interview_HE_inowakikai-100

上田 誠ワールド全開!
序盤からすごい世界観です

子役としてキャリアをスタートさせ、今やドラマや映画に欠かせない俳優へと成長した井之脇海。今回は自身初というコメディの舞台、しかもコメディの名手、「ヨーロッパ企画」の上田誠さんによるSFアクション音楽コメディ劇に挑戦する。舞台への意気込みや役者として大事にしていることを教えてもらった。

SAVVY2025年7月号に掲載のインタビュー記事をWEB限定で本誌未掲載カットでお届け。ぜひチェックしてくださいね。

脚本が面白すぎて、本読みの時点で大笑いでした

編集部(以下・編) 出演が決まったときは驚かれたそうですね?
井之脇海(以下・井) ヨーロッパ企画の作品は昔から観ていて、観客として楽しんでいたので、自分があの世界観に入るってことはみじんも想像しておらず、声がかかったときは「本当に!?」みたいな感じでした。上田さんにお会いしたときに、なぜ僕を選んでくださったのか聞いてみたんですが、「なんか井之脇くん、めっちゃパイロットっぽいねんな」みたいに言われて、そうですか……と。まだちょっと納得はいってないです(笑)。
編 コメディの舞台も初挑戦とのことですが、演じてみてどうですか?
井 顔合わせのときに、いきなり本読みをしたんです。まだ途中までしか脚本はできていなかったのですが、もう面白すぎて。当て書きに近いのでせりふもぴったりだし、上田さんの言葉遊びも豊かで、ゲラゲラ笑いながらやりました。序盤から舞台上ですごい世界観が繰り広げられるのでちょっと驚くと思うのですが、気がつけばお客さんもノッてる、そんな舞台になったら良いですね。
編 普段、お笑い番組やコメディ作品はご覧になりますか?
井 お笑いはあまり詳しくなくて賞レースを観るくらいですが、もともと映画が好きなので、映画に関してはジャンルを問わず観ていますね。
編 井之脇さんはかなりの映画オタクだそうですね。弊誌の読者には井之脇さんと同世代の方も多いのですが、何かお薦めの映画や映像作品を教えていただけますか?
井 映画ではないのですが、テレビ東京の『晩餐ブルース』というドラマがありまして。仕事に忙殺され壊れかけている中で、食事を通して変化していく役を演じたのですが、僕と近い年代の人、社会に出て数年経った人が見ると刺さる作品だと思うので。手前みそですが、本当にちょっと良い作品が作れたなっていう感覚もありますし、どこか救われるような作品なので、ぜひ良ければ。

役者歴20年以上でも、
地に足がついた普通の生活を

編 子役時代からもう20年以上役者を続けておられますが、辞めずに続けてきた原動力はどんなところに?
井 普段心がけているのは、普通の、ちゃんと地に足のついた生活をすることを常に考えていて。先輩の役者さんに「仕事もいいけど、学生時代には学校にもちゃんと行きなさい。青春もしなさい。大学も興味があれば行くべきだ」って。それで僕は大学にも行って、普通のキャンパスライフを送って、社会に出た後も普通に街の居酒屋とかに飲みに行ったりしています。芸能界は華々しく思われる世界ですけど、そういう経験があるから芸能界と日常がちゃんと地続きに感じられるというか。それはずっと大事にしていることですね。  
編 良いアドバイスだったんですね。今後、どのような役者を目指していますか。
井 出演していても気づかれないような役者ですかね。「ああ、あの役を演じていたのは、海くんだったのか」と後から調べてわかるような、ある種、匿名性がある役者。井之脇海としてではなく、どの役を演じても、きちんとその役に見える役者になりたいですね。

趣味は登山。自然の中で
デジタルデトックス

編 趣味が登山とうかがいましたが、最近はどこかに行かれましたか?
井 役者兼登山家と名乗りたいくらい、好きですね。今年はまだ行けてなくて。舞台が終わったらお休みをもらって、夏の北アルプスに登りたいですね。
編 登山の魅力はどんなところに? 登るのってしんどくないですか?
井 今の映像業界はデジタル化が進んでいて、デジタルに埋もれて芝居をしているので、なるべくそういったものがないところに行きたくなるように。デジタルデトックスじゃないですけど、デジタルなものと離れて自然の中を歩くって、人間の根本的欲求な気がしていて。東京の狭い空の下よりも、広い空の下の方が仕事に対する新しいアイデアが浮かんだりもしますしね。登山中はしんどいし、なんで来ちゃったんだろう、もう帰りたいと思うことも、もちろんあります。でも、登山だともうちょっとがんばってみようと思えるんですよね。撮影でつらいことがあっても、自分はもうひと頑張りできる! と、山での経験が演じるときの支えになることも。
編 山に行けないときの気分転換は?
井 映画を観ながら自宅でお酒を飲むのが至福のひと時です。この映画なら焼酎かな、こっちの映画ならウイスキーかな、と映画に合わせてペアリングを楽しんでいます。
編 大人な過ごし方ですね。大阪にきたときは、どんな風に過ごすことが多いですか?
井 地方に来たときは食も楽しみのひとつですから。昨日は1時間半の休憩があったので、抜け出してたこ焼きを食べに行きました。『ごちそうさん』(NHK)の撮影で大阪に来ていたときは、ひたすら大阪城の周りをぐるぐる散歩していました。12年ぐらい前だし、景色も変わっていると思いますが、また行きたいですね。

Profile
井之脇 海
KAI INOWAKI
1995年生まれ、神奈川県出身。9歳から子役として活動し、12歳のときに映画『トウキョウソナタ』で数々の新人賞を受賞。連続テレビ小説『ひよっこ』、ドラマ『義母と娘のブルース』など、人気作に出演し注目を集める。現在はNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』に出演中。

STAGE INFORMATION
舞台『リプリー、あいにくの宇宙ね』
2025年6月6日(金)〜8日(日)

ニッポン放送×「ヨーロッパ企画」上田誠によるエンタメ舞台シリーズ5弾。今回は宇宙船を舞台にしたスペースオペラ活劇。船内で次から次へと巻き起こるトラブルと、クセが強すぎる登場人物たちに航海士たちが翻弄されていく姿を、たっぷりの笑いとポエトリー音楽でポップに描く。

会場/森ノ宮ピロティホール
脚本・演出/上田誠(ヨーロッパ企画) 
出演/伊藤万理華、井之脇 海、シシド・カフカ、石田剛太(ヨーロッパ企画) 、
浦井のりひろ(男性ブランコ)、平井まさあき(男性ブランコ)、
槙尾ユウスケ(かもめんたる)、岩崎う大(かもめんたる) 他
料金/9,800円(全席指定) 
問い合わせ/0570-200-888(キョードーインフォメーション)
公式HP/[舞台『リプリー、あいにくの宇宙ね』]

写真/中島真美 取材・文/西村円香

※この記事は2025年7月号からの転載です。記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。最新情報をご確認の上お出かけください。

Share
  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
SAVVY7月号「堀江・新町・南船場 」
発売日:2025年5月23日(金)定 価:900円(税込)