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SAVVY.jpの竹村です。

ちょっと前にも、このコラムで『BIWAKOビエンナーレ』『BIWAKOビエンナーレ』のことを書きました。
芸術の秋とは言いますが、あちこちでアートなイベントが開かれています。
そして、今回は四国の愛媛県。
突如始まった、まあまあ大がかりなアートフェスです。
そもそもは中村愛媛県知事が、FC今治オーナーの岡田武史氏に飲み屋に呼び出され、そこで紹介された東京藝術大学の日比野学長と意気投合したのが始まりだそうで。
SNSな時代ではありますけれど、人と人の繋がりって大事ですね。
そんなこんなで動き出した、このアートフェスは出展の公募に、国内外から300を超える応募があったそうで、開催前から注目度の高かったことがうかがえます。
知事によると「東京藝術大学の名前があったから」と謙遜されていましたが。
(ちなみにベルトはグッチでした)

そして大阪・関西万博で人気を博した落合 陽一氏と、 松山を拠点とする笹村白石建築設計事務所とコラボで出展していて、null²のスピンオフのような作品があります。
聞けば、誘致されたわけではなく、一般公募で応募して審査に通った上での出展だとかで、運営側が「これは本物の落合陽一なのか?」となった裏話もあるそうです。
その作品「色²池:空を溶かす、1500 年の眠りの鏡」は、古墳の入口で、振動する鏡の上に乗って、水の上を歩くような体験ができるもの。

この振動システムは、万博期間中に落合チームがアップデートの課程で新規開発したものを転用してるとか。これはある意味ミニ万博と言えるかも知れません。
ちなみに古墳の中を覗くこともできて、落合さんが「生古墳」と表現していたのが印象的。
これから、生古墳のワードが流行るかも知れません。

そして、「本来は墓である古墳だけど、中に入ってみるとすごくいい気がある空間だった」とも。
たしかに入ってみると、すんとした空気が流れていて妙に落ち着きます。
母体の中にいるような感覚すらあるかもしれません。(個人の感想です)
地方に根付いたアートフェスだから、その土地であることを、土壌とコミットすることが大事だというようなこともおっしゃってました。

その真横には、「記憶の積層/Unearthing Memory LAYERS」という作品があります。

これは東京藝術大学大学院に在学中のSHAO YINGYI さんと隅田うららさんのユニットによるもの。
ぱっと見、古墳の一部のようになっているのですが、
なにやら透明な棒が突き出ています。
引き出すと、いろいろな物が樹脂の棒に閉じ込められていて、
それが手前から奥に行くほど新しいものへと変化しています。
例えば、古代の安産のお守りから始まって、現代のマタニティマークまで、など。
その他にも、ポップカルチャーであったり、食べ物であったり、ジャンルもさまざま。
愛媛にゆかりのあるものもたくさん詰まっているので、
あれやこれやとひっぱりだして、「これはなんだろう?」と探るのも楽しい。
身体的な作業と、考察する作業、二つが組み合わさることで、より深く感じれる気がします。

そもそも、この古墳が小高い丘の上にあるので、
松山の街が一望できて、それだけで気持ちが良いんですよね。

この一体はとべもりエリアとして、運動公園や文化施設、動物園などが複合的にあります。
[とべ動物園]の中にも、いろんな作品があります。
ここは、シロクマのピースがいることで有名なので、ご存じの方も多いかもしれません。


そのピースを見に行ったら、ぐっすりお昼寝中でした。

ゾウやサイ、キリンなどおなじみの動物たちもいます。
その動物をイラストにして、展示するのが八木亜希紗さんの「Zooooo!」。
とにかくかわいい、イラストマップや、入口には顔ハメパネルもあります。

古いゾウ舎を改築予定で、その中には大きな切り絵「まなざしの森」があります。
愛媛の和紙を切り絵にした巨大な長谷川隆子さんの作品で、どこか神々しい雰囲気も。
光と影でも構成されて、だんだんと暗闇になれてくると
また見え方が変わってきたり、見える情報量も変わって、いつまでも見ていたい。
そんな気分になります。
そして、なんだか動物もアート作品に見えてくる不思議。
大人になると、なかなか動物園には行かなくなるので、改めて動物園は面白い空間だなと思います。命がいっぱいある、と感じるからかも知れません。

古いゾウ舎を改築予定で、その中には大きな切り絵「まなざしの森」があります。
愛媛の和紙を切り絵にした巨大な長谷川隆子さんの作品で、どこか神々しい雰囲気も。

光と影でも構成されて、だんだんと暗闇になれてくると
また見え方が変わってきたり、見える情報量も変わって、いつまでも見ていたい。
そんな気分になります。
そして、なんだか動物もアート作品に見えてくる不思議。
大人になると、なかなか動物園には行かなくなるので、改めて動物園は面白い空間だなと思います。命がいっぱいある、と感じるからかも知れません。

さて、そこからぐいーーっと移動して今治エリアへ。
ここには丹下健三による建物がいくつかあります。

今治市民会館もその一つで、その中でも展開されています。

建築家でもあるキャズ・T・ヨネダさんの、丹下健三オマージュの作品「丹下健三頌:発露のキセキ」は、1階のロビーを大胆につかっていて、迫力がとてもある。
下に置いてあるのは、丹下健三ゆかりの建物を地元の名産の大島石で彫った物。
上に吊されているのは、丹下健三ゆかりの建物を地元の菊間瓦で作った物。
それを網とゴムが繋ぎます。

このゴムはひっぱってもいいとのことで、その関係性を感じてというのが狙いだそうで。
凜とした空気もありつつ、ゴムでひっぱることでボヨンとなるポップさもあり。
建物がデフォルメされていて、石や瓦という無機質な素材ではあるけれど、
なんだかかわいらさもあり、という。
丹下健三の建物も、どこかかわいらしさがあるのかもしれません。

これから第二回、第三回へと向けて、どんどん拡大していくそうなので(中村知事曰く)、
その初回を見逃さないほうがいいかもしれません。
ほら、大阪・関西万博も最初の頃は、そこまで混んでなかったですからね。

ちなみに、愛媛に行ったら道後温泉にもお立ち寄りを、
写真家・蜷川実花さんによるコラボ「蜷川実花 with EiM × 道後温泉 DOGO ART」をやっていて、とっても華やかな空間になってます。


お土産もいろいろあって楽しいですし。
人気のアルファベットのキーホルダーや、カスタム出来るチャームなどに加えて、シュシュもかわいい。
一六タルトの特別パッケージは、残しておきたいくらいステキじゃないですか?

旅の目的がアート、というのもすっかり定着した気がします。

それではどうぞよろしくおねがいします。

[art venture ehime fes 2025]
期間:2025年10月18日(土)〜11月3日(月・祝)
公式HP:https://artventureehime.com/fes2025/

※〈編集日記〉は毎週金曜更新、次回は10/24(金)予定です
過去記事は、ハッシュタグ #編集日記 #編集長日記 をクリック。

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SAVVY12月号「温泉と、ホテルステイ」
発売日:2025年10月23日(木)定 価:900円(税込)