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衝撃的なエピソードと設定から始まる漫画「【推しの子】」。アイドル、俳優、元天才子役などの主要キャラで、芸能界の裏側にも迫るこの作品は、漫画原作を実写化する難しさと葛藤そして努力をも描いている。そんな作品がドラマ&映画化し、しかも、ドラマ配信に続いて映画が公開されるというスケジュールも前代未聞のこと。そんな作品のメインキャラクターである、アクア、ルビー、かなを演じる3人に、見どころを伺ってきました。

左から、櫻井海音、齊藤なぎさ、原菜乃華。

編集部(以下・編) まずは、【推しの子】って、みなさんにとってどんな作品なんでしょうか?

櫻井海音(以下・櫻) そうですね。まず芸能界をここまでリアルに描いている作品はないかな、と。こういう業界にいる身からしても、リアルさを感じます。それが【推しの子】の魅力だと思います。役者、監督、スタッフなどそれぞれの職業の抱えている正義を代弁してくれているそういう作品ですね。
齊藤なぎさ(以下・齊) 「アイドルを名乗った瞬間から、あなたは普通の女の子じゃなくなる」っていうセリフがあるんですけど、本当にその通りだなと思っていて。私は13歳の頃からアイドルになって、やっぱり普通の女の子の生活は送れなかった。もちろん充実した毎日で本当に楽しかったのですが、やっぱり周りの子がうらやましいなと思う瞬間もありました。なので、そういう面が描かれているのもすごいリアルだなと。アイドルの裏側とか、誹謗中傷のこととか、共感できる部分が多かったです。
原菜乃華(以下・原) 私が演じる有馬かなは、今まで演じた中で一番に共感できるキャラクターで、共感しすぎて辛くなることもありました。特に影を持っている部分がすごく共感できて、役作りがいらないくらいでした。お芝居にすごい執着があって、その根本にある、「認めてほしい」という気持ちは、誰でも持っているものだと思います。明るいだけではなくて、ネガティブな気持ちを燃料にして動いているかなちゃんというキャラクターは、人間味があって好きでした。
編 そんな作品に出演オファーが来ました。その時の感想を教えてください。
櫻 うれしさが強かったです。この作品に出演させて頂けると決まった段階で、「自分のターニングポイントの作品になるだろうな」という感覚があって、自分の人生をかけて臨まないといけないと思いました。
齊  驚きもあったけど、すごくうれしくて、車の中で大声で叫びました。ルビーに共感できるところが多いので、私のことをよく見てくださっている方がキャスティングしてくれたんだろうなって思いました(笑)
原 すごくうれしかったんですけど、肩書きが元天才子役っていうのがちょっと怖すぎて(笑)。しかもお芝居がうまい設定のキャラをやるのは初めてだったので、そこのプレッシャーは半端じゃなかったですね。怖いけど、やりたいっていう気持ちでした。

編 共演者も、芸達者な俳優が勢揃いしています。共演していかがでしたか?

櫻 僕は、ほぼ全ての方とお芝居したので、どれもが刺激的で、多くのことを勉強させて頂きました。例えば吉田鋼太郎さんはアドリブも凄いのですが、全部キャラそのものになっていて。それにどこまで食らいついていけるか、という感じでした。
齊 倉科カナさんの台詞の言い回しがすごくすてきで、近くで見ていてかっこいいなって思いました。みんなとも分け隔てなく接してくださり、、休憩の時間もよく話しかけてくださっていたので、アドリブなどでも緊張せずにお芝居をすることができました。倉科さんに支えていただいた部分はたくさんありました。
原 (作中に出てくる漫画家の)吉祥寺先生がすごく好きで、演じる安達(祐実)さんのお芝居を見ているだけでこみあげてくるものがありました。ずっとご一緒していたわけではないですが、吉祥寺先生そのものだったし、モニター越しにも伝わる感情がとても多いな、と思いながら見ていました。

編 ちなみに原さんには、劇中でライバルとなる黒川あかねのような存在はいますか?

原 いないかも。一方で同年代で役を争い続けることはあります。毎回オーディションの最終まで上がってくる子は同じなんです。「またか〜」みたいな。「もう勝てない。」という気持ちを感じるのはリアルですね。【推しの子】がすごいと思うのは、俳優さんの気持ちを、またその渦中にいる人の気持ちを完全にトレースしてるなって。漫画家さんが、俳優のことや、いろいろな職業の人のことをずっと生きてきた人かのように描いているから、何人の漫画家さんが描いているんだろう、と思いました。
齊 本当にそう。いろいろな人生を歩んでないと、ここまでいろんな人の気持ちを理解できないだろうと思いました。

編 この作品は、それぞれが成長していく物語でもあります。みなさん、この作品を撮り終えて、自分が成長したと思った部分はありますか?

齊 私は「顔つきが大人っぽくなったね」、と言われることが多くなりました。ぎゅっと経験が詰まった半年だったので、この経験があれば、この先の人生やっていけるな、っていう感じがします。超濃密でした。
櫻 大きいプロジェクトで主演をやらせていただいて。しかも自分の大好きな作品で、人生に一度あるかないか、そんな世界に飛び込んで行けた感覚です。ドラマ&映画化に対して、色々なご意見もあるでしょうけど、こうやってちゃんとみんなでプロセスを作り上げて、ちゃんと向き合っていれば、批判的な声もあまり怖くない、と僕はそういう感覚が大きくなったかなと思います。
原 一緒に作品を作り上げることがどういうことか。今回ちゃんとわかりました。同年代の役者さんが多かったですし、すごく仲が良かったです。すごく歩幅を合わせてくれたような気がしていて。お互いをねぎらいあうというか。キャストの皆さんをかっこいいと思って尊敬しています。ただの仲良しとはちがう、尊敬がある分、チームに愛情がある。一緒に「イチから頑張ろう」という空気を初めて肌で実感した気がします。

左から、櫻井海音、齊藤なぎさ、原菜乃華。

わきあいあいと、それでいてそれぞれを気遣いながら話す3人。濃密だったという現場を感じさせるインタビューとなりました。そして、3人ともが「早くみんなにこの作品を見て欲しい」と言っていたのが印象的でした。その出来映えは、配信&劇場で確かめてください。

Profile

櫻井海音(さくらいかいと)
モデルや個人でのInstagram やYouTube チャンネル開設、バンド“インナージャーニー” のドラムとして昨年まで音楽活動を行うなど幅広く活動し、俳優としても本格的にスタート。ジャンル問わず幅広く活動の場を広げている。

齊藤なぎさ(さいとうなぎさ)
2017 年に指原莉乃プロデュースのアイドルグループ「=LOVE」のメンバーとしてデビュー。2023 年1 月に卒業。 在籍中より俳優としても注目を集めた。卒業後は映画、俳優・声優として活躍の場を広げている。

原菜乃華(はらなのか)
2009 年に芸能界デビュー。映画『罪の声』(20)の生島望役で注目され、以降多くのドラマに出演。アニメーション映画『すずめの戸締まり』(22)では1,700 人を超えるオーディションから主人公・岩戸鈴芽の声優に抜擢され、それぞれの作品で存在感を発揮している。

INFORMATION
ドラマ『【推しの子】』 Prime Videoにて独占配信中
映画『【推しの子】 -The Final Act-』 東映配給にて大ヒット公開中
https://oshinoko-lapj.com/

写真/中部里保

※記事に掲載されている情報は12月20日(金)時点のものです。記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。最新情報をご確認の上お出かけください。

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