interview_hamadamri_HE-100

作品を作る上で一つのピースになることが好き

現在、俳優やナレーターとして活躍する濱田マリは、90年代「ジャングル日和」などのヒット曲で知られるビッグバンド、モダンチョキチョキズ(以下・モダチョキ)の歌姫だった。そんな彼女が、かつてのメンバーの呼びかけに応え、令和モダチョキの歌姫として復活し、話題を呼んでいる。

誰が再結成を言い出すのか
うかがっていた感じです

編集部(以下・編) 2021年頃からモダチョキのライブが、関西を中心に年に2回ほど行われるようになりましたね。
濱田マリ(以下・濱) 結成30周年がきっかけでした。みんなはずっと、やりたかったとは思うんです。でもそれを言い出すと、大変なことは分かっている……結局、私も含めて様子をずっとうかがっていたんだと思います。それが現在のバンドマスターでベーシストのブライアン絵野さんが、〝僕が責任持ってやるからどう?〞って。今考えると、タイミングも良かったのかもです。そして何より、その声を待ってたんや! って感じでした。
編 実際、久しぶりにモダチョキでのライブをやってみて、いかがでしたか?
濱 平成モダチョキ時代の自分を大きく上回っていましたね。あの頃は、勢いでやってきた部分が多々あって、いわゆる若気の至りというのでしょうか、舞台に立たせてもらっている自分はいまいち周囲に対して感謝がなかったと思います。でも、今は改めてモダチョキとして活動させてもらえること、ライブができることに感謝しかないです。こんなにたくさんの人が歌うために動いてくださってるという感謝。そして、平成モダチョキの濱田マリ! 30年を経てもフィジカルな面、声は今の私も負けてないで! っていう、自身に対する感謝です(笑)。40歳を機にクライミングを始めたんですが、筋力はもちろん、体幹や柔軟性などいろんなものが身についたので、平成時代の自分よりは、かなりバキバキになっておりまして、ライブでは耐久性もありますし、長持ちしてます。まず、疲れることがないんです(笑)。

歌詞が理解できないと
いらいらするので大切に歌う

編 曲への向き合い方も変化しました?
濱 それは、やっぱりありますね。私はフロントメンバーでの歌い手として、楽曲を作ってくれた人たちにリスペクトが止まらないので、平成モダチョキの時以上に大切に歌えるようになりましたね。この年齢になると分かるんですが、曲の歌詞が聞きづらかったりして、その歌詞が理解できないといらいらするじゃないですか。
編 分かります! 配信などで聴いていると調整されているので気にならないのに、ライブなどで聴くと理解しにくい。
濱 だから私は歌詞をしっかりと伝えることを念頭に置いてまして、そこに感情をのっけて、モダチョキの独特な世界観を表現できたらと思っています。復活するにあたってボイストレーニングも始めたんですけど、すぐに以前と同じキーで歌えるようになりましたし、今では二つ上のキーも出るようになり、私、まんざらでもないやんと(笑)。あと、ナレーションのお仕事もさせていただいてますが、録音技師の方が「発音や発声が随分と良い方に変わって聞き取りやすくなり、録音もしやすくなりました」って褒めてくださって、もっと若い時からやってたら! って後悔してます(笑)。
編 俳優業も長くなりましたが、自分の中で転機となった作品はありますか?
濱 俳優としてのデビューが1997年で明石家さんまさん主演の『恋のバカンス』。これが転機になりました。作品を作る上での一つのピースになることの楽しさ、台本をもらって、読んで、現場で撮影して、編集されたものが放映、上映されるという一連の流れを経験して、そのプロセスが自分に合っているというか、本当に好きで。だから今も俳優として続けてこられていると思います。

故郷・神戸にはヌルピョンに
会いに行くのが目的かも(笑)

編 出身地・神戸についてはいかがですか?
濱 20代前半まで神戸で暮らしてましたが、正直、あまり好きではなかったです。大阪や京都の方が楽しかった。でも東京で暮らすようになって30年経ち、改めて客観的に自分の故郷を見た時に山、街、海がこんなに隣接しているシチュエーションはないな、すごいやん! と思うようになり、最近は神戸に帰ることが多くなりました。親も歳ですから実家の断捨離を兼ねて、とにかく片付けをしています(笑)。その作業を終えてから必ず訪れるのがモダチョキのメンバーのヌルピョンが店長の[バーンタイ・マーケット]っていうタイ料理屋さん。料理がおいしいのはもちろんですが、彼の接客をBGMに食べているのが、好きなんです。それに彼は絶対にお店を休まないので、私たちがライブをやっても出てくれない。だからヌルピョンに会いに行くために神戸に帰ってるというのもありますね。

Profile
濱田マリ
MARI HAMADA
1968年生まれ。兵庫県神戸市出身。モダンチョキチョキズのボーカル担当として活躍。その後1997年より俳優としての活動を開始。以後、多くのドラマ・映画・舞台で俳優としても活躍。またナレーターとしても『あしたが変わるトリセツショー』など声の仕事も数多く行なっている。月1のモダチョキインスタライブも必見。

STAGE INFORMATION
「モダンチョキチョキズ
ボンゲンガンバンガラビンゲンの伝説ツアーの伝説~大阪編」
2024年12月15日(日)

結成から30年が過ぎ、令和のモダンチョキチョキズとして、さらに進化と円熟味が増した彼ら。今回、披露される曲はシュール&ポップな雰囲気で、濱田マリをはじめとしたフロントメンバーの濃さ、そして各方面の一流ミュージシャンたちの集合体であるビッグバンドが織りなす、ちょっと早いクリスマスライブは必見です。

会場/BIG CAT 時間/15:15開場 16:00開演
料金/5,000円(全席指定・ドリンク代別途必要) ※未就学児入場不可
[モダンチョキチョキズ ボンゲンガンバンガラビンゲンの伝説ツアーの伝説 〜大阪編の公演詳細]

取材・文/仲谷暢之(アラスカ社) 写真/中島真美 撮影協力/焼肉ホルモン 坂上 裏なんば店

※この記事は2025年1月号からの転載です。記事に掲載されている情報 (価格、営業時間、定休日など) は掲載時のもので、記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。最新情報をご確認の上お出かけください。

Share
  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
SAVVY1月号『よしもと漫才劇場となんば』
発売日 2024年11月22日(金)定 価 900円(税込)