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[ワインショップFUJIMARU]の藤丸さんとともに、全国のワイナリーを旅しながら、その土地とワインの魅力を紹介する連載。前回に引き続き、南国の宮崎を舞台に、世界的に高い評価を獲得する[都農ワイン]を訪れました。

藤丸智史さん/大学卒業後、ソムリエを経て海外でワイン作りを学び、大阪で[ワインショップFUJIMARU]を開業。現在はブドウ作りからレストランまで展開する株式会社パピーユの代表取締役。 Instagram @winefujimaru

vol.03
宮崎・都農[都農ワイン]

戦後間もないころから食用ブドウの栽培を行ってきた都農町で、地元産のブドウだけを使うワイナリー。甘口のロゼワインを筆頭に、どっしりと樽熟成させた白ワインまで、独創的なワインを生産する。年間生産数は、およそ24万本。

広大なブドウ畑のほんの一部。現在は16品種のブドウから、40種類のワインを生産。

ワイナリーを牽引する赤尾誠二さん。

ブドウ畑は気候に合わせた“棚仕立て”に。

ワイナリー内のショップでは試飲も可能。テイスティングのチケットは、5枚綴りで500円。
  • 18,000ℓのワインが入る巨大なタンク。
  • 併設のベーカリーではワインをいただくことも。
  • 総菜系からスイーツ系まで豊富に。トリュフ塩パン160円
  • ワイナリーは標高150mの牧内台地に。
  • カフェのテラスからは、海まで見渡せて気持ちいい場所。

風土を醸すワインの丘と、
アーリー・サマーな旅

 幸運なことに、宮崎の旅は二日目も快晴。この日はワイナリーを訪れる前に朝早くから車を走らせ、旅に欠かせないという温泉へ向かった藤丸さん。[妻湯]の広々とした露天風呂と景色にしばらく癒やされたあとは、行きつけのウナギ屋[入船]に足を運ぶ。ここの呉汁に目がないのだとか。創業130年を超える名店には、開店前から大勢の人が押し寄せていた。
 温泉とウナギを楽しんだあとに向かったのは、宮崎県のほぼ中心に位置する都農町。小高い丘の斜面を上り、目的地の[都農ワイン]に到着すると、大きな鯉のぼりが風ではためいていた。雨や台風の被害を受けやすくブドウ栽培には適さないこの土地で、地元のブドウ農家と協力して土作りから行い、独自の土壌を生かしたワインを醸造。数多の苦難を乗り越えながら、世界的にも高く評価されるようになったという。広大な丘陵地は“ワインの丘”として生まれ変わり、町に新たな景色と名産品を生んだ。今でも、使用するブドウは全て地元産にこだわり、ワインで町の風土を表現し続けている。


〜今月のワイン〜

キャンベル・アーリー ロゼ 2023


海外からも高い評価を獲得した[都農ワイン]を代表するロゼ。優しいフルーティーな甘さのあとに、すっきりと爽やかな酸味が口に広がるチャーミングな味わい。1,760円(750㎖)


軽やかな味わいで、すいすい飲めるキャンベル・アーリー・ロゼ。

地元産のブドウを使った風土を表現するワイナリー
雨と台風が多くブドウ栽培には適さないとされる都農町で、1996年に設立。「ワインは地酒」という信念のもと、使用するのは地元で作られたブドウのみ。豊富な日照を受けたフルーティーなワインを中心にそろえ、国内外で高い評価を獲得する。ワインのテイスティングもできるワイナリーツアーは一人2,000円で、HPから要予約。

店舗情報
宮崎・都農
都農ワイン つの
  • 電話番号
    0983-25-5501
  • 住所
    宮崎県児湯郡都農町大字川北14609-20
  • 営業時間
    ショップ9:30~17:00、ベーカリー10:00~※売り切れ次第終了(ドリンク〜16:00LO)
  • 定休日
    なし(ベーカリー月〜水)
  • カード使用
  • 席数
    36 
  • アクセス
    宮崎空港から車で1時間

ワイナリーを離れ、車で北上すること20分。今回の旅の終着地は、地平線が広がる金ヶ浜ビーチの目の前にある[NEW DAY]。波の音をBGMに、都萬牛のステーキをメインディッシュにBBQを楽しむ。ワインで少し体がほてり、ヤシの木陰で涼もうとすると、海と空が溶け合った美しい青色が、目の前でまぶしく輝いている。一足早い夏の光景に胸が弾み、もう一度グラスを傾けた。

SPOT TO STOP ①
[入船]

明治から四代続く、老舗のウナギ店
創業は明治27年。四代目の横山武士さんが代表を務める。九州各地からウナギを仕入れ、調理する当日の早朝にさばく。蒸さずに備長炭でパリッと焼き上げることでうま味を逃さない。創業からの秘伝のたれも香ばしく、水で浸した大豆をすりつぶしたクリーミーな呉汁と、肝焼きも美味。うなぎ定食3,770円


藤丸さん一押しの呉汁とウナギの組み合わせ。「ここにしかない味です」

  • ウナギは店の隣にある専用の小屋で焼き上げる。おいしい匂い!
  • 開店と同時に、どっとなだれ込むお客さんたち。人気店!
  • 壁には、芸能人やスポーツ選手などのサインと写真がぎっしりと。
  • 調度品も含めてどこかなつかしい感じのお座敷席が、なんだか落ち着く。
  • 三代目店主の横山邦夫さんと、藤丸さん。「宮崎に来たら、必ず寄りたいお店です!」
店舗情報
宮崎・西都
入船いりふね
  • 電話番号
    0983-43-0511
  • 住所
    宮崎県西都市大字南方3316-3
  • 営業時間
    11:00~14:30、16:30~19:30L0
  • 定休日
  • カード使用
  • 公式HP
    http://www.u-irifune.com/
  • アクセス
    東九州自動車道西都ICから車で10分

SPOT TO STOP ②
[妻湯]

自然と一体になれる、開放感あふれる温泉
一面が大きなガラス張りの内湯に、低温でゆっくりと長湯を楽しめる半露天風呂と岩風呂が中庭とつながっている。広大な敷地の開放感抜群の大浴場で、優雅なひと時を過ごすことができる絶景の湯。また、ドライサウナも完備しておりサウナ好きも大満足。地元の食材を使ったレストランも併設している。

広々とした内風呂からは、これまた広々とした日本庭園が見える。

  • 露天風呂に、ぬる湯、そして巨大なサウナと、至れり尽くせり。
  • 元工場跡地だけあって、ものすごく広い! 開放的すぎるロケーション。
  • 「ここめちゃくちゃ広くて気持ちいいんです」と藤丸さん。
店舗情報
宮崎・西都
妻湯つまゆ
  • 電話番号
    0983-32-1108 
  • 住所
    宮崎県西都市調殿687-5
  • 営業時間
    10:00~21:30最終入館
  • 定休日
    火(祝の場合営業)
  • カード使用
  • 料金
    900円
  • 公式HP
    https://tsumayu.com/
  • アクセス
    東九州自動車道西都ICから車で10分

SPOT TO STOP ③
[ミート工房 拓味]

ナチュラルに育てた、健康的な和牛の直売所
“サシ”が最重視される従来の黒毛和牛の肥育法に逆らい、霜降りをあまり付けずに肥育した都萬牛の直売所。焼酎粕や海藻などのエサを与え、クリーンな牛舎で牛へのストレスを最小限にしながら長期肥育。脂身のくどさがなく味わいが濃い赤身肉は、「一度食べたら他の肉には戻れない」と藤丸さんも絶賛。

「お店で使ってるのはもちろん、プライベートでもよく買ってます」と藤丸さん。

  • 少し離れた場所にある牧場は、いわゆる牧場の匂いがほぼない。
  • 直売所には、ハンバーグやカレーなどがずらりと。通販もできる。
  • 「あの店がおもしろいですよ」と情報交換をする藤丸さんと[拓味]の矢野さん。
店舗情報
宮崎・児湯
ミート工房 拓味たくみ
  • 電話番号
    0983-41-1129
  • 住所
    宮崎県児湯郡新富町新田15118-1
  • 営業時間
    9:00~18:00(日~16:00)
  • 定休日
    水&第1火
  • カード使用
  • 公式HP
    https://toman-gyu.com/
  • アクセス
    東九州自動車道西都ICから車で10分

SPOT TO STOP ④
[NEW DAY]

美しいビーチサイドでグランピング体験
国内有数のサーフスポット金ヶ浜で、グランピングが楽しめる貸切のトレーラーハウス。室内からは美しい海岸線が一望でき、まるで暮らすように滞在できる。都萬牛のステーキや宮崎産の野菜を楽しめるBBQコースも。都農ワインと一緒に楽しみたい。プレミアムBBQコース1人前5,500円(写真は2人前)


宮崎の食材が詰まったバーベキューセット。もちろん、ワインと一緒にどうぞ!

  • 抜けるような青空は、いかにも南国!リゾート気分を満喫して。
  • ビーチすぐそばにあるコンテナハウス。窓から大海原を眺めることができる。
  • サーファーでもある藤丸さんは、サーフィンで宮崎によく来ていたそう。
  • コンパクトながらも、小綺麗で居心地の良い空間。
店舗情報
宮崎・日向
NEW DAYニューデイ
  • 電話番号
    0982-60-4255
  • 住所
    宮崎県日向市平岩2217-3​​ ステアーズ・オブ・ザ・シー内
  • 営業時間
    IN●15:00 OUT●10:00
  • カード使用
  • 料金
    1泊22,000円〜(1泊素泊まり2名利用の場合)
  • 公式HP
    https://www.newday-miyazaki.com/
  • アクセス
    宮崎空港から車で約1時間10分

写真/西島 渚 取材・文/関戸ナオヒロ 協力/パピーユ

※この記事は2024年9月号からの転載です。記事に掲載されている店舗情報 (価格、営業時間、定休日など) は掲載時のもので、記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。最新情報をご確認の上お出かけください。

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発売日 2024年10月23日(水)定 価 900円(税込)