今月、スパイされる人
藤田 萌 さん
テーマは、“体と心と食をつなぐ” 3冊
☑1.『フィット・フォー・ライフ 健康長寿には「不滅の原則」があった! 』
著/ハーヴィー・ダイアモンド、マリリン・ダイアモンド
訳/松田麻美子
グスコー出版 2,310円
☑2.『食のパラドックス 6週間で体がよみがえる食事法』
著/スティーブン・R・ガンドリー
訳/白澤卓二
翔泳社 1,980円
☑3.『キッチン』
著/吉本ばなな
KADOKAWA(角川文庫) 440円
自分と大切な人のために読む、食にまつわる3冊
帰宅後の料理時間が大好きな藤田さんが教えてくれた1冊目は、食事制限が健康維持の特効薬と捉えがちな、日本の健康ブームのあり方に物議を醸し、人間の本能や体に合わせた正しい食生活を提案していく健康哲学書。食への関心が強く、普段からSNSで情報を得ることが多いという藤田さんは、Instagramで紹介されていたのをきっかけにこの本を手に取ったそう。「世間一般の食生活に慣れていると、いきなりこの本の内容を受け入れることは難しいかもしれないけど、正しく食を知ることは、結果的に自分を守ることになる。食生活が乱れた時にモチベーションを戻すためのバイブルにもなっています」
「よく聞く健康に良さそうなあれこれが、一気に覆された!」と、藤田さんが驚いた2冊目は、 新しい切り口で食について提言するダイエット&健康本。「こうしたら健康になれる」という指南だけにとどまらず、根拠となる科学や生物学を掘り下げた分かりやすい説明も付記され、健康本でありながらも楽しんで読める。「食べ物についての良しあしは、いろんな本を読めば読むほど、情報があふれて分からなくなる。この本を読んで、自分の体と心に耳を傾けながら自分に合った食事スタイルをゆっくり見つけていくことが、一番大事だと学びました。具体的なレシピも載っているので、日常に取り入れやすいところもお気に入りです」
他の2冊とは違う角度から食と心を結ぶ3冊目は、人間の生死と孤独をテーマに、大切な人との別れからの再生を描いた短編小説。タイトルにもなっている「キッチン」という、日常生活で不可欠な場所をキーワードとして広げたストーリーは「食べる」行為が人間関係においてどれほど大切な役目を果たしているのかを気付かせてくれる。「小説は苦手意識があったけど、世界観に引き込まれてあっという間に読み切ってしまいました。どんなにささいな日常でも、幸せなんだということを思い出しました」
食にまつわる3冊から、改めて“食べること”の重要さを知り、「明日のごはんは何にしよう」と早速悩んでいる藤田さんでした。