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今月、スパイされる人
百花 さん

鎌倉生まれ東京育ちのアート好きな20代。現在は京都へ移住し、ホテルスタッフとして奮闘中。

テーマは、“本と共に旅をする” 3冊

☑1.『イヤシノウタ』 


著/吉本ばなな
新潮社 1,540円

☑2.『いのちの窓』


著/河井寬次郎
東方出版 1,870円

☑3.『교토에서 보내는 편지(京都から送る手紙)』


著/Le son du couple
19,000W

自分だけのストーリーがある、毎日に彩りをくれるエッセイ

 散歩をしたり、日々の記録をノートに書いたりすることが好きな百花さんが1冊目に教えてくれたのは、日常の中にある奇跡のような瞬間を描いた短編エッセイ集。自身と重なる描写が多く、数年前に購入してからは海外旅行やキャンプに行くときでも、欠かさずポケットに入れている大切な1冊となっているそう。「親友にこの本を薦めたらすごく気に入ってくれて、古本屋で見つけるたびに購入し、知り合いに贈っていたみたいで。後日、私の手元にも彼が古本屋で見つけた『イヤシノウタ』が返ってきました。自分だけでなく、親友にとっても大事な1冊になっていることがうれしくて、また読み返したくなりました。この本を読むと、優しい気持ちになれるし、なんとなく原点に戻れる気がします」

 京都での新生活に慣れてきたころに読み始めた2冊目は、陶芸家・河井寬次郎が日々のことを個性あふれる言葉や文章でつづった1冊。「もともと知っている陶芸家の方だったので、ずっと読みたいなと思っていたけど、京都に縁がある方の本だし、移住してから購入しようと決めていました。彼のような目線で自分を整えながら京都の魅力を全身で感じて生活ができたら、とお手本にする気持ちで読んでいます」

 イベントで作者から直接購入したという思い入れのある3冊目は、アーティストやモデルとしても活動する韓国人の女性が、京都で年を越した数日間のことを記録した日記。「韓国で出版された本なので、韓国語が読めない私にはとても大変な読書ですが、どうしても彼女の生き様や、紡ぐ言葉を知りたくて、翻訳機を使いながらゆっくり読み進めています。東京から京都に移り住んだ自分と、韓国から京都に来た彼女の視点が似てるな、と共感を持つ部分もあったし、京都が大好きで第2の故郷と思っている彼女ならではのローカルな視点からも描かれていて、読んでいてわくわくします。彼女の過ごした年末を知りたいので、今年中に読み切ることが目標です! 」

 旅で得られるような、豊かな日常のヒントをくれる3冊。「どの本も思い出があり過ぎます。本が旅へ連れて行ってくれているみたい! 」と、目をきらきらさせて語る百花さんでした。

※この記事は2025年2月号からの転載です。記事に掲載されている情報は掲載時のもので、記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。最新情報をご確認ください。
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