夏の夜空の“パフェ”ものがたり #2
作り手の世界観を小さなグラスに閉じ込めることができるデザート、パフェ。
夏の夜空の風物詩をテーマに、パフェですてきな物語を描く二軒を訪ねました。
二軒目は大阪・朝潮橋[dessert place SHIKISAI] 、
「花火」をテーマにしたちょっと変わった見た目のパフェをご紹介します。
大阪・朝潮橋[dessert place SHIKISAI]
打ち上げ花火の気配・明光・余韻を3つのパフェに閉じ込めて
「花火って口に入れたらどんな味なんだろう」
2021年は、夏の景色を閉じ込めた賞味期限5分のテイクアウトパフェが話題を呼んだ[デザートプレイス シキサイ]。平山信行シェフの考えるパフェは、平たい器に盛り付けられていて、その姿はまるでフレンチのデセール。「パリコレのように新作を考えるのが楽しくて」と話す平山シェフが発表した今夏のパフェのテーマは「花火」。
「ここ数年花火大会と縁遠くなっていますが、夏の風物詩である花火をスイーツで身近に感じてほしい」と平山シェフ。今回は、時季を追うごとに、テイストの違った花火のパルフェ3部作を展開する。6月下旬からスタートする第1作目は「黄果蕾(おうからい)」。薄くスライスしたマンゴの果肉は何層にも重なった和紙のイメージ。導火線はパイナップルソルベ、紅はるかの焼きイモサブレの香ばしさは火薬の香り、点火の瞬間のイメージのトウガラシとライムのジュレはピリッとした辛みで、濃厚なマンゴの甘みとの調和が見事だ。
季節も進み、7月中旬からの第2作目は「開花桃火(かいかとうび)」。「花火玉は別名『割物』とも言います。切り込みを入れるとパカッと開く桃の姿が、夜空に弾ける花火のように思えて」。熟して濃厚な香りをまとう桃のコンポートとジュレは、夜空に広がる光と輝きのよう。ディルやアリッサムの花もまた千輪菊のようにかわいく周囲を彩る。
最後は、夏の終わりを感じるパフェ「黒白煙(こくびゃくえん)」。ベトナム産コーヒーで作るゼリーの夜空には花火の残像。白い煙がなびくような生クリームとアイスミルク、スライスした繊細なチョコレートコポーで煙をイメージ。花火の後に漂う煙の香りを閉じ込めたようなスモーキーなプラリネ、香ばしいアーモンドクロッカンを組み合わせて。
夏の3部作は、一皿ひと皿きらめいて、大輪の雫は口へ運ぶと花火のようにはかなく消えて刹那的。それでも、その後に口の中で広がる香りはセンセーショナル。夏の思い出は3部作のパフェのその余韻で締めくくってもいい、ト思わずにはいられない。
黄果蕾
開花桃火
黒白煙
大阪・朝潮橋[dessert place SHIKISAI]
四季を感じる新しい菓子作りがテーマのテイクアウト専門店。パリの名店[ル・ムーリス]
をはじめ国内外での経験を活かし、ハーブや旬の果物などを積極的に取り入れた、香り豊かなお菓子がそろう。
- 電話番号06-4394-7240
- 住所大阪市港区田中3-6-2
- 営業時間11:00〜18:00(パフェは13:00〜17:00)
- 定休日月・火&不定
- アクセス大阪メトロ朝潮橋駅から徒歩6分