わたしの“カフェ”の話。
店主たちの“好き”を知れば、カフェがもっと好きになれる。
いま、一番行きたいお店の店主たちに、深くお話を聞いてみました。
『すてきなカフェを作ってくれてありがとう!』、そう言いたくなります。
chapter.02
[Nova珈琲と焼菓子]と瀬戸家潤一さん
「主役のお客さんがくつろげる美しい余白を演出したいんです」
サンプリングで追求した、理想のカフェ空間
ざっと1000軒以上。「無類のカフェ好き」を自認する店主の瀬戸家(せとけ)純一さんが全国で巡ったカフェの数だ。コーヒーの味わい、器、空間、サービス……。店ごとの個性を楽しみながら、自身が理想とするカフェを思い描いた。独立するにあたって1年半かけて物件を探し、たどり着いたのは35年間愛されていた喫茶店の跡地。扉や棚などはあえてそのまま生かしてリノベーション。
窓辺にある大テーブルは、お寺の床板だったという木材を脚に乗せたもの。磨き抜かれたつやが、凛とした空気感をもたらす。大江憲一のコーヒーカップをはじめ、器はすべて作家もので、空間と同じく上質でシンプル。「ほど良く余白があった方が、写真を撮ってもらうときにきれいに映えるから」と、お客さん目線の計算もカフェ好きな瀬戸家さんらしい。コーヒーを淹れ、ときには抹茶を点てるカウンターまわりの道具まで隙なく洗練されていて、ギャラリーのような美しさにハッと目を奪われる。
非日常を演出する、二人のプロフェッショナル
店名にもあるコーヒーと焼き菓子。[Nova]を作っているのは、もちろん設えだけではない。瀬戸家さんは老舗コーヒー店で焙煎を学び、さらにイタリアに渡り、国際焙煎士の資格を取得。店内で毎日コーヒーの焙煎を手掛ける。
そしてもう一人、スイーツ担当の宮本みゆきさん。瀬戸家さんが独立を考えたとき、迷わず「自分の店でお菓子を作ってほしい」と声をかけたという。「以前同じカフェで働いていたころから、彼女のセンスと技術にほれ込んでいました。作り手が店にいることで、しっかり思いを伝えられます」。宮本さんも、瀬戸家さんのコーヒーのファン。「コーヒーに寄り添う、甘さに深みのあるお菓子を作りたいですね」。二人のプロフェッショナルが互いをリスペクトし、高め合うから実現するレベルの高さ。でも、瀬戸家さんたちに気取りはない。「気軽に足を運んで、非日常なひと時を過ごしてもらえたら」。その思いに共鳴したゲストが、今日もレトロなドアを開く。
- 電話番号06-4792-7796
- 住所大阪市北区天満3-1-5 南天満ビル1F
- 営業時間8:00〜17:00(モーニング〜11:00)共にLO
- 定休日水・木
- アクセス各線天満橋駅から徒歩5分