大通りの喧噪から少し離れた路地裏に、川沿いに……。
ちょっとミステリアスで、とびきり幸せな空間が広がっていました。
京都へ小さな旅にでかけませんか?
人、食、自然……
さまざまなものがつながる場所
鴨川と高瀬川に挟まれた五条楽園。高瀬川伝いに歩いていくと、窓に[ki:]とだけ書かれたミステリアスな店が姿を現す。「ここは祖母の家だったんです。小さいころ、私も住んでいたんですよ」と、店主の長野浩丈さん。なるほど、リノベーションされてはいるが、京町家らしい奥に長い造り、手つかずの柱や梁にかつての暮らしぶりが見える。その空間の核をなすのが、店のアイコンとも言える大テーブル。
「食のスタイルや信仰が異なる人同士が食卓を囲み、共に時間を過ごせる場所にしたかったんです。コロナ禍で食卓を囲むなんて、とずいぶん反対されましたが、そこだけは譲れなくて。店を開いてから、気持ちが揺らいではいけないと、テーブルは動かせない石造りにしました」。決意の証である灰色のテーブル。そのモノクロの世界に彩りを与えるのが料理だ。「健康的で、さまざまな人が食べられるものをと考えてたどり着いた」というレバノン料理は、香辛料の香りが心地良く、ほお張ればたちまち心を異郷に連れ去ってしまう。
ランチには、チキンとファラフェルミックス2,300円(写真)などのプレートほか、本日のデザート800円といったスイーツメニューも。いずれも長年フレンチで腕を振るってきた店主のセンスが光る。
昼下がり、天窓からこぼれる光が旅人たちの食卓をふわりと包み込む。まるで共に食に預かる者たちを祝福するかのような、その光景に店主が思い描いた〝楽園〟を見た。
店舗情報
汽き
- 電話番号075-585-4224
- 住所京都市下京区都市町149
- 営業時間朝8:00〜9:45、昼11:00〜14:45共にLO
- 定休日水
- アクセス京阪清水五条駅から徒歩5分