里山に抱かれた静けさの中
健やかな美味をゆるりと

　江戸時代後期の安政年間に建てられた庄屋屋敷を、古民家ホテルとして再生した［多賀さとの宿 一圓屋敷］。「宿泊以外の方にも、歴史ある古民家に親しんでほしい」と始まったのが、予約制の薬膳ランチ。多賀大社前駅近くのデリ＆サンドイッチ店［梵］の髙橋由希子さんが料理を担当し、真夏なら冷えや夏ばてを予防・改善する食材を取り入れたりと、中医学の考えに基づいた月替わりのメニューを提案する。約10品からなるコースは地元・多賀産のみずみずしい野菜をたっぷり使用。ジャンルにとらわれない品々に食欲がそそられる。食後は広間の縁側に腰掛け、庭を眺めながらくつろいで。

まず、野菜ふんだんな品々でコースがスタート。蒸しインゲン豆の梅じゃこあえ、タコとキュウリのサラダ 大葉パイナップルドレッシング、グリーンピースとドライトマトの白あえ、高菜のポテトサラダ。

取材時の6月は「梅雨時を健やかに過ごす」がテーマ。枝豆豆腐、桜エビやズッキーニなど具だくさんな緑豆春雨炒め。髙橋さんが鹿児島県出身とあり自家製さつま揚げは欠かさない。

貝柱とイサキ、ヤマイモのシュウマイは黒ゴマ入りの酢でさっぱりと。トウモロコシ粥は自然な甘みがうれしい。温かい料理で締めくくることで、おなかも心も程良く満たされる。

デザートは、豆乳ベースでまろやかに仕上げたマンゴーのお汁粉。多賀特産のそばの実を散らして食感のアクセントに。

中医薬膳指導員の資格を持つ髙橋さん。「おいしいことと、見て美しいことが薬膳の大前提です」と笑顔。

薬膳ランチ

営業時間●12：00一斉スタート　
定休日●月2回ほど木曜のみ
カード使用●不可
※10日前までにInstagram（@bon_2019）のDMより申し込み。1組4～8名（2組4名も可）

お宿は1日1組限定で、2階と蔵を生かした2部屋から選べる。共有スペースの1階は茶室も合わせると7間と圧巻の広さを誇り、落語会やヨガなどのイベントを随時開催する。四季折々の草花が美しい庭園には琵琶湖を模した池も。

写真／エレファント・タカ　取材・文／本庄 彩