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クリスマスから一辺倒、お正月モードに突入した年の瀬です。
学生の時、12月25日の深夜にクリスマスからお正月の飾り付けに変えるアルバイトをしたことがあります。
とある百貨店のクリスマスの飾り付けを全フロアから撤去する作業で、
一個たりとも取り逃してはならない、取り逃したら死刑!みたいな雰囲気で
緊張感ありまくりで作業した記憶があります。
大きな脚立に乗って高い天井からぶらさがったクリスマス飾りを外すのも緊張しました。
さらに、1店舗だけではなく京阪神の系列店を全部回るというもの。
閉店すぐからに作業して、あちこち回って終わったのは明け方でした。
深夜の高速をバスに揺られて運ばれていくのは、ちょっとした拘束感がありまして、
浮かれた装飾の残骸を見ながら、いろんな仕事があるもんだ、と思ったものです。

さて、そんな年末。
前回の続きです。
普通って何だよ?って話ですね。

今でこそダイバーシティが謳われる世の中ですが、
大同小異が許されなかった(と、個人的には感じる)昭和教育まっただ中で
とても内向的な幼少期を、今で言う陰キャ街道を爆走しておりました。

とりあえず全員同じこと、同じレベルでできることが最善とされていて
(と、個人的には感じる)、とにかく何事も追いつけない、クラスの輪に入れないことが多かった。
体格的に小さかったことも、同調できなかった要因かもしれません。
本を読むことが好きだったので、本ばかり読んでいて、
教科書も学期の初日に全部読んでしまう、ような狼藉を働いていたのも良くなかったのでしょう。
だからかわかりませんが、陰キャなのにやたらと廊下に立たされていた記憶があります。
「なんで普通にできないの?」の呪詛。

普通じゃなきゃいけない、普通にならなきゃ、の強迫観念。

漫画は『ジャンプ』か『りぼん』、テレビは『おれたちひょうきん族』、アイドルはおニャン子クラブ。
いずれも興味が持てず、触れることもなく過ごす毎日。
興味があるのは、中島らもに井上ひさし、士郎正宗(『攻殻機動隊』の著者ですが当時は超絶マイナーだった)、
あと近代史(特に第二次世界大戦)。
サブカル路線といえばそうなのかもですが、サブカルにもそれはそれで王道があって、
そこにも馴染めず。
というか、みんなで趣味嗜好を共有する必要ありますか?
という気分で一杯でした。

そんなこんなで、相当生きるのが辛かったのか高校以前の記憶がほぼありません。
大学に入るといろんな人がいたので、そこまで浮くこともなく生きれるようになります。
とはいえ、普通ってなんだ?の問いは消えず。

そんな話を同級生にしていたら、「そういう人は、中島先生の本を読むといいよ」と
紹介されたのが、『孤独について 生きるのが困難な人々へ』でした。

内容はタイトルまんまなんですけど、
哲学者の中島さん(相当な変わり者)が、生きるのが困難だー!と
過去のいじめられた経験をひもとき、ひたすら考察して哲学的に語るものです。
正直、めちゃくちゃ暗いし、読みようによってはたんなるひがみにも見えます。
が、「こんなわけわからん思考の人がいるんか」と、
急に気持ちが楽になった記憶があります。
孤高は憧れられるけど孤独は敬遠される、そんな固定観念を打破してくれる1冊というか。
孤独でもいいんだという赦し。
この時の学びは、「突き抜けると、それはそれで成立する」でした。

そこからは多少なりとも「孤立してても気にするな」で、生きれるようになったかもしれないです。
(金子みすゞの「みんな違って、みんないい」がリバイバルするのはもう少し後の時代です)

おまけのもう1冊は、漫画家・蛭子さんの『ひとりぼっちを笑うな』。
10年前に書かれた本ですが、SNS全盛の今読むと趣深い。
つるむことを避ける生き方。
こちらはどちらかというと、ぼやきっぽいのでもう少しお気楽に読めるかもです。
ただ、好き勝手に生きることを目指しているわけではなくて、
みんながみんな一緒ではなくてもいい人がいる、を理解できるか寄り添えるか、
ではなかろうか、と思います。

そんなこんなで2025年がやってまいります。

『孤独について 生きるのが困難な人々へ』
『ひとりぼっちを笑うな』


12月上旬に登った大和葛城山です。雪が積もっていました。


こちらはジョギングコースの大和川。夕日がとてもきれいでした。

それではどうぞよろしくお願いいたします。

※〈編集日記〉は毎週金曜更新、次回は1/10(金)予定です
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