都市部からは少し離れているけれど、“わざわざ”足を延ばしてでも行きたい空間のあるお店へ、“はるばる”おいしいおやつを目指して出掛けました。

〜日本家屋の離れで、体に優しいおやつ〜

大阪・忠岡
［I AM（アイ アム）］

ありのままの空間と
心満たされる焼き菓子

古き良き日本建築の表門をくぐった先は、庭のある立派な家。［お菓子屋 べた］として製菓を活動の軸にする入江友加吏さん・菜摘さんが、祖父母宅の離れに開いたのがこちらの喫茶室。店名は「存在しているだけで良いと思えるような、優しい場所があれば」という思いを込めて。冬は暖炉で薪が爆ぜ、静かな音楽が流れる空間は気持ちが安らぎながらも背筋が伸びる心地よさ。

おやつは菜摘さん自身が手掛けるその時々の焼き菓子で、「体に良い素材を使ってできるだけシンプルに」と、どれも米粉とてんさい糖を使ったグルテンフリー。けれど、例えば栗のタルトはダマンドに和栗のペーストを、その上に栗の渋皮煮を、さらにクランブルにもへーゼルナッツを加えるなどアイデアを尽くし、一つで心満たされる仕立てに。「どうぞ長居してください」の温かい迎え声と“日本一小さな町”こと忠岡町の穏やかな空気も相まって、おやつとコーヒー片手についついのんびり過ごしてしまう空間。

写真／エレファント・タカ　取材・文／村田絵里子