生活の知恵を感じる。

絵になる雪国のアーケード

敷地内にはフロント棟や食事処棟が整然と並び、一つの宿というより宿場町のような雰囲気が広がっている。こちらでは北アルプスをバックに山ポーズで記念撮影も。雁木を進んだ先には小川が流れる中庭があり、冬には幻想的なライトアップも。

界 アルプスに憧れる 5つの理由 アルプスの山々が水面に映る絶景もお見事!

弱アルカリ性単純温泉で美肌効果が期待できる大浴場では、広々とした内風呂と御影石の露天風呂がお待ちかね。カラマツの林に囲まれ、春には芽吹き、夏には青々とした緑、秋には紅葉が楽しめる。晴れた日は、雄大な北アルプスや木々が内風呂の水面に映り、水鏡のような美しさに。12月下旬から2月頃まで、露天風呂は一面の雪景色になるそうで、雪の降る日は、雪よけの笠をかぶりながら露天風呂に入るのも趣きがあってお薦め。

湯上がり処でほてった体をクールダウン

大浴場の階下には切り絵が飾られ、落ち着いた雰囲気の湯上がり処もあり。そば茶としそりんご酢のドリンク、アイスキャンディーが無料で用意されているので、湯上がりにさっぱりリフレッシュを。

アルプスを借景に絶景風呂!

露天風呂にチャポンと浸かれば、目の前には大自然が。朝は澄んだ空気の中、鳥のさえずりを聞きながら目覚めのお風呂を楽しんだり、夜は満天の星空の元、リラックスしたり。時間や季節ごとに景色が移り変わるので、何度でも訪れたくなる。

界 アルプスに憧れる 5つの理由 て仕事を感じる客室で暖炉の音を聞きつつのんびりと。

[界 アルプス]では客室を「信濃もてなしの間」と称し、信州の伝統工芸を随所に取り入れている。また、西棟の客室は窓の外に北アルプスを借景としたそば畑が広がり、信州の原風景を愛でることも。離れの客室は、中庭の奥に位置し、一面のガラス窓から新緑、紅葉、雪景色と、季節の移ろいを望めるほか、土間にはまきストーブも完備。パチパチという音を立てながら揺らめく炎は、ずっと見ていたいほど癒やされるぜいたくな体験。

特別感のある離れへ!

離れ棟には2階建ての客室があり、1階には吹き抜けのリビングと1階、2階にそれぞれベッドルームを備え、4人まで宿泊することができる。土間のまきストーブはゲスト自らがまきをくべるスタイル。中庭を眺めながらのんびりと過ごして。

客室ごとに違った切り絵が飾られています

上、定員3名の和室。各客室には、信州の切り絵作家・柳沢京子氏のアートワークが飾られ、客室の入り口には、地元の工芸品、松崎和紙で作られた明かり取りも設置。「そばの実入 くるみゆべし」がお茶請けとして各部屋に。

界 アルプスに憧れる 5つの理由 雪国をイメージした、ごちそうすき焼きに大興奮!

ディナーは雪鍋をメインに、自然豊かな大地と清流に育まれた食材を使い、信州の風景を映す「雪鍋会席」を提供。まずはローストビーフと信州サーモンを合わせた先付け(下)からスタート。信州安曇野のワサビ畑をイメージし、ワサビの葉を使った盛り付けも美しい。ワサビとおろし板が一人に一つずつ用意されるので、好きな料理と合わせていただける。すりたては風味も格別!

テーブルに運ばれた瞬間からわくわく。鍋には雪山をほうふつとさせる綿あめがこんもりのっていて、割り下をかけると、すーっと綿あめが消える様子は、アルプスの雪解けを表現。牛肉をはじめ、山茶茸やヒラタケなど、長野の山の幸がたっぷりなのも特徴。落花生豆腐など7品が盛られた宝楽盛り(上)は、民家を模した器やヒバの飾りなど、田園風景を想像する設えが愛らしい。

まるで雪国、雪鍋会席を堪能!

素朴だけときめく料理

ほっこりする地元料理の朝食

日本海に面した新潟・糸魚川から長野の松本城下を結ぶ街道はかつて「塩の道」と呼ばれていたことから、「塩の道朝食」と名付けた朝食が登場。街道を通じて育まれた独自の食文化に想いをはせて。地元のみそを使ったキノコと鶏のみそ汁はお鍋で提供。

足を交互にあげて、山を登るポーズ
運動や体操でリラックス!

[界]では施設ごとに「うるはし現代湯治」を提案。[界 アルプス]では、毎日夕方に湯上がり処にて湯守りが紙芝居を用いて温泉の特徴に合わせた入浴法や施設での過ごし方を紹介している。さらに毎朝、山登りの動きを取り入れたアルプス体操も開催中。

いろりの間の隣には、コーヒーや紅茶などドリンクが自由に飲めるトラベルライブラリーも。地域に合わせた選書を行っており、こちらでは長野県や山登り、自然、温泉にまつわる本を中心にセレクトされている。

運動や体操でリラックス!
じゃーん、上手でしょ!

施設内には、地元の切り絵作家・柳沢京子氏のアートワークが飾られており、客室では、柳沢氏が作成した「アルプスの麓の詩情」をテーマにした切り絵にチャレンジすることも。白い部分をナイフで切り取っていくだけなので子どもでも楽しめる。完成後は額に入れて持ち帰れる「柳沢京子氏のきりえ体験」1,300円(1日3組限定)

大阪出身、島野ソラさん。[界 アルプス]はどうでした?

初体験のいろりは、地酒の提供だけでなく、他の宿泊者さんとの話題をつないでくれる主人のお陰で、居心地よく楽しめました。旅先で知らない人と出会い、会話することって、貴重で楽しい体験でした。夜の露天風呂から眺めた満天の星空が一番の思い出です。

界 アルプス [長野・大町市]

050-3134-8092(界予約センター)

長野県大町市平2884-26


IN●15:00/OUT●12:00

48

28,000円~(1室2名利用時1名あたり、2食付き、サ・入湯税込み)

アルピコ交通「大町温泉郷」バス停から徒歩10分

信州のお隣、奥飛騨文化も!

界 奥飛騨かい おくひだ [岐阜・高山市]

050-3134-8092(界予約センター)

岐阜県高山市奥飛騨温泉郷平湯138

IN●15:00/OUT●12:00

49

31,000円~(1室2名利用時1名あたり、2食付き、サ・入湯税込み)

濃飛バス「平湯温泉」バス停から徒歩4分

匠の技に触れる
貴重な宿泊体験を

2024年、岐阜県・奥飛騨温泉郷に誕生した[界奥飛騨]。“飛騨デザイン”をテーマに、飛騨地方の代表的な広葉樹を用いた曲木のヘッドボードや、老舗家具メーカー・飛驒産業が地域の材から作るイスなど、地元の伝統工芸品を感じられる一軒。今回、飛驒産業での特別なプライベートツアーと、家具の端材を活用したオリジナルスツールづくりなど、その技術と職人の思いを体感できるプランがスタート。歴史ある技の数々を滞在中に感じてみて。

、職人による指導のもと、飛驒産業の家具製作で生じた端材を再加工し、自分だけのオリジナルスツールを製作。2025年12月〜、要予約、1名20,000円。館内では、「飛騨の匠体験」として、伝統技法「曲木」を用いたバッグハンドルづくりに挑戦することも。