野山の恵みで体験する
未知なる食の冒険
☑ [tam(タム)]
「店主自ら野山で採取した天然食材をコースで提供する店」と、端的に言えばこうだけど、そこには感動と驚きと冒険がある。何しろアンニンゴ、ゴンズイ……など、その多くの食材が初めて食べるものばかりだから。ベトナム料理店出身の店主・瀧澤圭佑さんは、松屋町[酒菜の大きに]から屋号改め[Ethnic Bar tam]で4年営業。そして2023年に北堀江で完全予約制のコースのみ、という今のスタイルに。
季節の山菜のフルコースから、偽生春巻き。タイラギ貝を生春巻きの皮に見立て、ボイルしたゴンズイの新芽、成長させたフキノトウ、タネツケバナ、オオバギボウシをくるりと。あん肝のソースには、クロモジの花で爽やかさの余韻を補って。「山菜にはワイン一択」と、合わせてくれたのはチェコ共和国の白ワイン、DOBRA VINICE。
コシアブラと宮城県ワタリガニ、ポテサラ。ワタリガニをボイルした煮汁でゆでたジャガイモを、お酢でマリネしたカニのほぐし身と混ぜてポテサラに仕立てた逸品。タラの芽に似たコシアブラは「油と相性が良い」と揚げ焼きにして、食感と香りをアクセントに。
スダレ貝とアオモジの花のブン。ベトナム現地の屋台の定番、貝をレモングラスで蒸したつまみからインスパイア。塩のみで調えたスダレ貝のだしに、レモングラスやさんしょうの香りがするアオモジを添えて。米粉で作る麺・ブンは自家製。
カラスザンショウとウニのバインミー。谷町四丁目[ゴジュウニチョウメベーカリー]が焼くバインミー用のバゲットに根セロリのペースト、淡路島の由良ウニ、ビネガーでマリネしたカラスざんしょうをのせて。カラスざんしょうは青っぽいレモンやグリーンカレーのような香りがあってエスニックにぴったり。
本格的に山に通い始めたのは奇しくもコロナ禍。瀧澤さんが「師匠」と呼ぶ天然食材の目利きと一緒にひたすら山に通い、本を読み、そして食べた。「まずは食べられるか否か、特にキノコは菌類だから変異が速いため、最新の情報が必須。天然食材は育つ場所と成長過程で味が変わるので、その時点での味と表情を見て、メニューを組み立てていきます。下味は一切付けません」。だからひと皿食べるごとに、どんどん味覚や嗅覚が研ぎ澄まされるような、不思議な食体験を楽しめるのだ。そして理屈抜きにおいしい!全9品20000円〜(ドリンク込み)
店舗情報
tamタム
- 電話番号070-1845-0821
- 住所大阪市西区北堀江1-16-2 新御池ビル202
- 営業時間17:00~20:00 バータイム21:00~24:00※共に要予約
- 定休日日・月&不定
- カード使用可
- 席数5
- アクセス大阪メトロ四ツ橋駅から徒歩2分
※この記事は2025年7月号からの転載です。記事に掲載されている店舗情報 (価格、営業時間、定休日など) は掲載時のもので、記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。最新情報をご確認の上お出かけください。