ソフト麺とは一線を画す 中太もっちりスパゲティ
大阪・北浜[ロマスパ]の情熱のナポリタン
路面の立ち食いそば・うどん店を指す「路傍の麺」の意で使われる「路麺(ろめん)」と、「スパゲティ」の「スパ」が合体して「ロメスパ」なる言葉が生まれ、気軽に入れるスタンドスパゲティ店は「ロメスパ」と呼ばれる。店主・吉村眞太郎さんは「ロメスパ」の文化と、その名店である東京・銀座[ジャポネ]に共感&リスペクト。北浜というビジネス街で何か飲食店を開くならと始めたのが、カウンターのみのスパゲティ専門店[ロマスパ]だ。
いわゆる懐かし系のナポリタンとは違う味を作りたいと、直径2㎜の中太麺を選んだ。筆者が“ぶっとい”のを期待してたら、意外とスリムでするする食べやすいタイプである。麺は圧力釜でいったんゆでて冷蔵庫で置いておく。生パスタのようにもちもちしているが、フライパンで調理する分、焼きそばにも似た麺の存在感がある。ゆで置きすることで効率が上がるけれど、普通なら伸びてしまいそう。だから完成から逆算して、ちょうどいい具合にゆで時間を調整しているのだ。
スパゲティの味は4種類。看板の「情熱のナポリタン」と、「魅惑のミートソース」、「華麗のアラビアン」(カレー)、「北浜の和風しょうゆ」。ネーミングにも遊び心が入っていて、ちょっと好奇心がくすぐられる。
話すと明るい人柄だが、営業中は寡黙に見える店主・吉村さん。ガコンガコンガコン、ジャッジャッ、スパゲティの麺を入れたフライパンを振る音が響く。背中で何かを語るかのように、集中する。完成したスパゲティに追加の目玉焼きを慎重にのっけて、完成だ。
客の多くが粉チーズをたっぷり振って、たぽたぽとタバスコをかける。「特に食べ方に決まりとかないんです。好きに食べてもらったら」と、どちらもビッグサイズの容器なのがうれしい。麺量はしっかりで、座席はコロナ禍以前からゆったり配置されている。「短い昼時間。少しでもゆとりを持って楽しんでもらいたい」という姿勢からだ。
吉村さんが別のスパゲティの鍋を振る。手際も良いし、客の回転も良い。みんなの食べっぷりを見てもなんだかうらやましくなる。「若いなぁ」とかではなく、朝からガシガシ働いて午後の仕事のエネルギー補給に、こういう店がある幸せ。まだまだ大阪の経済は大丈夫だ。
店名の由来は、前述の「ロメスパ」がベースではあるが、「ロマンのあるスパゲティ」から。路傍ならぬビル地下に、市井のエネルギー源としてあるロメスパ店。「13年前に開店したころは北浜どころか大阪にはまだ少なかったんです。こんな店がもっと増えていったらいいなー」という思いを「ロマン」に込めたのだそうで。
写真/エレファント・タカ 取材・文/曽束政昭
- 電話番号06-6226-0012
- 住所大阪市中央区北浜2-2-22 北浜中央ビルB2
- 営業時間11:00~15:00頃※売り切れ次第終了
- 定休日土・日・祝
- クレジットカード使用不可
- アクセス各線北浜駅から徒歩すぐ
※この記事は2023年9月号からの転載です。記事に掲載されている店舗情報 (価格、営業時間、定休日など) は掲載時のもので、記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。最新情報をご確認の上お出かけください。