このアーティスト、要チェック!
今月のNEWSな人・松平莉奈
日本画をいろいろなやり方で更新する画家、
今回の挑戦は!?


松平莉奈さん(まつだいらりな)日本画の画材や技法をベースに、史実や物語、歴史上の人物などを題材に制作。日本画を中心にした7人によるコレクティブ「景聴園」にも参加。12月には「景聴園」としての展覧会も京都で予定。
HP matsudairarina.com
京友禅の老舗[千總]が京都・三条に構えるギャラリーで個展を開催中の松平莉奈さん。いくつものシリーズを並行して進めている松平さんだが、今回の展覧会でもまた新たな試みに挑んでいる。
「新しいテーマを思いついたら深堀りしたくなるし、展覧会をする場所のことを調べたくなる。今回は[千總]さんに誘っていただいて、日本画家と着物産業の深い関わりを改めて学んで、日本画家が描いた下絵を着物の職人さんたちが反物に落とし込んでいくときの知恵の渡し合いみたいなこと、それも昔の知恵じゃなくて、現代にも全然引き継がれていることを知りました。なかでも、型染めの着物の裂地アーカイブを拝見したことが大きなインスピレーションになりました」
新しい作品ごとに本からの抜き書きやネット記事のプリントアウト、模写やスケッチなど、あらゆることを制作ノートとしてまとめて、時には1作品に対して大学ノートが5冊を超えることもあるという。
「資料を探し始めるととどこまでも集めてしまうので、むしろどこでやめるのかが大事で。まずはいろいろなことを自分の中にためこんで、それを材料に後は自分の力で成形していく、引き算の作業が始まる感じ。研究者だったらいろんな検証の上で最も正解らしいものを出さなきゃいけないけれど、ちょっと飛躍した仮説だったとしても自分の制作に生かせるのが美術の楽しいところだと思っています」
制作ノートを作ることに加えて、松平さんは粘土で模写をすることも制作準備に組み入れているそうで、今回の着物の模様を粘土模写したものも見せてくれた。画家が平面をあえて粘土で模写って、どうして?

「自分の絵の構図がワンパターンになってきたなという悩みもあって、最初は筋トレ的に始めました。平面を立体で模写するには、手前と奥がどうなっているのかとかを自分が把握してないと作れないし、しっかり物理として立ち上がってくるのもよくて。ただの平面の模写だと、よく分かってなくてもそれなりに描けてしまうんですね」
今回の制作では、着物のリピート模様で使われる、上下左右にどこまでも絵がつながる〝四方送り〞の手法なども採り入れた新たな作品を発表。この数年、松平さんが関心を持ってきた山水画の要素も入っているという。

「山水画というのは、日々の雑事から離れて理想郷に遊ぶという要素があるんですが、そこで描かれている人物の出会いに私はグッとくるんです。山中で語り合ってる仙人たちって普段はそれぞれに過ごしているけど、その時間だけ場を共にしている、その瞬間が描かれていて、これが30代になった自分にも重なるところがあるなって、勝手に共感して(笑)。着物から着想した今回の作品は、どこでもない無限の空間を描いてるような感覚があって、それがこの数年、私が描いてきた出会いの場面にもうまくマッチするなというのも発見でした」
ここでチェック!
松平莉奈 個展「無縫の天地」
期間:開催中~4月14日(火)
場所:千總ギャラリー [ギャラリー2]
- 電話番号075-253-1555(千總本店)
- 住所京都市中京区三条通烏丸西入ル御倉町80 千總本店2F
- 営業時間10:00~17:00
- 定休日水
- 料金無料
- アクセス地下鉄烏丸御池駅から徒歩3分
取材・文/竹内 厚 写真/小檜山貴裕
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