テレビドラマの脚本を数多く手がけたヒットメーカー・野沢尚の傑作小説で、2001年にはテレビドラマ化もされた『反乱のボヤージュ』。アイドルとしてだけでなく、役者としても評価が急上昇中の大内リオンも、主要キャストとして出演する。憧れの先輩と共に舞台に立つ喜びや、グループへの思いを教えてくれた。
役としての感情が押し寄せて、
稽古中泣きそうになることも
初共演の岡本圭人くんに
支えられています!
編集部(以下・編) 舞台が決まったときの率直な感想を教えてください。
大内リオン(以下・大) 事務所の先輩である岡本圭人くんと、初めて一緒に舞台に立てるのがうれしかったですね。舞台経験豊富な方々と共演させてもらうので、自分もみなさんに追いつけるように、稽古からがんばらないといけに、稽古からがんばらないといけないと思っていたので、原作の小説も読んで、僕が演じる江藤麦太はどんな感情を持っていたのかなどもきちんと整理して、セリフも読み込んで臨みました。
編 岡本さんとは初対面だったのですか?
大 そうなんです。初めてお会いしたのが、舞台の本読みだったのですが、すごく優しく接してくれて。舞台に関する本を僕に買ってくださりました。圭人くんは自分のブログでも僕のことを書いてくれて、すごく支えてくださっているなと思います。周りのキャストの方々も温かく見守ってくれていて、とても良い雰囲気で稽古が進むので、演じていても楽しいですね。
編 稽古する中で印象的だったことはありますか?
大 脚本を文字で読んでいても、「なるほどなぁ」と考えさせられる場面が多いのですが、そこを実際にキャストが演じるとなると、感情が直に伝わって来て。舎監役の石黒賢さんのセリフを聞いて、泣きそうになったこともあります。最初は敵視していた人だったけど、次第に信用しだして、自分を守ってくれる尊敬できる存在になるのですが、せりふが心に響いてきて。原作では涙ぐむという表現になっていたので、ギリギリのところで涙を止めたんですけど、稽古だと何度も繰り返すから、そのたびにちょっと涙ぐんでいました。
編 この作品は、大学生の心の葛藤などが描かれていますが、大内さんもアイドルとしてグループで活動されていて、悩んだり、葛藤したりすることはありますか?
大 何度もありますね。AmBitiousとしてグループで活動しているので、考え方などもメンバーそれぞれで違っていたりしますし。自分だけの人生じゃないという葛藤はあります。江藤を演じていて感じたのですが、真正面からぶつかって来て、自分が抱える葛藤を覆してくれるような存在に出会うことって、今の時代はないですよね。言いたいことがあってもみんな落ち着いているというか。でも、江藤たちが生きる舞台の中には、熱意ある人が出てくるので、時代背景の違いも感じています。
編 確かに、大学と戦うなんてことは今の時代、なかなかできないですよね。大内さん自身は、葛藤を抱えたときにどう乗り越えているのですか?
大 僕は仕事のことなら、まずグループ内で話し合いますね。結成して1~2年くらいは、結構自分で抱え込んでしまうこともあったのですが、今は、自分の思っていることをメンバーにきちんと伝えています。素直に話せる場所があるのは良かったなと思います。
演じることも歌うことも
大変よりも楽しい! が勝つ
編 俳優としての活動の場が広がっていますが、演じてみたい役などはありますか?
大 演じてみたいのは、音楽家とか。今、大学で音楽を学んでいるので、モーツァルトなど中世の音楽家の役なんて面白そうだなと思います。演技のお仕事はこれからも続けていきたいですね。テレビドラマも楽しいですが、舞台だとカットがかからないので、役としての感情がずっと続いていくのが良いです。
編 大学生活と芸能活動との両立は大変そうですね。
大 めちゃめちゃ大変です。でも、僕は趣味が音楽なので、大変でも苦しくはないんですよ。歌うことも、演じることも、自分が楽しいことをずっとやっている感じなので。
編 お休みの日とかはどんな風に過ごされていますか。
大 神社に行ったりもしますよ。以前も芸事にご利益があるという神社に出かけて、神様に自分の心の内を聞いてもらいました。
編 お仕事の悩みなどを聞いてもらう感じですか?
大 自分が感じたことなど、いろいろですね。子どもの頃は、母がよく神社に連れて行ってくれていたこともあり、悩んでいるから行くのではなくて、気が向いたときにふらりと行く感じで。お参りした後は、なんだか心も洗われるし、パワーをもらえた気になるんですよね。
編 AmBitiousとして、今後こんなことをしたいなど夢や目標はありますか?
大 やっぱりライブをやり続けたいですね。ライブをしているときは、勢いみたいなものをすごく感じるので、その勢いや僕らの思いをファンの方にとにかく伝えたい。
編 舞台やツアーなどで全国いろんなところに出かけられると思いますが、大内さんからみて、関西のファンの方はどんな印象ですか?
大 大阪でライブをするときは、客席側からの熱が違うって思いますね。ファンのみなさんも体温が上がっているんやろうなっていうのが伝わってきます。
編 ちなみに、大阪松竹座の舞台に立つのもずいぶん久々だそうですね。
大 そうなんです。入所して初めてのステージが大阪松竹座だったんです。お芝居のキャストとして、また舞台に立てることが本当にうれしいし、感激しています。初心を思い出しながら、精一杯、自分に与えてもらった役を演じようと思います。
Profile
大内リオン
RION OUCHI
2005年生まれ、兵庫県出身。幼少期からアイドルに憧れ、2018年に関西ジュニアとしての活動をスタート。2021年に関西ジュニアのグループAmBitiousのメンバーに選出。舞台経験も多く、昨年はミュージカルの初主演を務めるなど、俳優としての評価も高い。
STAGE INFORMATION
『反乱のボヤージュ』
2025年6月1日(日)〜8日(日)
野沢尚の傑作小説を初の舞台化。大学の学生寮を舞台に、大人社会との狭間で戦う若者たちの葛藤と成長を描いた青春群像劇。寮を取り壊すために送り込まれた舎監との対立や心の交流、息子と父親との問題、寮生のストーカー事件などトラブルを乗り越え結束を固めていく様子をエネルギッシュに描く。
会場/大阪松竹座
原作/野沢 尚(『反乱のボヤージュ』集英社刊)
出演/石黒 賢、岡本圭人、大内リオン、加藤虎ノ介、南沢奈央、益岡 徹 他
料金/1等席12,500円、2等席7,000円、3等席4,000円
問い合わせ/☎06-6214-2211(大阪松竹座)
[反乱のボヤージュ]チケット情報
※チケットの販売状況、当日券については公式サイトをご確認ください。
写真/森川英里 取材・文/西村円香
※この記事は2025年7月号からの転載です。記事に掲載されている情報は掲載時のもので、記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。最新情報をご確認の上お出かけください。