イラストレーターの久保沙絵子が、毎月1冊をピックアップして、勝手にその本の表紙を制作する企画。イラストが描き上がるまでを追いかけます。6冊目は、7月は暑い!涼をとりたい……!ということで、貴志祐介のホラー小説『黒い家』です。

久保沙絵子/イラストレーター。風景画をはじめ、超絶細密なタッチが特徴。雑誌やウエブなどで活躍中。
怖すぎるホラー小説です。
幽霊の怖さではなくヒトコワ系です。
家にこの本があることがもう、不吉で怖いと思ってしまうほどに怖いです。
毎日が日常的すぎてそのありがたさが薄れかけた時に読むと、何事もない日々がどれほど安全で幸福かを感じ直すことができます。
暑い夏が始まる気配、この1冊で涼をとるのはいかがでしょうか?
(ゴア要素が強めなので苦手な方はご注意を⚠︎)
著/貴志祐介
KADOKAWA(角川ホラー文庫)
ある日、主人公は保健の業務に関わる要件で菰田家の”黒い家”に呼び出されます。
家に近づくにつれ、得体の知れない不快感に襲われます。
近づいてはいけない、できればこのまま帰りたい。
第六感が警告してくれていますが、主人公はもう後戻りできない方向へと進んでいってしまいます。
私も過去に1度だけ第六感が働いたことがありました。
昔からダムが好きで、時折車を運転できる友達に連れて行ってもらうのですが、そのダム周辺の道路を歩いているうちに、トイレに行きたくなりました。
トイレを探すうちに日は傾いていきました。
やっっと、トイレが見つかった頃には私の膀胱はもうパンパン状態だったのですが……、私はなぜかそのトイレに入れなかったのです。
直感的に”あ、ここには入らない方がいい”と感じました。
このトイレでは絶対にしないと言う私に友人は、ドアの前で待っててあげるとも言ってくれましたが、私はなんとしてもそのトイレに入りたくなかったのです。
後日調べると、そのトイレは心霊スポットとして有名な場所でした。
霊感など毛ほどもない私ですが、その時だけは第六感が働いたなぁ〜。と、思います。
ちなみに、別の次なるトイレを探すべく車を飛ばしてもらい、私の膀胱も尊厳も守られました◎
気持ちとは裏腹に主人公は菰田家の一室で子供の首吊り死体を発見してしまいます。
なんと、その子供の母親は以前保険会社へ”自殺でも保険金は下りるのか”という内容の問い合わせの電話をかけてきた女性だったのです。
ついに扉は開かれた……。という感じで、再読ですが絶望的な気持ちになります。
この小説の空気はずっと不穏です。
主人公が眠った時に見る夢や、周りの人の様子など、重苦しく陰鬱な様子です。
なので、読むのがしんどくなったらファミレスでドリンクバーなどをお供にしながら読み進められるといいと思います。

久保沙絵子
大阪在住、雑誌やウエブなどで活躍中のイラストレーター。風景画をはじめ、超絶細密なタッチの作風が特徴。線の質感にこだわり、作品はすべて一発書き! 制作は、生命保険の粗品のスヌーピーのコップで白湯を飲みながら。また、街中でスケッチすることも。もし、見かけたらぜひ声をかけてください。
- Instagram@saeco2525
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