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わたしの“カフェ”の話。

店主たちの“好き”を知れば、カフェがもっと好きになれる。
いま、一番行きたいお店の店主たちに、深くお話を聞いてみました。
『すてきなカフェを作ってくれてありがとう!』、そう言いたくなります。

chapter.01

[LIMA COFFEE ROASTERS]と橋本潤也さん&スタッフさん

「神戸らしさが詰まった、新たな店の顔に」

4坪の小さな店から広がったコーヒーを通じたつながり

ここ5年ほどで、神戸のコーヒー激戦区となった栄町で、先駆け的な一軒として2014年にオープンした[Lima Coffee]。オーナーの橋本潤也さんは、兄がインドネシアで仕事をしている縁で、現地との貿易を手掛けていた。その一つがコーヒー豆だったこともあり始めた焙煎所が、店のルーツになる。「Lima」とは、インドネシア語で「5」の意味。コーヒーの味を作る甘・苦・酸・香り・コクの5つの要素を表し、「人の五感を刺激するコーヒーで、暮らしを楽しく」との思いが込められている。わずか4坪の店に焙煎機とカウンターを詰め込んで始めたお店は、自ら産地を訪れて仕入れるインドネシア・マンデリンをはじめ、多彩なシングルオリジンの豆をそろえ、コーヒースタンドでは珍しいサイフォンで新鮮な風味を提供。ユニークなスタイルで支持を得て、開店3年で香川に姉妹店を出店するまでに。地元密着の小さな店は、コーヒーを通じて人との縁を広げ、4坪には収まりきらないほど存在感を増していきました。

ひと目見て、「あっ、移転しよ」っと思ったという、元銀行の建物。

古いものの良さを生かし、神戸らしい新たな拠り所に

「香川に広いお店を作ったことで、"創業店がこの規模でいいのか?"と感じて。元町店を大きくしたいという思いはずっとありました」と橋本さん。やるなら歴史ある建物で、と考え出した1年前に、この場所に出合い、ひと目ぼれ。"本店"として今年3月に心機一転のスタートを切った。元銀行というモダンな外観や意匠を残してリノベートした空間には、アンティークの家具や調度を合わせて、入り口すぐは開放的なスタンドに。奥にカフェスペースを設けたのに合わせて、コーヒーのお供になるメニューも充実。

「元の建物の肌触りもかっこいいので残しています。」と、橋本さん。壁や天井、地下室まで、クラシックな魅力が随所に。

ご近所の[加集製菓店]に特注するカヌレ・ド・リマや、マイスターに依頼するバウムクーヘンなど、華美なスイーツではなく、地元の店とコラボした定番の洋菓子を扱うのも、古いものを愛する橋本さんのこだわり。「この場所を得たことで、もっと幅広い人が集まるようになれば」と、港町の歴史を知る空間を生かした、界わいの新たなお店からコーヒーの縁がもっと広がっていきそうだ。


希少な手作り黒糖を使った今帰仁黒糖ラテM 600円。黒糖の粒を噛むたびに、香ばしい苦みとコクのある甘みが溶け合う新感覚の一杯。カヌレ・ド・リマ380円。濃厚な甘さとラムの香りが相まった芳醇な後味が印象的。テーブルの天板は海外の交通標識(!!)

入り口付近では、ワイルドな多肉植物「アガベ」が、インテリアのアクセントに。実は、販売もしている。
※この記事は2021年9月号からの転載です。記事に掲載されている店舗情報 (価格、営業時間、定休日など) は掲載時のもので、記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。最新情報をご確認の上お出かけください。
写真/エレファント・タカ 取材・文/田中慶一
店舗情報
神戸・栄町
LIMA COFFEE ROASTERSリマ コーヒー ロースターズ
  • 電話番号
    078-335-6308
  • 住所
    神戸市中央区栄町通3-2-6 1F
  • 営業時間
    9:00〜18:00
  • 定休日
  • アクセス
    各線元町駅から徒歩8分
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