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編集長の竹村です。

春ですね。
いかがお過ごしでしょうか。

テレビのニュースでは、桜の開花を予想したり、
「寒さももう少しの辛抱です、春はもうすぐです」
というようなコメントが定番の季節となりました。

いきなり告白しますと、実は、私、春が苦手なんです。

春を楽しみにしている人が多い中で、恐縮なんですが、
個人的に、心身ともに調子が悪くなるシーズンだからというのも
関係があるかもしれません。

寒いのが好きなので、
あったかくなるとテンションが下がるなぁ、と思っていたのですが、
あるとき気づいたのは、十把一絡げに「春が待ち遠しい」と圧があるのに
違和感があるんじゃないのかという。

それが先ほどの、ニュースとかあいさつで
「春はうれしいよ」という、静かな圧がじわじわとボディブローのように効いて
ますます春が苦手になっているのではないか。

もちろん春になると木々が芽吹き、食料の確保がたやすくなって、
寒さに凍えることもなくなり生存確率が上がるのは、動物としての本能なので、
そこは理解しています。

でもまぁ、と、思うわけです。
天邪鬼かもしれませんが。

誰しもが豪邸に住みたいわけじゃないように、
誰しもが春が好きで楽しいわけでもない、と思うのです。

世の中の大多数(と思われる)が春を待ちわびているのに、
わたしは、待ちわびていない。
『SAVVY』 を編集する上でも、この部分に気をつけています。

大多数の好みとは逆張りでつくっているという意味ではなくて、
何かを「いいですよ」とお薦めする場合、
そこには同時に「よくないな」と思う人の存在があることを意識すること。
そういう人にとっては、少なからず不快な印象を与えてしまう可能性があること。

発信することは、ある種の覚悟と責任が伴うことです。
思ってもいない形で、誰かを傷つけることもあるやもしれません。
(もちろん差別や誹謗中傷、悪意のある恣意的な発信はNGです)

そこも含めてが、プロとして雑誌やウエブを作ることであると思っています。

ちょっと意味合いが違いますが
かつて久米宏が、アナウンサーは
「うれしそうにパンダのニュースを読むな。
悲しそうに強盗事件のニュースを伝えるな」
みたいなことを言っていました。

「寒さも和らぎました、春が近づいて私はうれしいです」
と、アナウンサーの一人称で言ってくれたら、
このざわざわした気持ちになることも和らぐのでしょうか。
しかし、それはそれで「アナウンサーの個人の感想を言うな」と
批判を浴びそうです。難しいです。

それではどうぞよろしくお願いします。

※編集長日記は、毎週金曜更新! 次回は3/24(金)更新予定です。
過去記事は、ハッシュタグ #編集長日記 をクリック。

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発売日:2024年12月21日(土)定 価:900円(税込)