今年1月、兵庫・御影にオープンした［MAMEHICO］。
SAVVYでは、オープン前の2022年9月号『カフェと純喫茶』特集内で、店長・渡辺臣将さんにインタビューをしていました。
そのときの記事をご紹介！

三軒茶屋、銀座に次ぐ、［Cafe Mame-Hico］の出店地は、
多くの文化人に愛されてきた御影。
関西屈指の文化エリアで
新たなカフェ・カルチャーの芽が膨らんでいるようです。

［Cafe Mame-Hico］とは？

［Cafe Mame-Hico］が三軒茶屋に店を構えたのは２００５年のこと。「代表の井川（啓央）いわく、〝豆とコーヒー〟がテーマだから、〝マメ〟とコーヒーを逆さ読みにした〝ヒーコー〟をくっつけてマメヒコだそうです（笑）」と、御影店の店長・渡辺臣将さん。そんな柔軟さは店作りにも表れていて、「コロナの影響でやむなく閉めましたが、北海道の自社農園で、メニューに使う豆を完全無農薬で育てたり、店で映画を観る〝カフェ映画祭〟を開催したり。カフェというよりだれかの居場所。［CafeMame-Hico］はそんな店です」

衝撃の関西出店秘話。

　これまで三軒茶屋、渋谷と都内に出店してきたカフェが、神戸・御影に進出する。そのきっかけは、臣将さんの妻・みゆきさんが渋谷［公園通り店］（現在は閉店）の常連だったことだった。「音楽教室でボーカルを教えていたんですが、コロナ禍で仕事がなくなってしまって。その話を聞いた井川から突然〝お店でもやってみたら？ 力になるよ〟と言われたのがきっかけです」。と言っても、飲食店勤務の経験は学生時代のバイトを除けばゼロ。「でも、井川やほかのスタッフと話すうちに、心に火が点いてしまって。夫には反対されましたが、翌週から20年ぶりに飲食店のバイトに出ました。腰は痛くなるわ、なぜか歯は欠けるわ、で大変でした（笑）」。最初はいぶかしんでいた臣将さんも「そんな妻を見ていたら、以前〝二人でいつか店を出したいね〟と言っていたことを思い出しまして……。夢をかなえる勇気が湧いてきてしまったんですよね（笑）」と、数カ月後に脱サラ（！）。夫婦二人三脚で開店を目指すことになった。それからは物件探しの日々。「井川も以前から関西に店を出したいと思っていて、これまでも物件探しには来ていたんですが、良い出合いがなかったみたいで」と、頓挫していた関西出店の話を実現に導いたのが、この御影の物件だった。「スタッフ同士で、店を出すなら文化的な場所がいいねと話していたので、阪神間モダニズム文化の中心地である御影はバッチリだったんです。井川も視察に来て、御影、住みたいわー！ って言ってました（笑）」

御影店、絶賛開店準備中！

　「今はオープンに向けて準備中で、三軒茶屋店と同じクオリティのコーヒーや定番のクロカン（黒豆寒天）、檸檬ケーキを提供できるように修業中です！」。メニューは三軒茶屋店とほぼ同じだが、御影ではイベントカフェをうたい、会員制を採ることも話題だ。「コロナ禍で、街から人がいなくなっても常連のお客さんは店に来てくださった。私たちは、そういう方々のための〝居場所〟を作りたいんです。ひと息つく場所としてだけじゃなくて、店に来れば職場などとは違った〝本来の自分〟になれる。そして、そうなれる顔なじみがいつもいる。それを実現するための会員制なので、会員はいつでも募集してます」。老若男女が集い、つながれる場を作るべく、カフェにはステージを併設し、イベントも積極的に開催する。「娯楽と芸能、食と健康、手仕事など、いろんなテーマのイベントをする予定です。正直、初の試みなので、私たちもどんなカフェになるのか想像がつかないです（笑）」。力戦奮闘の末、今、新たなカフェ・カルチャーは、ようやく芽を出そうとしている——。

［MAMEHICO］は2023年1月にオープン、お店の詳細はこちら！

〈New Shop〉東京・三軒茶屋のカフェ［Cafe Mame-Hico］が御影に新店をオープン

写真／エレファント・タカ　取材・文／SAVVY

※この記事は2022年9月号（インタビュー）及び、2023年3月号からの転載です。記事に掲載されている店舗情報 (価格、営業時間、定休日など) は掲載時のもので、記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。最新情報をご確認の上お出かけください。