このアーティスト、要チェック!
今月のNEWSな人・天牛美矢子
詩もヴォーグも取り込んで、
重層的なイメージの重なりで地獄巡りを!?


天牛美矢子(てんぎゅうみやこ)1989年生まれ。古書店[天牛書店]を営む両親のもとに生まれ、書籍に囲まれて育つ。現在は[天牛書店]で働きながら、京都にある共同アトリエ[punto]で制作。Instagram@miyakoten
布や革といった素材を中心にして、手芸、絵画、言葉や詩までを組み合わせた作品で知られる天牛美矢子さん。作品にはモンスターや植物といったシンボリックなイメージも多く登場して、さまざまな読みへと誘われる。大阪中之島美術館での個展に向けた制作が進むアトリエを訪ねると、目に付いたのは、天牛さんの下絵をもとにしたジャカード織の生地。この生地をベースにして8層のゲート状の作品を作るという。
「天井の高いスペースなので、一つの大きな作品で舞台的な空間として見せたくて、8枚のつり幕のような感じで作品に分け入る、黄泉の旅路にも重ねて考えられるような形を考えました。八大地獄といって、地獄は八つの相があるところからこの作品も8レイヤーなんですが、ちょうど東京での『ルイーズ・ブルジョワ展』のサブタイトルが“地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ”で、その感じ、めっちゃ分かる! ってなったところです」
「地獄」の他にも、「迷宮」「内臓」「食べ物の記憶」「クイア」といったキーワードが込められていて、あれこれのイメージの渦に飲み込まれるかのような感覚を覚えるかもしれない。
「私は悲劇と喜劇がすぐ隣り合わせになったようなラテンアメリカ文学が好きで、自分の作品でも2割のふざけた感情と8割のシリアスさで作っていて、マイノリティや差別に対する歴史への関心も持っています。それが作品を通してどの程度まで伝わるかはやっぱり難しいところだし、自分の作品でもよく分かっていないところもあって。今回の作品では、私がよく使う悪魔のキャラクターたちを狂言回しのように登場させているのと、加えて詩も展示するつもりで、その言葉が作品とも響き合いながら補助線のように働けばいいかなと考えています」
聞けば天牛さん、最近では展覧会だけでなく、専門誌にも詩を寄稿して詩人としても活動。かつては積極的に物語の力も借りながら制作していたが、今は物語の力の持つ危険性の方を感じているのだという。
「数年前にプロパガンダをテーマに作品を作りました。物語はその力でデマを広げてしまう危険な側面もやっぱりありますよね。私の場合、作品では物語を断片的な感じで扱っていたので、そこまで問題ではないのですが、今回は、自分をエンパワーするような言葉を呪文的にぐるぐると、まんだらのように縫い合わせて作品の最後に置くつもりです」
詩や言葉を扱うことに加えて、天牛さんは近年、LGBTQコミュニティで発達してきたヴォーグダンスを習って、ボールカルチャーにも接近。その結果として、2026年1月11日には大阪中之島美術館でのボールルーム(黒人・ラテン系クィアカルチャーで生まれたダンスバトルのようなもの)の開催も決定している。
「海外だとボールルームの認知度が高いので美術館などでもやってますけど、日本ではまだまだ知名度が低いので今回がいい機会になれば。私の先生を含めて、すごい人たちを呼べたので楽しみにしてください」


ここでチェック!
天牛美矢子『Osaka Directory 11 Supported by RICHARD MILLE 天牛 美矢子』
期間:開催中~2026年1月18日(日)
場所:大阪中之島美術館 2階多目的スペース
- 電話番号06-4301-7285(なにわコール)
- 住所大阪市北区中之島4-3-1
- 営業時間10:00~17:00
- 定休日月&12/30~1/1、1/13※1/12は開館
- 料金無料
- アクセス京阪中之島駅から徒歩すぐ
取材・文/竹内 厚 写真/西島 渚
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