東梅田の変わらないコーヒータイム
[喫茶サンシャイン]のお引っ越し
東梅田のビルの地下1階で50年以上続く喫茶店が、入居先の取り壊しを機に、徒歩3分ほどの駅ビル内へ。「変わらない」ことを念頭に置いた移転には長年愛される喫茶店らしい思いが詰まっていました。
\1日100皿以上の注文が入る人気者!/
東梅田のビル地下で半世紀、
老舗喫茶のリスタート
2025年4月、慣れ親しんだ大阪日興ビルでの営業を終えた[喫茶サンシャイン]。一時は閉店も危惧されたが、移転再開の報を聞き、ほっとした人も少なくないだろう。さかのぼれば、初代・橋崎光男さんが開業した1973年当時は、先の大阪万博開催を受け梅田に次々とビルが建ち、多くの喫茶店がひしめいていた。当初は食事メインだったが、他にない個性を打ち出すべく、2年後の改装を機に自家焙煎に着手。さらに入れたてを素早く提供できるスイス製のドリップマシンを導入することで、コーヒー専門店として定評を得た。
また、当時は周辺の会社への出前も多く、一度に100杯単位で注文が入るのも日常のこと。そこから生まれた名物の一つがミックスジュースだ。時間が経って黒ずむのを防ぐため、バナナを使わず練乳で甘みを加えた独自のレシピで評判に。その後、同じビル内の会社の食堂がなくなったことを受けてランチや軽食を復活。地域に欠かせない存在として、細やかに街の変化に応えてきた。「店主自身が店に立って、お客さんの声を聞いてきたのが長く続いている秘訣(ひけつ)では」。そう話す二代目の卓さんも、店を継ぐと同時にハンドドリップの競技会に参加したり、豆の販売を始めたりと看板のコーヒーに一層、磨きをかけてきた。
この5月から心機一転のスタートを切ったが、物件探しは難航したそう。それでも「梅田にこだわりたい」という思いで自ら探し当てたのが、駅前第3ビルの地下2階のこの場所だった。「以前の雰囲気を残すことに全力を注いだ」という店内は、テーブルや椅子、調度品をほぼ全て持ち込み、地下という立地と相まって、忠実な再現ぶりに目を見張る。定番のメニューもそのままに、移転後も名物は健在。「ホットケーキは1枚ずつ生地を混ぜて手焼き。20年前に始めた時と一緒です」と、手抜きなしの仕事で長年親しまれた喫茶店の味を受け継いでいる。近年はSNSでの発信を機に、海外からのお客も増えているとか。幸いにも新天地を得た老舗は「梅田のオアシス」として、さらにファンを増やしている。
[喫茶サンシャイン]の歴史
1973年 大阪日興ビルB2で、食事メインの喫茶店として創業。
1975年 メニューを純喫茶仕様に変更し、コーヒーの自家焙煎をスタート。
1978年頃 一杯ずつ入れたてを提供するためにドリップマシンを導入。
1990年代 近隣の会社の食堂の閉業に伴いランチをスタート。
1996年頃 名物の一つ、オムライスをスタート。
2011年頃 豆の販売をスタート。同じ頃に二代目の橋崎 卓さんがハンドドリップ大会に出場。
2019年 4月から禁煙に。この時期、大阪日興ビルの取り壊しの話が出る。
2020年 ホームページをスタート。
2020年 再び取り壊しの話が出る。
2025年 4月にいったん店を閉じ、5月に大阪駅前第3ビルB2に移転。
- 電話番号06-6313-6797
- 住所大阪市北区梅田1-1-3 大阪駅前第3ビルB2-89
- 営業時間7:30~19:15(土・日・祝8:00~18:00、モーニング~11:00、ランチ11:00~)全てLO
- 定休日火&不定
- カード使用可
- 席数33
- アクセス大阪メトロ東梅田駅から徒歩3分
写真/わたなべよしこ 取材・文/田中慶一
※この記事は2025年10月号からの転載です。記事に掲載されている店舗情報 (価格、営業時間、定休日など) は掲載時のもので、記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。最新情報をご確認の上お出かけください。