SAVVY.jpの竹村です。
呪いのような言葉があります。
それは「センス」。
愛すべき『新明解国語辞典』(第三版)によると、
センス=
1)物事の微妙な・感じ(よさ)を知る心の働き。
2)普通の人なら当然持っているはずの感覚。常識
「-のない人」
例文の持って行き方が、どうにも『新解』さんではありますが。
それはさておき、1)と2)で、ずいぶん雰囲気が違いませんか。
一般的には、1)の方を、センスとされますよね。
なので、今回は1)の意味を、センスとして使います。
われわれ編集の仕事でも、「センス」はよく出てきます。
センスのいい編集とか、編集センスがあるとか。
それはただ単にオシャレなものが作れるという意味ではないのが重要です。
「じゃあ、どういうのがそれなんだ」と問われると、具体的に答えるのがとても難しく、
SAVVYを見てください、とでも言うことぐらいしか出来ないです。
センスのいい編集をしようと思って作ってはおりますので。
しかも、いまは多様化の時代。
万人が「センスがいい」と思うものがないといいますか、
逆に「センスのいい」ものの幅が広がったといいますか。
そういえば、センスの変化球的な言葉として「ビジュ」が勃興してきていますね。
ビジュまで話を広げると、まとまりきらなさそうなので、また今度。
なぜ急にセンスの話を始めたかというと、
最近ちょこちょこ大阪で撫養さんに会うことがあって、
そして白浜の[MUYA]にも行ってきました。
撫養さんって誰ですか?な人のために少し紹介します。
白浜で[MUYA]という、アパレルショップ、カフェ、ホテルが渾然一体となった複合施設をされています。
そもそもが[MUYA]というアパレルブランドをされています。
そのショップ兼カフェ兼ホテルというわけですね。
ちなみに撫養(むや)さんだから[MUYA]です。
徳島に同じ地名がありますが、あまり関係はないとか。

牟婁の湯からほど近く、小径に入って少し登ったところに[MUYA]はあります。
古い小さなビルを改装していて、楚々としたファサードの雰囲気からして
「センスがいい」と感じます。
1階がカフェで、ロフト的な2階がアパレルショップ。
上階に、ホテルがあります。(1泊1組)
ソリッドなんだけれど、冷たすぎない。
無機質(コンクリート)と有機質(木材)の組み合わせが絶妙で、
そのバランスもとてもいいから、突き放した感じにならないのかなと。
もしかしたら、撫養さんの人柄なのかもしれません。


カフェで出てくるメニューも、センスがいいんですよね。
クリームソーダにコーヒーゼリーと懐かしいラインアップに加えて、
ボタニカルシロップのソーダ割り、なんてイマっぽいメニューをさりげなく。
そんなに気取ってませんよ、という雰囲気を出すのが上手なのでしょうか。
撫養さんにそういうと「心の中でめちゃくちゃ気取ってます」とか言いそうですが。
あたかも吟味してませんよと見えながらも、
実は選び抜かれた「センスのいい」物で構成されている空間といいますか。
だからといって、ドラマのセットのような現実感のない表面的ではないんですね。
村上春樹的に表現すれば、とても教育された物が並んでいる空間、でしょうか。
いまいちセンスのないことを言ってしまいました。
さて。
果たしてこのセンスは、どうやって磨かれたのか。
そもそも磨こうと思って作れるのかは、謎なんですよね。
撫養さんに問うても「いやぁ、ありがとございます」としか答えが返ってこないはず。
あるいは、「まだまだセンスなんてなくて」と言うかもしれません。
正解があるようでない。
到達できるようで、よく分からないのがセンスなのでしょうか。
もちろん編集にも、インテリアにも一定のロジックはあります。
定石と言われるものがあって、そこから先にあるのがセンスの世界線。
なんだかよくわからない観念的なことだからこそ、
呪いっぽい、と思ってしまうのかな、と。

でもまあ、[MUYA]に行った大方の人は、「センスがいい」と思うんでしょう。
なんなんでしょうね、センスって。
答えのない話を、年末の忙しいときにして恐縮です。
何かのヒントになれば幸いですが。
それではどうぞよろしくおねがいします。
[MUYA]
公式HP:https://shop.muya.jp/

※この記事は2025年12月12日時点の情報です。掲載内容は公開時のものであり、ご覧いただく時点では変更されている場合があります。お出かけの際は、最新の情報をご確認ください。
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