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[ワインショップFUJIMARU]の藤丸さんとともに、全国のワイナリーを巡る旅の記録。新幹線とフェリーを乗り継ぎ、向かった先は瀬戸内海に浮かぶ小豆島。快晴の絶景に迎えられながら、[224ワイナリー]を目指した。

藤丸智史さん/大学卒業後、ソムリエを経て海外でワイン作りを学び、大阪で[ワインショップFUJIMARU]を開業。現在はブドウ作りからレストランまで展開する株式会社パピーユの代表取締役。 Instagram@winefujimaru

Vol.11
香川・小豆島[224ワイナリー]へ

2022年に開業。瀬戸内海を目の前にした丘陵地にある、小豆島で唯一のワイナリーで、およそ1haのブドウ畑で7品種のブドウを栽培。現在は買いブドウを使ったワインを含め、19種類のワインを年間で約20,000本を生産する。

視界に広がる青い景色の
魅力が詰まったワイナリー

 今回の目的地は、瀬戸内海に浮かぶ小豆島。朝一番の新幹線とバスを乗り継ぎ、フェリー乗り場に到着。海辺にきらきらと反射する朝日でようやく目が覚めた。フェリーのデッキを散策して過ごしていると、ボウッと汽笛が港に鳴り響き、さっきまで海辺を泳いでいたカモメと一緒になって海を渡った。
 到着したのは小豆島の南東にある土庄港。車で出迎えてくれた藤丸さんと合流して、さっそくワイナリーへ向かう。海沿いの道をのんびり進み、急勾配の坂道を登りきると、目当ての[224ワイナリー]が。「この島の自然の中で遊んだ子どもの頃の記憶が、大人になってもなくならんかったんですわ」と、この場所にワイナリーを作った理由を陽気に教えてくれたのは、ワイナリー代表の志賀隆太さん。目線の先には空と海、二つの青がグラデーションする瀬戸内海の、目の前一面に広がる気持ち良い景色があった。海を前にした立地は絶景だけでなく、海風の影響からミネラルが土壌に豊富に蓄えられ、ワイン通たちをうならせる深い味わいに。「計算もなく全部が偶然やけど、ここで育ったブドウでしか表現できへんワインがある」と志賀さんは、ほれ込んだ島の風土の味を醸し続けている。
 帰りのフェリー乗り場に向かう道中では至る所に植えられたオリーブを眺めつつ、しょうゆ蔵の見学や土産物屋に立ち寄る。朝よりもだいぶ増えた荷物を抱えながら、船は静かに港を離れる。山の奥へと夕日が沈みかけたたそがれ時だった。

[224ワイナリー]のブドウ畑から眺める瀬戸内海の青い絶景。
  • 小豆島に向かうフェリーからの景色。
  • ワイナリーの代表を務める志賀隆太さん。
  • 山を自ら切り開いて作り上げたブドウ畑。
  • 島の名産のオリーブの木も植えられている。
  • オリーブの聖地、小豆島。車を走らせると、オリーブの景観が目に入る。

ワイナリーの入り口にはワインショップが併設。これからリリースされる今年の新作が待ち遠しい。
  • ワイナリーにワイン樽を運び込むスタッフ。
  • 倉庫には1,000Lのステンレスタンクが並ぶ。
  • 瓶内ニ次発酵のワインは、まもなく出荷される。
  • こぢんまりとしてかわいいワイナリーの入り口。


〜今月のワイン〜

224ワイナリー
島シャン2024


自社畑で育てたデラウェアとシャルドネを8対2の割合でブレンドして瓶内で二次発酵させる。豊富なミネラルが長い余韻を感じさせるワイナリーの代表作。4,840円(750㎖)

豊富なミネラルが自慢な、小豆島唯一のワイナリー
大阪の[カタシモワイナリー]で5年間修業を重ねた志賀隆太さんが、子どもの頃からの思い出が詰まった小豆島で設立。丘の上に自ら開拓したブドウ畑では、除草剤や肥料は使わず、自然に近い状態でブドウを栽培し、海のミネラルがたっぷり。今年は新たにデラウェアの畑を開墾予定。ブドウ畑は自由に見学可能だが、団体での見学の場合は事前に連絡を。

店舗情報
香川・土庄
224ワイナリー
  • 電話番号
    0879-62-8224 
  • 住所
    香川県小豆郡土庄町甲3406-1 
  • 営業時間
    9:00〜11:30、13:00〜17:00
  • 定休日
  • カード使用
  • アクセス
    小豆島オリーブバス「戸形」バス停から徒歩7分

立ち寄りスポット①

[小豆島・安田]ヤマロク醤油

150年の歴史を醸す、生きるしょうゆ蔵
創業は約150年前。現在はステンレスや樹脂のタンクが主流の中、蔵元の五代目・山本康夫さんが昔ながらの木おけ仕込みひと筋でしょうゆ造りを行う。最長4年かけて仕込むしょうゆの味比べや軽食の販売も。所狭しと並んだ巨大な木おけや壁、柱や天井まで、いたるところに酵母や乳酸菌が付着した“生きる蔵”は、一見の価値あり。

  • 左から、天然醸造しょうゆを使った香り高いぽん酢1,940円。木おけの最初の1年目だけ造られる新桶初搾り640円。
  • 木桶の表面や壁には、酵母や乳酸菌が付着。実際に見学もでき、間近で見ることも。
  • 軒先にはやまろく茶屋を併設し、見学後のひと息に。圧巻の木桶がお出迎え。
店舗情報
小豆島・安田
ヤマロク醤油
  • 電話番号
    0879-82-0666
  • 住所
    香川県小豆郡小豆島町安田甲1607
  • 営業時間
    9:00~17:00
  • 定休日
    なし
  • カード使用
  • アクセス
    小豆島オリーブバス「安田上」バス停から徒歩8分

立ち寄りスポット②

[小豆島・安田]Benefit Station きたの

小豆島の名産品が勢ぞろいなよろず酒屋
昭和初期に創業した地域密着型の酒屋。「“ありません”はありえません」をモットーにしながら、客からのリクエストに応え続けた結果、小豆島でこだわりを持った生産者の食品や地酒が店内を埋め尽くす。もはや酒屋の枠を超えた品ぞろえで、小豆島観光の土産物も大充実。2025年夏にはリニューアルを計画中と、さらに商品バリエーションが豊富に。

  • 小豆島の海水から昔ながらの手作業で作る[波花堂]の御塩400円(50g)。その塩を使ったご当地サイダーも販売。
  • [224ワイナリー]のワインがずらりと並ぶ。土産物のアテとともに購入もお薦め!
  • 店内の商品セレクトや地元について熱く語る店主の父・北野さん。
店舗情報
小豆島・安田
Benefit Station きたの
  • 電話番号
    0879-82-0276
  • 住所
    香川県小豆郡小豆島町安田144-5
  • 営業時間
    9:00~22:00(日・祝~20:00)
  • 定休日
    第3水&不定
  • カード使用
  • アクセス
    小豆島オリーブバス「小豆島中学校前」バス停から徒歩3分


藤丸さんのイチオシ

[小豆島岩谷]小豆島発酵ハム



藤丸さんが注目する食品商社に長年勤めた三好昭浩さんがUターンし創業した工房。スペインの伝統的な生ハムの製法をベースにしながら、空調管理を行わず、自然環境のもとで熟成。白カビと小豆島のしょうゆ麹菌を使い2段階で発酵させて生ハムを作る。

【大阪からのアクセス】
大阪→小豆島/電車 JR新大阪駅→JR東海道新幹線・岡山駅→JR東海道本線・特急ふじかわ・甲府駅 大阪から約4時間20分、片道料金14,400円〜

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写真/西島 渚 取材・文/関戸ナオヒロ
協力/パピーユ www.papilles.net

※この記事は2025年4月号の転載です。記事に掲載されている店舗情報 (価格、営業時間、定休日など) は掲載時のもので、記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。最新情報をご確認の上お出かけください。
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SAVVY5月号『北浜・中之島』
発売日:2025年3月22日(土)定 価:900円(税込)