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演技に苦戦することも……、
でも、その悔しさこそが私の原動力

 NMB48をけん引する主要メンバーだった川上千尋。「やり切った」と思えるほどにアイドルに全力投球して、2025年末に惜しまれながら卒業。今後は舞台を中心に俳優としてまい進することを決めた彼女が挑む舞台『私立探偵 濱マイク -罠- THE TRAP』。少しの不安と大きな楽しみを抱えた胸の内を、率直に話してくれました。本誌未公開カットと共にお届けします。

アイドルから俳優の道へ
ハードルは高い方が燃えます

編集部(以下・編) 人気舞台「私立探偵 濱マイク」シリーズ。初参加にして主人公・濱マイクの恋人である百合子という重要な役に抜てきされた、今のお気持ちを教えてください。
川上千尋(以下・川) 私が演じる百合子は声が出せず、話もできない役。映画版では、手話などで気持ちを表現していましたが、舞台だとどんな演出になるんだろう、難しそうだから覚悟がいるなと思ってドキドキしています。リアクションなど、動きで見せることも多くなりそうなので、フィジカルを大事にしたいなと考えています。今回はアイドルを卒業してすぐの舞台なので、皆さんから俳優として認めてもらえるのか……という心配もあります。
編 NMB48時代にもテレビや舞台を経験されていますが、演じることはお好きだったのですか?
川 そうですね。演じることはすごく楽しいけれど、まだ苦戦することの方が多いのが現状です。でも、私はアイドル時代もずっと悔しいことの方が多くて。それが、後々楽しくなってきたりして。私は悔しさが原動力になるタイプなので、苦戦しているからこそ、俳優も長く続けられそうと思っています。ハードルは高いほど燃えるし、刺激がある方がわくわくします。
編 川上さんは小学1年生から8年間、本格的にフィギュアスケートをやっていて結果も残し、そこからオーディションを受けてアイドルになり、卒業して俳優にと、若いころから自分で進路を決めておられる印象です。
川 それぞれ時間はかかっているのですが、何をするにしても、やり切ったと言えるところまでやらないと満足ができなくて。NMB48も途中で辞めてしまおうかと思ったことが何度もありました。夢がなかなかかなわない状態が悔しくて……。
編 その夢とは、具体的にどんなことだったのですか?
川 選抜メンバー入りを目指しているのに、その一歩手前でずっと止まっている状態が続いていたんです。あと、何をしたら上にいけるのかも分からない状態がとても苦しかった。そんな時に、母が「そこで辞めるのは中途半端」と。その言葉のおかげで、13年くらいかかりましたが、アイドルをやり切ったと自分で言える状態で卒業することができました。

夢がかなわず苦しいとき、
野球が自分を支えてくれた

編 そのときに抱えていた悩みなどは、メンバーに相談したりしていましたか?
川 メンバー全員が仲間でありライバルと思っていたので、簡単には相談できなかったですね。そのため、家族やマネージャーに話すことが多かったです。卒業を決めたタイミングで、ようやくメンバーに相談できるようになりました(笑)。私は考え方が固いし、真面目な部分もあって、自分のルールを決めがちなので。他のメンバーが話していたら、邪魔しないように相づちも打たないと決めていたけど、そういった自分のルールを吹っ切って自由にやりだしたらTV番組に呼ばれることが増えたり、自然と好転していきました。
編 確かにメンバーをライバルだと思っていたら、自分の弱みは見せられないですよね。お母さまがくださった言葉で、他にも印象に残っている言葉はありますか?
川 自己紹介の最後に「合言葉は笑顔ですよ」と言っているのですが、これも母から聞いた言葉が印象に残っていて使っています。「どんな状況でも、誰かが苦しんでいても、自分が笑顔でいることによって、笑顔が周りに伝染していく」という言葉なのですが、この言葉のおかげで頑張れたなと思っています。
編 本当に良い言葉です。他にも川上さんを支えてくれたものはありますか?
川 やっぱり阪神タイガースですね。阪神だけでなく、野球というスポーツにとても支えられました。野球はアイドルと似ている部分もあって、どちらもグループでありチームで活動するんですけど個人競技の面もある。自分が成果を上げれば、野球ならスタメンに選ばれ年棒に反映され、NMB48も選抜メンバーになれる。自分が苦しいときは、この選手が頑張っているから私もやろう。二軍から一軍から上がってきた選手がいれば、私も上にいけるかもしれない。野球を見るたびに、そんなことを考えていました。
編 言われてみれば、確かに似ていますね。2025年末に卒業を迎えられましたが、この時期にはなにか理由が?
川 NMB48で担当させていただいた大阪万博のお仕事をきちんと終えてから卒業したいという思いがありました。あと、いくつか占いに行ったら、どの占い師さんにも12月下旬から運気が上がっていくから、その時期なら大丈夫と言われたので(笑)。本当はもっと早くても良いかもと思っていたけれど、5人の占い師さんに同じことを言われると、さすがに信ぴょう性がありますしね。
編 5人も! それは従っちゃいますね。最後に、これからの抱負をお聞かせください。
川 私は極度の負けず嫌いなので、上を目指していないと何もできなくなっちゃうタイプ。だから、常に意識して目標を持つようにしています。もちろん、疲れて何もしたくないときもあるけど、コロナ禍で何かやりたくても何もできない状態を経験したことで、気の持ちようが変わりました。長年アイドルをやっていたので、メンタルも鬼のように強くなりましたしね。今は、俳優としてこの舞台に全力で挑みたいと思います。

本誌未公開カット

Profile
川上千尋
CHIHIRO KAWAKAMI
2012年にNMB48第4期生として加入。数々の曲で選抜入りを果たし、ファン投票イベントで第1位を獲得するほどの人気を誇っていたが、2025年12月にNMB48を卒業。これからは、ドラマや舞台で培った経験を生かし、俳優として活躍の幅を広げていく。大の阪神タイガースファンとしても有名。

STAGE INFORMATION
舞台『私立探偵 濱マイク-罠- THE TRAP』
3月14日(土)・15日(日) @COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール

人気ハードボイルドシリーズを舞台化した『私立探偵 濱マイク』の舞台版完結編。濱マイクの恋人で川上演じる百合子が黒い仮面の影男に襲われ、連続毒物殺人事件に巻き込まれてしまう。犯人を追うマイクだったが、自身が容疑者にされ、事件の背後には想像を超えた悪魔の計画が隠されていた……。

原作/林 海象 
脚本・演出/西田大輔 
出演/佐藤流司、福井巴也(UNiFY)、川上千尋・上田堪大・矢部昌暉(DISH//)、小泉萌香、七木奏音、なだぎ 武、大沢 健/野々花ひまり ほか
料金/10,500円(全席指定)  
問い合わせ/0570-200-888(キョードーインフォメーション)
舞台『私立探偵 濱マイク-罠- THE TRAP』公式ページ

写真/岡本桂樹 取材・文/西村円香

※この記事は2026年4月号からの転載です。記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。最新情報をご確認の上お出かけください。
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