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編集長の竹村です。

先週は、映画の話でした。
あの後、取材先でマイベスト3の話をしたのですが、
けっこう盛り上がりました。
そして、やはり熱い思いを聞くと観たくなりますね。

なので、今回は『パリ、テキサス』のお話を。

(前回の編集長日記『大脱走』については、
こちら https://savvy.jp/post/editorsnote/post-15201/ )

よくあることですが、いろいろこじらせていた高校生時代。
陰鬱なフランス映画とかもよく観ていました。

レオス・カラックスの『ポンヌフの恋人』とか。
同じフランスでもリュック・ベッソンが流行っていたのに、というこじれっぷりですね。
(調べたら、『ニキータ』のほうが、『ポンヌフの恋人』より1年公開が早かったです。
そのすぐ後、リュック・ベッソンは『レオン』が大ヒットします)

フランスの映画って、どこか影がある気がします。
あの『アメリ』も、もともとは猟奇的な作品として企画が進んでいたみたいですし、
実はその片鱗が、あちこちに残っています。
冒頭いきなり虫が踏み潰されるアップでスタートしますし。

さて、余談がすぎました。
『パリ、テキサス』は、ドイツ出身の監督、ヴィム・ヴェンダースの作品です。
アメリカ映画かと思っていたら、西ドイツ・フランスの合作でした。
でも舞台はパリではなく、アメリカのテキサスです。

お話は、記憶喪失になったオッサン(ひげもじゃで小汚い)が、
息子(8歳くらいでかわいい)を連れて失踪したお母さんを探しに旅に出るというもの。

序盤は、オッサン(トラヴィスという名前)の、もにょもにょした喋りと
状況説明があまりないのもあって、なんだかよくわからない。
そもそも、トラヴィスに共感できる要素があまりないんですよね、この段階では。
ただのグズグズしたダメ男。

トラヴィスの弟が面倒みていた息子を、半ば拉致するような形で連れ出して、
ボロいトラックで砂漠を突っ走る。
このへんはバディものですね。
とはいえ、ぼそぼそ喋るだけで、砂漠なので絵面も変わらない。
そして、なにもこれといって起こらない。
眠くなるポイントです。

砂漠を突っ切ったあたりから、いきなりクライマックスで
急展開していくのですが、ネタバレしちゃうと身も蓋もないので、
気になった方はご覧下さい。

カタルシスとはこういうことか、と妙に腑に落ちたのを覚えています。
とはいえ、わかりやすく大団円でもないので、
カタルシスを感じないという人もいるかもしれません。
タイトルの『、』が、ポイントなんですけどね。
ロマンといえばロマンなんですが、今から思うとやっぱりクズ男でしかないのか
という気もしなくもないです。
ま、いずれにせよ静かな映画ではあります。

なんでこの『パリ、テキサス』にたどり着いたかというと、
アメリカのアポロ計画の悲喜こもごもを描いた『ライトスタッフ』に、
サム・シェパードという俳優さんが出ています。
この映画も好きで、いろいろと調べていたら
実はサム・シェパードは脚本も書いていて…
それが、『パリ、テキサス』だったわけです。
で、観てみたら、謎にはまってしまったんですねぇ。

『ライトスタッフ』は、これはこれでおもしろい映画なのでぜひ。
(ちなみに『トップガン マーヴェリック』がこの映画をオマージュしてます)

長くなってしまったのでこのあたりで。

それではどうぞよろしくおねがいします。

※編集長日記は、毎週金曜更新! 次回は11/24(金)更新予定です。
過去記事は、ハッシュタグ #編集長日記 をクリック。

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